8月27日 −ベルギーGP三日目決勝−

 朝5時ちょい前くらいに起床。まだ外は真っ暗である。ヨーロッパ、日没は遅いが、日の出も遅い。とりあえず、今日は前日からYHで同室になったオーストラリア人ボイヤン君夫妻とともに同じく同室の石川県から来た大学生君といっしょについて行くことにしたのである。ボイヤン君、とにかく元気で今回の観戦にも燃えている。「明日は5時起きでリエージュ・ガルミン6時10分発の電車で行くんだ、俺はブロンズ席だから早いウチに行かないと良い席が取れないからな。」と前日からファイト一発やる気満々であった。とりあえず同じくブロンズチケットしか持っていないちんた、これに便乗しようという思惑である。  しかし、窓の外は雨。それもかなり激しい。リエージュからは40kmほど離れているとはいえ、こりゃフランコルシャンサーキットも雨・・・だろうなぁ。現地で出会った日本人の中には「せっかくベルギーGPに来たんだから『スパ・ウェザー』を体験してみたいなぁ」とまるで雨を待ち望むようなことを言っている人も居たが、ブロンズチケットすなわち土手や崖の上で観戦することになるちんたとしては、んなのもの無いままに終わって欲しかった、その雨である。


 ボイヤン含めて4人、まだ薄暗いリエージュの街に出てバスを待つ。リエージュのバスは定刻に対して遅れの度合いがひどく、今日もやきもきさせたがとりあえず6時10分の列車に間に合うようには走ってくれた。
 まだ朝が早いせいか、駅の売店も開いておらず、ガゼッタでも買って予選順位を確認しようと思っていた思惑は大きくはずれる。結局、詳しい予選順位を知るのは決勝のスタートを見るまでわからなかった、実に不便なり海外生観戦(金ケチってるからだって(^^;))
 ボイヤン曰く「スパまで行かないで途中のベルビエ駅で降りるんだ、そこからのバスに乗った方が早くサーキットに着くぜ」とのこと。かなり自信満々だったのでついていってみれば、ベルビエ駅からのバスが出るのは7時半、約1時間の待ちと聞いてちょっとショック。この日、列車組はスパまで行く派とベルビエ派が約半々。とりあえずコーヒーでも飲みながら朝食。もう2日も前に買ったパン、ハム、チーズだけど、まぁいいや食っちゃえ。こんなところでも節約旅行。200BF(約600円)ほどで買ったパン、ハム、チーズを2日間に渡って食いつないできたことになる。
 最初は、気丈にも「待つんだ」と言っていたボイヤン、次第に我慢ができなくなってきたのか、7時頃にたたたっと駅前に止まっているバスに掛け寄り運転手となにやら相談している。そのバスは「スペシャル・サービス」とか書かれていてGPの為に出ている臨時運行なのか何かの貸し切りなのかよくわからない風情。それでも何事かを話し合ったボイヤンが駆け戻って来て「ケン、行くぞ、アレに乗るぞ、100BFでサーキットにも寄ってくれるそうだ」とのこと。おおお、そんな交渉をまとめていたのか、ボイヤン偉い。やっぱ英語ネイティブが一緒だと便利だねぇ。ちなみにこの100BFという値段、正規の値段よりも安かったりする。
バス:
YHの近く〜ガルミン駅
42BF(約100円)


 バスはこれまで乗ったバスが到着していた所ではなく、オールージュ近くのゲートにほど近い駐車場に直接乗り付けた。こんなところにもゲートがあったのか。100BFということだったけど、なぜか誰も金を取りに来ないまま下車。ボイヤンと二人でウシシと100BFを再度ポケットにしまう。
 フランコルシャンサーキット、やはり雨。今日はこの雨と一日闘うことになるのか。あの「スパ・ウェザー」を体験していると思えばこそ許せるようなものだけど、あまり歓迎できないなぁ。
 ゴールドチケットを持っている大学生君(彼はダフ屋から購入したようで、初日はブロンズ。二日目はシルバー、決勝はゴールドとわらしべ長者のように毎日ダフ屋と交渉して成り上がっている。ちなみにこの指定席のダフ屋価格、公式価格よりは高いものの、日本の代理店(J●Lなんとか)を通じて買った人たちよりは遙かに安い価格だった)とはここでお別れ。ちんたはブロンズ組としてボイヤン夫妻と「Let's go with mw」。


 ボイヤンはずんずんとサーキットの奥の方、スタブロの方へと向かう。後から一生懸命ついていく奥さんとちんた。ボイヤン曰く「これだけ歩けば、お前の自転車にも良いトレーニングになるだろ?」・・・ううむむむ、それくらい歩いているのである。朝8時前なのだけれども、すでに多くの人がサーキットに居て、人をかき分けかき分け歩く。こいつらみんな駐車場でキャンプ組なのである。気合いで早起きのボイヤンもこいつらには勝てず、狙い目の観戦エリアに行くとそこはもう一分の隙もないほどにびっちりと埋まった人、
 しかし、ボイヤンも負けてはいません、どうしてもサーキットビジョンの見える位置に居たいようです。「俺は今日はここで立ち見で行くぜ」とのこと。えええ?これからずっと?レースが終わるまで8時間近くあるぜ?さすがオージービーフで育った強い体、欧米人の底力を目の当たり。よわぞうなちんたさんさすがにこりゃたまらんということで、「んじゃ、俺はもうちょっと上の方に行ってみるよ」とボイヤンと別れる。


 しかし、その「上」に行こうにもすでに降りしきる雨のため、上に登る通路はすでに川のよう。それに逆らって登るさしずめ滝を登る鯉なのでありますが、すでに初手から靴完全水没、もともと自転車用のシューズで靴底に穴が空いているため防水性などゼロ。入り放題に水が入ってきます。ぐっちょぐっちょ。渋谷の百円ショップで買ったレインコート大活躍です。
 もう、すでに人で一杯で、隙間を見つけるのにも一苦労、おまけに雨で地面がぬかるんでいるので座れる場所がさらに少ない。へたなところに座ると体ごと足下の地面が崩落していってしまうので・・・つーか目の前で何人もが土手下に転げ落ちて泥まみれになっている。ただでさえ人が多いので足を踏み外して転がり始めると巻き添え多数。ちんたさん、一歩一歩慎重に歩を進め、ちょっと大きめの岩の上に腰掛けることにします。朝のフリー走行はここで観戦。


 ちんたの座ったエリアはどっちかというと「シューマッハエリア」。ドイツ人ぽいのが多い。聞いてみるとやっぱり「シューマッハー、イエー」とのこと。こちらが日本人だと知ると「HONDA?HONDA?」と聞いてくる。まぁ嫌いじゃないけどさ、ホンダ。今年は日本人ドライバーが居ないんだよねぇ。そういう意味でなんか日本人ドライバーの名前を挙げてイエーとか言い返してやれないのがちょっと寂しい。昨年高木が在籍していたアロウズ、その高木の後がまのようにシートを得たフェルスタッペン(オランダ)はここベルギーでは意外に大人気。ま、お隣の国だもんね、とは思うが、日本人から見ると意外なほどにフェルスタッペン大人気。そこら中にオレンジ色の応援フラッグがはためいている。


 フリー走行が終わると、決勝までは4時間の待ち時間。どういうわけか途中でやるはずのポルシェスーパーカップの決勝がキャンセルされ、さらに暇こいてしまうわたくし。
 今日の席取り状況を見るとあまりうろうろ動くわけには行かない。一度動いたら、もうその席は無いだろう。とりあえず、1回だけ昼飯、そしてトイレに行き、改めて席を確保。今度は大きな岩は無いものの30cm大の石がごろごろしていたので、それをいくつかかき集めて背もたれ付きのマイシートを作ってみる。そばで見ていたドイツ人が「器用だな、日本人」と誉めてくれた。もう決勝レースが終わるまでの4時間、このシートに張り付けになる覚悟だ。


 しかし、雨の中ひたすら待ち続ける。一人なもんだから、さらにする事が無くぼーっと待ち続ける。今回のヨーロッパ旅行、3週間ほど経過して「ひまつぶし」にはずいぶん長けてきたのではないかとも思うのだけど、それにしても暇である。
 そこらへんは周辺にいる欧米人もそうなのか、たまに意味無くウェーブを立ち上げてみたり、花火を打ち上げてみたり、エアホーンを鳴らしてみたり。
 ちなみにここスタブロコーナー近くの観戦エリア、決勝日で最も盛り上がったのはこの時。なぜかそこら中にいる観客がエアホーンを鳴らし始め一瞬騒然となった。なんじゃなんじゃ・・・と目をこらすと、トイレに行くほど我慢できなかったのか、コースマーシャルの一人がコース脇の土手で立ち小便。みんなそれを見てやんやの喝采なのである。他のマーシャル仲間も手を振って「みなさま見てやってくださいませ〜」とばかりに観客をあおる。エアホーンさらに鳴り響く。用を足したマーシャル氏、観客席に向かって返礼・・・アホかこいつら(^^;)。決勝レースよりも盛り上がったひととき。ちなみにこのシーンはこの後、2、3回繰り返されていた。コースマーシャルも大変なのね。


 決勝レースが始まる頃になると雨が小やみになってくる。日本でTV観戦をしていた皆さんは、放送始まった時点では小降りの雨で、レース始まってすぐにドライ、「今年のスパ・ウェザーもたいしたことないな」とか思っていらっしゃったかも知れませんが、その前までは豪雨だったんだから、もう。
 ちなみに決勝レース、サーキットビジョンが見えない位置なのでやっぱりレース展開がさっぱりわかりません。スタート直後から天候の変わり目で続々とピットイン・・・な展開なもんだから、もう初手からレース展開がさっぱりわかりません。「え〜なんでシューマッハが5位で戻ってくんのよ」「ありゃ〜、なんで今度はいきなりトップで戻ってくるのよ」もう、周りのドイツ人たちもよくわかっていないらしく、ピットイン前後の仮の順位変動にも一喜一憂するばかり。いや〜TV中継の今宮さんがどんなに便利な存在かを思い知る決勝レース(^^;)。
 レース展開はさっぱりわかりませんが、ちんたのいるコーナーからは目の前のコーナーの他に、谷を越えた向こう側の丘にさらに裏のストレート、プーオンが見えます。丘の中腹のコースでそこを全開で走って行くわけですね。はるかかなた、アルデンヌの森にこだまするV10エンジンの咆哮、咆哮、咆哮。それはあまりに幻想的で、しかしながら同時に刺激的で、官能的で。マシンは見えませんが、まだウェットの路面、走る車が立ち上げるウォータースクリーンが300km/hで森の中を駆け抜けていきます。レース展開はわからないけれど(わからないからこそ?)、ぼーっと、口半開きで森の中を駆け抜けていくマシンに見とれ聞き惚れるちんたさんなのでした。


 ま、決勝レースの様子はTVや雑誌見たみなさまの方がよく知っているでしょう、つーか、ちんた全然知りません。せいぜいハッキネンが勝ったのだな、というくらいです。

 そんなわけで、決勝レースも終わり・・・といきなりはしょってしまうわけですが、周囲のドイツ人達の落ちこみっぷりといったら。逆にフィンランド人?ハッキネンのファンらしき一団は大盛り上がりで歌いまくっている。一昨日(1日目)に会った人に、「なんかこっちの人って面白いよ〜、ミカ・ハッキネンの勝手な歌とか作っちゃってみんなで歌っちゃってるんだよね〜」と言う話を聞いていたが、これが噂に聞く「ミカ・ハッキネンの勝手な歌」といふ奴か。

「♪ミーカハッキネン、ミカハッキネン・・・・♪」

もう、そこら中のハッキネンファンが歌いまくっているわけです。たまに静かになったかな?と思うと、また誰かが、「Who,won,today?」と叫びそれを合図に

「♪ミーカハッキネン、ミカハッキネン・・・・♪」

と、これが延々と繰り返されるわけです。恐るべし「ミカ・ハッキネンの勝手な歌」。おそらく、今年ベルギーGPを訪れた日本人(つーか、海外観戦した人)の多くの人の頭にこびりついて離れないであろう「ミカ・ハッキネンの勝手な歌」。


 決勝が終わるとコースオープンになるので、ちんたもいそいそとコースに繰り出します。やはり目指すはあそこ、「聖地オー・ルージュ」でしょう。実際に登ってみると実に坂がきつく、上から見下ろした感じではちょっとしたスキーのゲレンデくらいに勾配がきつい坂です。長さはそれほどでもありませんが、斜度がきつく、ちんた&自転車なら確実にギアは最も軽くインナー・ローという感じ。ここを時速300km/h近くで駆け上がってしまうのですからF1というのはものすごい車でもあります。
 そのまま、オールージュからコースを逆走する感じでスタート地点の方に歩いていきます、ちょうどそっちの方がいつものバス停に向かう方向なのです。ちょうどパドック裏を通る感じなのですが、もうすでに各チーム撤収作業をかなり終えていて、もう出るばかりのトランスポーターも居ます。
 歩いていると、ブロンズ席に居た人なのかゴールド・シルバー席に居た人なのかが一目でわかって面白い。ブロンズ席にいたのはちんたも含めてどいつもこいつも足下が泥だらけである。全身泥とか背中一面泥とかいうのもちらほら。そこらへん、ゴールドなみなさまはずっとスタンドに居たもんですから塗れはしただろうけど足下は泥一つ付いていません。
 ゲートを出ておみやげ屋なんかをひやかしながらバス停へ。け、レースも終わったってのにぜんぜんディスカウントしねぇんでやんの。そこらに出ているレストランではいい感じに酔っぱらっている人多数。
 さすがに決勝が終わった後なのか、そこら中の駐車場から出ようとする車で道は大渋滞。こりゃ〜当分動かないねぇ〜、ベルギーGP三日目ここに至って初めて鈴鹿のような混雑に出くわす。
 すると前方の角にバスがいるのが見えるではないか。あのバスを逃しちゃうと今度は1時間後なんだろ?こりゃなんとしてでもアレに乗らなくては、ということでちょっと小走り。だが、そこは渋滞の威力かちょっとも頑張らないでも速攻でバスを追い抜いてバス停に着く。


 バス停に着いてみると、これもまた3日間では一番の混みよう。それでもバス2台もあれば全部積めちゃうかな?というくらい。でも並ぶのたりーなー、と思っていたら、

「おーい」

と、手を振ってこちらを呼ぶ声。おや?まぁ!?セニョールだ。なんたる偶然。その横には初日に一緒だった新婚夫婦、二日目に一緒だった日本人も居る。「おー」とか言いながらいかにも友達のふりしてセニョール達のいる列の先頭の方にさくっと紛れ込むわたくし。悪魔である。結局、バスに乗り込んだのは一番最初でみんなの分、席取りまでしちゃってるんだからスーパーウルトラ図々しいである(^^;)。


 バスはこれでもかというくらいに客をすし詰めにして(でも僕ら座ってるし楽ちん)発車。しばらくはゆるゆると進むだけだったけど、高速道路?に入って順調に動き始めた。
 毎度のように、この時になって他の人から本日のレース展開を教えてもらうわたくし。重ね重ね何のための生観戦か。実際、ゴールドチケットってのは鼻血が出そうなほど高いチケットなのだけれども、しっかりと金額分くらいの違いはやっぱりあると思うぞ(^^;)。
 そうそう朝から気になっていたのだけど、野宿したセニョール、雨どうだったよ?

 「いや、もう、朝から寒くて寒くてさぁ〜」

 彼が言うには朝の4時頃から降ってきたんだとか。それでも彼が力説していたのは、夜中もケメルストレートのあたりには結構人が居たし、森の中は落ち葉で良いクッションが効いてて雨さえ降らなければすごく快適な寝床だったとのこと・・・でも雨降っちゃったじゃん。
 新婚さんの方はというと、どうも昨晩、ブリュッセルのレストランでぼられたらしくかなりご立腹のよう。つーか、それよりも旦那が結婚指輪をいつの間にかすられるという事態に遭遇してんやわんや。こちらもちんたに負けず劣らずのトラブルっぷり。最初は「なによー、どうしてそんなもの無くすのよ〜」となじっていた嫁さんも、いつのまにか、「帰ったらまた買おうね(はぁと)」と手をつないで仲直り。新婚パワーは強いでんな。


 スパから列車に乗り、いつものようにベルビエ駅で乗り換え。乗り換え待ちの間、セニョール、新婚さんなどと話していたら、後ろから肩を叩かれる。
 「Hey,Ken!」
 おや、まぁ、ボイヤンじゃないか。あんたもあの列車・バスに乗っていたのか。YHで同室だったんだとセニョール達に紹介し、そういえばその前の日までは同室だったんだ、とセニョールをボイヤンに紹介。聞いてみると、ボイヤン、あの後まじで決勝レース終了まで立ちっぱなし観戦したらしい。恐るべきオージーパワー。横にいた奥様はちょっと疲れ気味。疲れた?と聞くと「Yes・・」と苦笑い。クルサードファンのボイヤンにとっては、このレース、クルサードのへたれっぷりが目立ったため、かなり意気消沈気味のよう。


 ちなみにセニョール、本日はこのまま夜行でブリュッセルに向かうつもりだったらしい、YHに予約は取っていない。が、偶然、ちんたに会えたので、シャワーだけでも浴びさせて欲しいと言う。ま、しょうがないか、お互いあの豪雨の中ブロンズ席だもんな。ここまでお世話になりっぱなしだったし。YHはカードキーさえ持っていれば出入りOKなのでちんたがカードを持ってさえいればセニョールもさくっと部屋には入れてしまう。
 そんなわけで、また一緒にYHまでバスで。う〜ん、まさか今日も一緒に行動することになるとは。もちろんイヤであろうはずがない。
 YHに戻り、シャワーを浴びて洗濯。とにかく靴下、靴が濡れまくっているので臭いのなんの。少しでも何とかしないと明日からの自転車行にも響いてしまう。洗濯タイムである。セニョールはセニョールでドロドロになった寝袋を洗濯とこれまた大技に出ている。とりあえず互いの洗濯物を部屋に干し、頃あいだと言うことで飯を食いに出る。また、例のケバブ屋。安いからとはいえベルギー料理をまったく食わずに毎日トルコ・ギリシア料理というのもどうよ?とは思うが何よりも安いし長居してても平気だし・・・・。もう完全に顔を覚えられているので(そりゃそうだ、4日連続で顔を出した日本人なんてこの店に取ってみればそうはいないのではないか?(^^;))、店員さんもニコニコと「またかい!?」と迎えてくれる。注文もほとんど「いつもの!」の感覚。ピタ、スモールサイズ、サラダはオール、ソースはサムライ。ビール1缶も含めてこれで160BF(約400円)。本日は、ちょっとあまり気味だったテレホンカードをセニョールが買い取ってくれて、ここの支払いは全部彼が出してくれた。
 相変わらずセニョールとはレースの話。今日のレースのこと、昔のレースのこと。たまにお互いの旅の話なんかも交えながら。この日はお互いちょっといい気分でビールを追加注文して少し贅沢(いやそうはいっても1缶40BF(約100円)だけど)。リエージュ最後の夜も楽しい夜となる。あこがれのベルギーGPも見られたし、これでヨーロッパに来てするべきことは全部やりきったかなぁ・・・ちょっぴり幸せ気分でビール缶を傾ける。
 ほどなく、石川県から来た大学生君も顔を出す。

 「いや、この店に来れば(ちんたが)居るんじゃないかと思って・・・・」

 ベルギー・リエージュでまで行きつけの店(?)を探し当てられてしまうのってどうよ?つーか、日本で言うと「いや、ミニストップに行けばちんたが居ると思ってさ」と言われるくらいのかっちょ悪さもありや無しや(^^;)。大学生君も交えて3人で本日のレース批評などなどなど。


 部屋に戻ると、なぜか本日は誰も同室者がいないようだ。今日はボイヤンは夫婦で同じYHのツインの部屋にルームチェンジしている。もう、受付は閉まってるからこれから誰かが入ってくることも無い。・・・のでセニョール、そのまま泊まってしまうことになる。いーのかなー。ま、僕は見なかったこと知らなかったことにするんでよろしくね(^^;)。大学生君も部屋チェンジで同室に。さすがに三人とも豪雨の中長時間サーキットに居て疲れ果てたのか、10時半には誰が言うともなく消灯となったのでした。

さ、明日からはちんたも自転車再会だ。寝るべ寝るべ


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