[先頭] : [後退] : [前進]

桂 九雀

「落語は難しい」とか、 「前もって勉強しておかないと楽しめない」 と思っている人は実際にいるようだ。 もしあなたがそうなら、 いちど九雀さんの落語を聴いてみてほしい。 逆にあなたが何十回も落語会に行って、 「このネタは一度聴いたからもうエエ」と思うようになったら、 やはり九雀さんを聴いてみてほしい。

聴き比べるとよくわかるが、 九雀さんは、 現代の人がひっかかりそうな言葉をうまく省略したり、 さりげなく説明したりして、 聴きやすいように工夫している。 その一方で、 新たなくすぐりを入れたり、 下げを変えたり、 ときには噺を大胆に再構築したりもする。

それらの工夫は、 単なる目新しさや、 アーティストとしての欲求を満たすためでは、 たぶんない。 おそらく、 噺の本来の面白さを観客にどうしたらうまく伝えられるか、 ということを常に考えているのだろう。 そのようなプロ根性というかストイックな姿勢が、 初心者を喜ばせ、マニアをうならせるのだ。 (2002-02-27)

関連ページ:

寄席芸人似顔絵集