第4回'99オホーツクサイクリングロード
25km個人タイムトライアル競技大会('99.8.22)



 思い立ったのはいつだったか・・・・みたいな話になるんだけれども、北海道旅行に合わせて、その途中でレースかサイクリングイベントに参加できないかな・・・と思っていた。で、サイクルスポーツなんぞをぱらぱらとめくっていて見つけたのがこのレースである。

 レースとは言っても、いつものみんなでスタートするマスドスタートのレースとは違い、個人タイムトライアルである。とにかく一人で走って走ってそのタイムを計測する・・・というもの。マスドスタートのレースに比べて駆け引きとかそういうものの影響は少ないのかな?その代わり、25kmをただひたすら全力で漕ぎ続けるわけで、強烈なメンタルタフネスが必要ともされる・・・(と思う。よく知らないんだ、これが(^^;))。

 ま、そんなわけで、北の人々とのレースとはどんなもんじゃいな?ということを見るために、今回、北海道旅行にこのレースを組み込んだ次第である。個人TTならば、他人との接触・落車で怪我したり、自転車を傷めたりしてその後の旅程をパーにする可能性も低いだろう・・・そういう目論見も、まぁある。

 出走受付は朝7時半から開始される。このため、5時半には投宿していたライダーハウスをがさごそと抜け出し、網走駅前で自転車をレース用にいじり回す。ま、レース用にといってもベルやリフレクタ外したりするだけなんだけどね。外した部品や荷物の一切合切をコインロッカーに預けて会場の大曲公園に向かう。

 受付開始の30分近く前に着いたにも関わらず、大曲公園ではすでにテントが並び受付が始まっている。受付を済ませるとプログラムと参加賞をもらった。参加賞は網走刑務所で焼いた陶器のカップ。ほどなく開会式が始まる。ここでちんた初めて知ったのだけど、「遠来賞」なる賞が設定されていて、要は最も遠くの地方からエントリーしている人が貰えるらしい。これがどうも選手名簿を見る限りどう見てもちんたが一番遠い(^^;)。案の定、遠来賞はちんたのモノらしく、ちんた、ステージに上げられて賞品をもらう。どうもどうも。なんだかエントリーした時点で貰えるコトが決まっちゃってる みたいでなんか悪いなぁ(にたにた)。

 開会式が終わると、皆スタート地点に移動する。というのも、この大曲公園はゴール地点なわけで、25kmTTというからにはスタート地点は25km離れたところにあるわけで、そこまで動かなくてはいけないわけだ。で、道内各地からおいでの皆様は当然車で来ているわけで、それぞれみんな車でスタート地点に向けて動き出した。ちんたは車が無いというのもあるけど、ウォーミングアップを兼ねて25kmのコースを逆走してスタート地点に行こうという腹づもり。とりあえずひともがきして汗を一回出し切ってしまおう、以前のTOJでもそうしたら体調良かったのでそれで行くことにする。

 タイムトライアルコースであるサイクリングロードは能取湖をぐるっと巻くように設定されている。コース上には登りが2カ所あるが、これはそれほどの高さではない。



 このコースを逆走してスタート地点に向かう。意外なことに、25kmを逆走してアップしようと考えたのはちんただけらしく、完全な単独走。とりあえず、アップはアップでしかないので前半は少しもがいて後半は楽に流してしまおう。コースの路面状態はとてもスムーズ。が、今日はどうにも風が強い日らしい。南西の風らしく、コースのほとんどが向かい風となる勘定だ。つまり逆走しているウォーミングアップはそのほとんどが追い風に追われとても快適である(おい)。本番ではどうやら二見ヶ丘まではずっと向かい風の苦しい戦いになりそうだ。とにかく、二見ヶ丘を越えてしまえば下り坂だし追い風なのでなんとかなるだろう、とりあえず、ここから後のことは考えずとにかく、ここまでを耐えて耐えて走り抜く、そして二見ヶ丘からは下り坂&追い風パワーでゴールになだれ込む・・・とりあえずはそんなちんたのレースプランを思い描く。

 第一走者の発走は9時半である。ちんたのスタートは11時18分。うう、2時間近くもある。とりあえず、この間はアップをしてみたり、ぼーっとオホーツク海を眺めながら過ごす。

 周りを見ていると一家で参戦・・・といった人が多いのに気付く。中学生・女性がとても多い。みんな熱心なんだなー。だいたい180人もエントリーが集まっているところがそもそもすごい。みんな格好も本格的だしさ。ちゃんとサイクルジャージとパンツなの。コスプレとかもいないし(いたらいたでウケるけど(^^;))。そうそう、ツール優勝効果なんだろうか?USポスタルのジャージの人もいたな。熱心さはウェアだけでなく機材にも。みんな高そうなタイヤ履いてるんだわ。これがいわゆる決戦用タイヤって奴かえ?ホイールもディープリムとかディスクホイールとか。うう〜この強風下では威力あるかもしれないね、そういうの。ちんたもホイールにサランラップでも巻いてインスタントディスクホイールにでもしておけば良かった(←以前、なんかで結構効果があると読んだことがある)。なんか中学生なんかも良い自転車乗ってんだよなぁ。なんだよ、そのデュラエース(←超いい変速機とかその他)とかつけた自転車はよ(^^;)。

 ま、暇なんでそんなことを思いながら過ごしていたわけだ(笑)。

 11時頃になって、やっとスタート地点へ。ゼッケン確認の後、もう自分の数人前の選手が1分おきにスタートしていく。う〜、あと4,5分で自分の番だ。相変わらず風は激強い。

 自分の前の選手がスタートしていく。いよいよ自分の番だ。
 前と後ろに係のおっちゃんがつき、自転車を支えてくれる。その間にちんたはビンディングペダルに足をセットするのである。
 「30秒前」
 傍らにいる、計時の人から声がかかる。む〜、これから25km、俺、どうなっちゃうのか。いつものことだけど、スタート前はこえー(^^;)。
 「5,4,3,2,1,スタート」

 スターターの合図とともに飛び出す。とにかく最初は軽い下り坂でもあるので、全開で飛ばす、というか、もう後先考えずにその場その場で回せるだけ回していこう。それにしてもとんでもない風である。全開で回すのもままならない。ほどなく軽い上り坂区間に入り、さらに回し辛くなる。

 一つ目の丘を下っていくと、能取湖のほとりに出る。景色はとても良いようだけど、向かい風はさらに増しちゃうんだな、これが(^^;)。とにかく二見ヶ丘まで行けばなんとかなることだけはわかっている(というかそれを信じている、すがっている)。我慢して我慢して我慢して漕ぐのだ。メーターの平均速度がみるみるうちに落ちていく。あうあう、よわぞうだぁ(^^;)。距離計を見ても悲しいくらい距離が進んでいかない。5km地点や10km地点などでは、まだ半分さえ走っていないことに愕然とする。

 平和のあたりで1分後にスタートした選手に抜かれる。うわぁ、またちんたの地獄の道行き物語スタートである。強烈に情けない瞬間、オーバーテイク。そういえばツール・ド・フランスでもアームストロングに何人もの選手がこれをやられちゃったんだよねぇ。彼ら、どんなキモチだったのか。抜かれて頑張ろうと思えどもこれ以上には回せない情けないちんた(^^;)。

 二見ヶ丘の手前の上り坂区間にさしかかる。とにかくあの頂点まで、あの頂点まで行ってしまえば何とかなる。もうスタートからずっとそれだけを信じてやってきたことだ、もうすぐもうすぐ。とにかくそれだけを考えて、上り坂&向かい風の中を漕ぎ倒す。頂点手前で、また後ろから来た選手に抜かれる。ゼッケンを見ると相当後方から来た選手だ。こんな後ろの人に抜かれるちんたもちんただが、そもそもこの人何人抜いて来ているんだ!?おとろしい(^^;)。

 二見ヶ丘、頂点である。果たして、風は、本当にここを境に追い風になった。しかも下り坂である。もう、すでに、大した結果で無いことは分かっているけれども、それでもこれは個人タイムトライアル、1秒でも縮めに入らなければならない。追い風と下りに助けられ、ちんた、ギヤをトップ11Tに入れて漕ぎ倒す。漕ぐ漕ぐ漕ぐ漕ぐ。前方になにやら前にスタートした選手が迫ってくる。おおお、ちんたもいよいよ人を追い抜く時がきたのか?とにかく漕ぐ、ひたすら漕ぐ。前にいた選手もかなり終わっちゃっていたようで、漕ぎ倒しモードのちんたは並ぶ間も無く追い抜く。おお、ちんたのくせになんだかすごいぞ(笑)。残りは3kmにも満たない距離である。とにかく、下り坂でついた40km/hの勢いをそのままにトップギヤ11Tを踏み倒していく。うおりゃぁぁぁぁ。もうこのあたりからダンシングも入ってくる(←終わっていることに違いはないので続かないけど(^^;))。いよいよゴール地点の旗も見えてきた。

 残り500m。とにかく後は死ぬ気でダンシングだ。かすかにゴール付近の賑やかな様子を感じる。実況中継が入っているようだ。残り100m。最後の橋を渡りきればゴールである。実況らしき人が叫んでいる、

「さぁ、次に来ます選手は118番、ちんた選手、東京から来た選手だ、さぁダンシングだダンシングだ!そのまま来い!そのまま来い!そのまま来い!今、ゴーール!!」

 最後はハンドルを投げ出すようにゴール。・・・・・・・・終わったぁ。

 もう、抜け殻なちんたである。ふらふらになってメットカバーとゼッケンを返納に行く。返しに行くと「焼きそば券」と「ジュース券」が貰える。会場に出ている屋台で貰えるらしい。サービスのいい大会だなぁ・・・。ジュースはふつうの缶ジュースだったが10秒も経たないうちに飲み干してしまった(^^;)・・・・・・・はぁ。

 リザルトをもらうと、ちんた、51分台だということである。うへぇ。流して走ったウォームアップよりも4分近く遅いのである。恐るべし向かい風。ちなみに、順位は青年の部では9人中7位。う〜ん、相変わらずよわよわですな〜。オーバーオールでは完走150人中90位だそうな。む〜。ちゃんと鍛えないとダメやね、やっぱ(^^;)。

 会場の片隅では、TT中の姿を撮影した写真なんかも展示してある。いつのまに撮ってたんだ、こんなもん。ちんたのもあった。が、あまりに走ってる姿がかっこわるいのと、3枚2000円に逃げ腰で結局買わなかった(^^;)

 それからすべての選手がゴールするまで1時間あまり。それが終わると閉会式だ。
 閉会式は、たくさんのスポンサーのおかげでやたら豪華だ。CDラジカセ、無料航空券、ジャージ、貴金属、お米、焼き物・・・。各クラスとも1位の選手は持ちきれないほどの賞品をもらっていた。これが全部地元の商店の協力によって出ていると言うから驚きだ。女子の部の1位は中学生だったのだけど、彼女がもらったネックレス、どんな時につけるんだろうね。ちなみに女子の部は10位賞とか20位賞とかも設定されていて、そちらもサファイヤリングとかをもらっていて優勝者を遜色無いものをもらっていた。閉会式の最後には、もう一つ提供されている無料航空券を巡ってのじゃんけん大会、そして、閉店する屋台の焼き鳥等の無料大放出などあって大盛り上がりのうちに閉会式が終わった。

 それにしても、この大会は、大会役員を始め、コース各所での警備、計時、進行等々、実に多くの人が働いていた。これには本当に頭が下がる思いだ。出る方も、それを支える方もすごく自転車が好きなんだな〜ということを痛感したレースでありました。
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