北海道ツーリング・2日目
網走〜常呂〜佐呂間・60km('99.8.22)


三度走る能取湖畔
能取湖サイクリングロード
一面の畑・畑・畑
常呂から佐呂間へ
ひもじさ全開、蚊も全開
「ライダーハウスいとう」の夜


能取湖サイクリングロード

 朝めちゃめちゃ早くにライダーハウスを抜け出したのであるが、本日のツーリングそのものは個人タイムトライアルを走った後に始まるわけだ。んなわけで、3時に網走・大曲公園での閉会式が終わった後に走り始めるわけだけれども、ちんた、もうほとんど足が終わっちゃっててろくに漕げない・・・という感じもする。網走で連泊しちゃっても良かったんだけれどね、明日になってから能取湖をまた走るのも滅入るだろうと思って、いいや、行っちゃえ!という感じで走り始める。

 能取湖畔のサイクリングロード、もうレース前にスタート地点へ行くのに通って一回、レースで通って一回、そして今度は常呂町へ抜けるために一回と都合3回目のサイクリングロードとなる。ま、別に飽きたとか言う訳じゃないんだけどさ、景色もいいし、ふつうにへろへろと走っている分には快適な道だし(^^;)。

 ちなみに、この道は昔は国鉄勇網線が通っていたところで、その廃線跡をサイクリングロードとして能取湖を取り囲み常呂までの部分を整備し直した道らしい。そのため、サイクリングロードのあちこちに、昔、駅であったらしいことを示すモノが残っている。


その勇網線廃線跡の駅の跡の一つ、旧・卯原内駅。ホームに機関車と客車が置いてある。
右側にあるのが能取湖サイクリングロード。

 いくつかあるこういった跡を見て、はじめのうちは廃線だということに思い至らず、「いったいなんでこんなものがいくつもあるんだろう?」と思っていたのだけど、気付いてみて、やたらりっぱなサイクリングロードにもなあるほどという感じである。  能取湖は数ある北海道の湖の中では摩周湖や阿寒湖なんかに比べるとちょっとすぐには思い浮かばない、という感じもあるけれども、なかなかどうして、とても綺麗な湖である。ほぼ一周にわたってサイクリングロードがきれいに整備されていることもあり、チャリダーやインラインスケートの人々には超超おすすめのコースだと思う。


サイクリングロードから能取湖を見る。ここから左手の方にぐるっと
回って正面遙か前方にぼんやりと見えている先っちょのあたりまで走ることになる・・・というか三回走った(^^;)

 つい数時間前まで100数十人の人がひたすらに漕ぎ続けタイムを競った能取湖サイクリングロードは、あたりまえだけど、祭りの後、といった感じで、ついさっきまで、そんなことがあっとことなどまるで夢のようにさっぱりと、そして涼しく、寂しくなっていた。考えてみれば、このサイクリングロードがあれほどまでに熱くなるのも、個人タイムトライアルの時だろうな、とも思う。こうやって暑い夏が終わり、ここも冬になって雪が積もってしいんとなるのかと思うと、ずいぶん寂しいねぇ北海道という感じもしないでもない(^^;)。夕方であるためか、今日はもう自転車もほとんどすれ違うことがない。

 ちなみに、ちんた、今までにも何回か渡道しているもののなぜか網走より北に行ったことは無かったりする。ので、ここから先の旅路はホントに初めて足を踏み入れるエリアだったりする。

 サイクリングロードが終わりに近づくと常呂町に入る。常呂町はサロマ湖にも近く、オホーツク海にも面しているのでホタテが有名だ、というかオホーツク海沿岸はどこもホタテが有名だ。あちこちに、むき終わったホタテの貝殻が捨てられて山のように積まれている。きっと何先年も後の人が掘り出して貝塚とか呼ぶことになるのだろう(^^;)。

 常呂町の市外に着き、コンビニがあったので休憩。やはり今日はけっこう疲れている、足が終わっている。しかし、まだ、残りは結構あるのだった。


常呂から佐呂間へ

 うーん、やっぱレースやってそのあとに、60km近く自走していく・・・というのは無理だったかなぁ・・・そう思えるほどにちんたは足が終わっていたのかもしれない。おまけにそこはかとなく向かい風のような気もするし(笑)。

 常呂のコンビニを出た後は、ひたすらだーっとまっすぐ進んで、ちょこんとカーブして、まただーっと進む、そんな道がずーっと続く。  「おーい、がんばれよー」

 駐車場に止めていたワゴンの一家から手を振られる。あれ?あの服装を見る限りは、あの家族、もしかしてタイムトライアルレースに出ていた?うーん、なんだかありがたい激励だ。こちらからも大きく手を振りかえす。

 この時点でこのあたりです。
国道238号線をひたすら漕いでいます。
一見近くにありそうなサロマ湖はほとんど見えません。


 まわりはひたすら続くビート畑。立て看板にビート畑と書いてあったからわかるようなものの、そもそもビートってなに?どんな作物なんだろう?ちんたさっぱりわかりません。

 途中に「岐阜」なる地区に入り込んだことを知る。元岐阜県民としては大いに気になるところだ。道の脇には「岐阜地区公民館」なるものも立っている。そこに掲げられているマークはどっから見ても岐阜県の県章、「岐」の文字をかたどったアレである。うむーなんで?岐阜県出身の人がこのあたりを開拓したんだろうか?北海道の中でもずいぶんはしっこの方を開拓させられているじゃないか(^^;)>岐阜県民

 だんだん空の色がオレンジ色になってきます。ひたすらまっすぐな道にオレンジ色の空。泣けますねー、とても泣けます。有名なサロマ湖の夕日を見るには至らないけど、サロマ湖付近の夕日、とても綺麗。とても暑かった今日一日を締めくくるにはぴったり。



おっとこの写真は何も植わっていないな(^^;)。ほかの畑には一面にビート畑なんですよ(^^;)。
写真では全くわかりませんが、空は夕焼けでオレンジ色なんですホントは。そう思ってみるとすごいでそ?(^^;)


 泣けるのもいいが、日が沈んでしまうと身動きがとれなくなるのでちゃっちゃとライダーハウスに着かなくてはいけない。こわいもん、北海道の夜の道なんて(^^;)。

 しかし、早く着かなくてはいけない割にはちんたの足は終わっています。うーん、大丈夫か、今日?おまけに、この国道、まっすぐなのはいいんですが、細かい坂が妙に何度も何度もやってきます。うーん、よく言われる「北海道は平ら」というのを関東平野と同じ感覚で解釈しちゃだめなんだな(^^;)。きっとこれくらいのアップダウンは北海道的おおらかさでもって「平ら」だと認定しなくてはいけないんだ、きっと(^^;)。坂そのものはどれもそう長くはないのですが、3つに1つくらい「うえ、まじ?」と思うようなきつい斜度の坂とこんにちわ、というコトになります。健脚な方々にはどうでも良い坂なんでしょうが、もともと弱く、さらに終わった足にはなかなかつらいところです。

 

 時間的にもそういう時間なのかライダーとよくすれ違います。たしかに、今日の宿を網走に求めるなら、この辺をライダーが走っているのはとても自然なことでしょう。いいな、今、こんなところにいてもよゆうで網走に着くのか・・・さすがにここらへんはライダーとチャリダーの時間感覚・距離感覚の大きく違うところ。やつら、稚内とかから走ってきてるからなぁ(^^;)。

 今日の宿は佐呂間町にあるライダーハウスと決めています。というか前後40km近くに渡ってそれ以外に泊まれそうなところ(もちろん安く)が無いので、そこ以外ありません。佐呂間町に入り、浜佐呂間地区に着くとちんたはライダーハウスに電話をかけて場所の確認です。ちんた、今日の宿の場所、いまいちよくわかっていないんです(^^;)。

日はほとんど沈み、またやばいことに厚い雲が出てきて今にも雨が降りそうな感じになってきました。



「ライダーハウスいとう」の夜

 「すみません場所はどこなんでしょうか?」

 ちんた、携帯電話で聞く。ぶしつけといえばぶしつけ。ちんた、もう、足がおわっちゃってるので、1mでも迷子になったりして余計な距離を走りたくない。願わくば、ライダーハウスそのものが近くにあって欲しい。そういう思いからつい電話で確認と横着なことをする。聞いてみると幸いにして、ライダーハウスはすぐ先にあるらしい。おーけーおーけー、そこならなんとかたどり着けるでしょう。

 「ただ、受付はさらにその4km先の民宿にあるんで、一度そこまで来てください」

 なんですとぉぉぉぉ!4km!往復8kmかいな。うひ〜。とりあえず荷物だけライダーハウスに置いて、受付のある民宿へと急ぐ。ライダーハウスと民宿のあるあたりはひたすら一本道で両側とも木々に囲まれたちょっと寂しい道。日もほとんど沈んで暗くなってきた、おまけに厚い雲がたれ込め、「いまにも雨が降りますよ」という感じの風が吹き、「雨の匂い」がする。やばい、こんなところで、のたのたして暗くなって雨まで降ってきたら最悪だ。それにしても往復8kmで受付までするって話になると30分はかかってしまう。30分・・・天気もつか?

 1分ごとに暗くなり天気があやしくなっているのがよくわかる。それ以前に、民宿までの道、あまりになんにもないままなので、このまま進んで大丈夫なのかと心配になる。下り坂なのも「帰りは上り坂になるのかあ?」と思うと不安倍増である。

 あわてて駆け込むようにして民宿の受付に行く。宿泊費は500円。ふー、とりあえず、これで一安心。

 「今日はねぇ、まだ、(宿泊者が)あんただけなんだよねぇ」

 あらま。昨晩の網走の満室状態から一転、一人きりかい。なんとなく寂しいな。ま、しょうがないけど。ところで受付を済ませると、もう一つの心配が頭をもたげる。ここに来るまでどこにも無かったんですけど、食事とか買える場所はどこなんでしょう?

 「ああ、この辺、店無いからねぇ。網走側(ちんたが来た方)なら10kmほど先の浜佐呂間、反対側なら15km先だねぇ」

 な、なんですとぉぉぉ!あのお、僕自転車なんですけどぉ・・・・(^^;)。困り果てるちんた。今日は飯抜きか?北海道旅行二日目にして大ピンチである。あまりの状況を見かねたおやじさんが鍋から茹でトウキビ(とうもろこし)を2本引っ張り袋に詰めてくれた。

 「まぁ、少ないけど、これでも食え」

 あ、ありがとおお、おっちゃん。とうきび茹でたてであったかいよぉ。しょうがない、今晩の夕食はトウキビ2本だ。とりあえず、もう、これで戻るしかない。雨雲はいよいよやばそうな様相を呈し、いまにも・・・という感じである。むぅなんだかとんでもない夜になっちゃったなぁ(^^;)。

 ライダーハウスに着くと一安心。やはり、まだちんたしか宿泊者はいないようだ。このライダーハウスは周囲に家など一軒もない、ホントに丘の上の一軒家という感じで建っている。部屋の広さは20畳ぐらいあろうか?一人で泊まるには広すぎるくらいに部屋が広い。そこはかとなく汲み取りの香りが漂うのはご愛敬か(^^;)。水道から出る水はやたらに冷たい。とりあえず荷物を開いて、着替え、もらったトウキビをぼりぼりと食べる。うう、北海道に入って初の北海道らしい食材を使った食事であるが、なんか違うような気がするぞ(^^;)。

 一人というのは退屈なモノで、テレビでも見てるしかする事がない。ほげ〜っとテレビを見ていた夜8時頃、どうやら、今晩の宿泊者第二号と第三号が到着したらしい。

 「こんばんわ〜」

 なんと、到着したのはカップルライダーであった。兄ちゃんと姉ちゃん。ありゃまぁ、先に投宿したのに一気に邪魔者に転落である。哀しすぎるぞ、今晩、ちんた!

 聞いてみると二人は関西から来たとのこと。小樽で上陸して、いろいろ回った後にここまでたどり着いたが、旅も終盤で、明後日には北海道から離れるのだとか。お互いサラリーマンは大変ですよね〜。さすがカップルだけあって毎日ライダーハウスというわけでもなく、ライダーハウスだったり民宿だったりとメリハリをつけているらしい。「昨日の民宿は食べきれないほどのカニがうれしかった〜」とはお姉ちゃんの弁。む〜ワタクシ今回そういうものは食べられそうにないです〜。

 「ところで、トラクターの人って見ました?」

 な、なぬ!?それって僕が昨日網走のライダーハウスで聞いた奴かな?ここでもトラクターか!(^^;)。

 「私も見てないんです」

 う〜ん、俺も見てないけど・・・。どうやらこの二人も見てはいないが泊まった各所のライダーハウスで話を聞かされているらしい。もしかして、トラクターの人、超有名人なのか?なんかすごく見たい(^^;)。

 「おじさんと若い女の人が乗ってるんですよね」

 あら、いっしょに乗せてる女の人ってのは若いのか?あらら、てっきり嫁さんか誰かを乗っけていると思ってた。ううむむ、若い女の人て自分の娘かな?何かなう〜ん。聞くところによるとずいぶん話題になっているようで。ますます見てみたい!!(^^;)

 ライダーハウスは比較的夜が早いことが多い。門限があるところもあるが、そうでなくてもおおむね夜10時には寝入ってしまうことが多い。ライダーにしてもチャリダーにしても疲れ切っていることが多いのだ。どちらかというとちんたなど速攻で寝こけてしまう方である。

 が、このライダーハウスには敵が多かった。虫が多いのである。なんかどこかしらにダニがいたのか、ちんた、妙なかゆさで目が覚める。うおお、ダニかよ。ま、考えられないことではない。寝具付のライダーハウスだったので必要ないかと思っていたシュラフを広げて敷布代わりにしてダニをシャットアウトする作戦に出る。こう言うときは一枚布のように広げられる封筒型シュラフは便利だ。偉いぞ、とてもアルペンで980円で買った代物とは思えない役立ちぶりだ。が、敵はダニだけではなかった。蚊が多いのである。ちんた、北海道は蚊が少ないと思いこんでいただけに、あっちゃこっちゃ蚊に食われて不機嫌だ。ついにシュラフを全身にかぶることにするが、こんどはそれはそれでめっちゃめちゃに暑いのである(^^;)。これには参った。どうするか。どうやら、同宿のカップルも同じように悩まされていたようで、どちらかというと泣き寝入り的に我慢の子でいる作戦を取ったちんたとは対照的に、こちらの二人は積極的に撲滅する作戦に出たようである。

 パチン

 手を叩く音がする。「叩いたよ〜〜」と姉ちゃんの声。陰ながらちんたも「ああ良かったねおめでとう」と心の中で思う。ところが、この姉ちゃんはずいぶんきれい好きらしい、蚊をつぶした手を洗いに流しに立ち7,8分近くかけて延々と手を洗っている。そういえば歯を磨くときも30分近く歯ブラシをくわえていたっけ。ひとしきり洗った後にようやく寝床につく。やっと寝れるね、良かったね。





 ぷぃ〜〜〜ん。






 暗くしてみて初めてわかるその音、その気配。「まだいるよ〜〜〜」どうやらまだ何匹か残っているようである。再び蚊は姉ちゃんの方に飛来していったらしく、姉ちゃん密かに闘っている気配がする。パチン。お、撃沈したようだ。そして姉ちゃんはまた流しに立ち、延々と手洗いを続けるのである。そんなことが二度三度続いたところまで聞いてちんたは爆睡してしまったが、彼女の夜はちゃんと眠れたのだろうか?(^^;)

実はちんたもあんまり寝られませんでした(^^;)。



  =22日のお小遣い帳=
項目
金額
コインロッカー使用料(網走駅)
朝食(網走・コンビニ、コロッケパン、サンドイッチ)
昼食(網走・コンビニ、ジャンバラヤ)
給水・補給食(常呂・コンビニ、なんだっけ?)
ライダーハウス宿泊費
給水(佐呂間・自販機)
300円
380円
500円
240円
500円
110円
本日の合計
2030円

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