暗いオーラを発しながら、 寿輔さんは高座に現れる。 おなじみのド派手な着物と相まって、 強烈な存在感である。 その日が初めての寄席見物なら、 トリの噺家は忘れても、 寿輔さんのことは決して忘れまい。 夢にまで出てくるかもしれない。 寿輔さんは、 客とのコミュニケーションを大事にする噺家でもある。 出てくるなり、みっちり、ぬったりと客をいじる。 最前列に女性がいれば格好のターゲットだ。 自分の今までの人生まで考えさせられた人も、 いるとかいないとか。 それでも不快に感じさせないのは、 やはり話術なのだろう。 落語芸術協会には、 渋ーい本格派の噺家が少なくない。 そういう人たちの落語も、 もちろんいいが、 寿輔さんのような噺家がいてこそ、 寄席は楽しい。 邪道のようでいて、 実は正統派なのかもしれない。 (2002-03-06) |