8月23日 −さよならドイツ−

 アーヘンのYH、森の中での朝はとても気持ちいいです。ちょっと早起きだったので、そこら辺を散歩してみたり。
 本日の行程は国境越え。長らくお世話になったドイツともいよいよお別れです。うまい具合にドイツマルクもほとんど尽きてきました。国境越えと言っても、アーヘンのYHそのものが国境から5km程度しか離れていないところにあるため、出てから20分と経たないうちに国境越え。丘を一つ越えるとベルギーです。
 EUはどこでもそうなのか、国境を越えてもそれらしき標識とかがほとんど見あたりません。よっぽど日本の国道沿いにある「ようこそ※※町へ」とか「またどうぞ**市」とかいう看板の方が大きくて目立つ感じ。正確にはどこに国境があったのかよくわかりません。昔の国境検問所?らしき小屋が道の真ん中に建っていたけどあの辺りがそうなんだろうか? 


 ベルギーに入るととりあえず自転車道が消えます。ベルギーに限らずどこでもそうなのですが、自転車道が無いとなるといきなり自転車の走るスペースがないというか、路肩そのものが無くなるのはヨーロッパ共通なのでしょうか?路肩の隅っこの隅っこの方をおそるおそると走ります。
 自転車で国境を越えるのは2度目です。とりあえずやらなくてはいけないことは一に現金、そして地図の調達。朝早くからあいてるのかな?と思ったけれども、意外とあっさりと銀行を見つけ、ベルギーフランをゲット。長らくドイツマルクに慣れていたので、ベルギーフランの価値がいまいちしっくりときません。いちいち日本円に頭の中で切り替えて・・・・。
 地図は銀行から2,300mほど進んだ所にあったガソリンスタンドでゲット。ヨーロッパでのツーリングのオアシス、ガソリンスタンドの存在はベルギーでも健在のようです。ついでに、聞いてみました。

 「ベルギーでは『ありがとう』ってどう言うの?(←英語)」
 「メルシー」

 あ、ここはフランス語圏だったのね(ベルギーは仏語圏と独語圏がある)。フランス語は学生時代いちおう第二外国語であったのだけど、今思い出してみても、どうやって、どういう基準で単位が認定されたのかわからないくらい当時からさっぱりわからなかった。もう、今や、1、2,3・・・10すらフランス語で書けもしなければ言えもしないというお寒い状況。しかし、この国で1週間近くを生きていかなくてはいけないのである。いや、決してドイツ語がわかっていたというわけでもないのだけど。とりあえず英語でなんとかなるでしょう。
 国境を越えたからって、ものの数kmしか違わないところにいるわけで、そうそうドラスティックに風景が変わるわけでもありません。とりあえずゆるゆると登ったり、ゆるゆると下ったり。そして周りに農地ばかりが広がるのも相変わらずです。ただ、ベルギーの農地は多くが牧草地のようで、あっちでもこっちでも牛が草を食んでいます。見た目でちょっと違うのは牧草地なので草地のあちこちに木がぽつんぽつんと立っていること。日除け?丘の上から見るとそんな牧草地がどこまでもどこまでもどこまでも続いています。折しも空は真っ青で、日本で見るのとは文字通り別世界の広く、青と緑の世界が続いていて・・・。なんとなく道を飛び出して、その丘のど真ん中で寝っころがってみたい衝動もあるけれど、誰かに見つかって怒られちゃうと怖いので(←海外では小心者)そんな欲求を押しとどめる。 


 今日はリエージュまで、と決めていたのですが、アーヘンからリエージュまではものの40km程度。お昼にはリエージュに着いてしまいました。ま、とりあえず宿を確保しなくてはいけません。市街地に着いたら意外にすんなりとYH着。やはりユースホステルガイド、こんな手を抜きまくった人をなめたような案内図でも押さえるところは押さえている。
 実はリエージュのYH、今回の旅で唯一日本から予約を取ってきたYHである。この週末の金曜日、土曜日と予約が取れている。しかし今日は水曜日。今日から泊まって、できれば日曜日まで居たい。要は予約した前後にさらに宿泊を延長したいのである。だがしかし、この週末はリエージュからほど近いところでF1ベルギーGPが行われる。きっとどこも宿探しはきついに違いない(日本GPの時の鈴鹿市内のホテルのイメージ)。さらに実は予約を取るときには日曜日の分も申し込んだのだけれども、日曜日は満員だと言われていたのである。大丈夫か・・・?ま、とりあえず聞いてみるだけ聞いてみようや。
 リエージュのYHはかなり立派な部類のYH。とりあえず、フロントのお兄さんに5泊ほどしたいんだけど大丈夫か?と聞くと、台帳をぺらぺらとめくり、3日目にルームチェンジとなるがそれでも良ければOKだ、とのこと。お、まじ?大ラッキー。つーか、日曜日は満員だという話はどうなったの?インターネット予約当てにならず(^^;)。予約も良いけど一か八かで現場で申し込んじゃうと言うのもありなのね。また一つ経験値を上げるちんた。 


 とりあえず予約はOKだけど、チェックインは4時からでないと受け付けられないということなので、それまで時間をつぶすことに。まずは、リエージュの観光案内所に行ってみましょう。もしかしたら、ここでF1のチケットが手に入るのではないかというもくろみである。が、しかし。さすがにF1のチケットはサーキットでないと買えないようだ。まぁ、それはそれでいいや。代わりにテレホンカードを購入。さらについでにインターネットカフェの場所も教えてもらう。も一つついでに案内所のトイレも貸してもらっちゃったりして。なんだかずいぶん図々しくなってきたものだ。良いのか悪いのか、多少図々しいくらいになってくるとずいぶん旅が楽しくなってくる。日本出国の時からチワワのようにおびえていたのが、柴犬くらいにはなったような感じ。
 と、それにしてもまだ、チェックインまでは3,4時間ほど余っている。結局川っぺりでぼけーっとするばかりで時間をつぶす。今から思うと、こういう時間を使って近郊をサイクリングするとかすれば良かったのだけれども、そういうことに思い至らないのは、それでもまだまだ余裕が無いせいか。川沿いにある公園では芝生の上でたくさんの人がお昼寝。ヨーロッパの人は芝生の上に来るとどうもすぐに服を脱ぎたがる傾向にあるのか、やたら上半身裸の人が多い。ちんたさん、ジャージを脱ぐと二の腕から先だけが真っ黒だったりして、これはあまりにも恥ずかしいのでジャージは着たまま。ひたすらぼけーっと過ごす、ベルギーはリエージュの昼下がり。目の前では船が行ったり来たり。しかし、この数週間でずいぶん暇のつぶし方がうまくなった、というかぼけーっと過ごすことがあまり苦痛でなくなってきた感じがする。基本的に貧乏旅行なので自転車を漕いでいない時間はそのまま「暇な時間」になってしまうのだけれども、そういう時間が多かったせいかもしれない。普通に観光して回るとお金が必要なものだから、そういうのを避けて回ると意外になんにもする事が無かったりするわけで。
 4時半頃にチェックイン。部屋に行くと中はメゾネットになっている。下が2ベッド、上が3ベッド。どうやら隣には教会があるようで、しかも、自分の部屋の目の前に鐘楼があったりして、教会が鐘を鳴らすとやたらにうるさい。これがまたしょっちゅう鳴ってるものだから、鳴るたびにドキドキ。荷物を置いてシャワーシャワー。このリエージュのYH、かなり建物も新しく、ドアはカードキー式だし、部屋の中にシャワーも付いてます。が、このシャワー、扉が付いていません。微妙に隠れるような壁は付いているものの、微妙にしか隠れそうにないので、なんとも慣れない感じのシャワールーム。ま、別にYHだから男女別室だし、まだ他には誰も部屋にいないのでのんびりとシャワー。ここでももらったお風呂セット大活躍。 


 夕飯探しを兼ねてお散歩。ここまで旅してきて慣れたようでも、街の中の言葉がことごとくフランス語になっていると改めて不慣れ感増大。気のせいかとも思うのだけど、全体的にはきれいなんだけれども、よ〜く見ると隅っこの方のあちこちが汚い街。自分の前を歩いていた人がやおら立小便を始めたのにはびびってしまった。ちったぁ周り気にしてからしろよ(^^;)。よくよく見ると街のあちこちにそういう濡れた痕跡があったりするわけで、たまに小の方だけでなく大の方まで道に落ちてたりするので、こいつは一体どういう状況下でこんなところで用足しを?と思わず頭をひねってしまう。レストランのメニューもいまいちよくわからないし、ベルギーフランで価格表示するとドイツマルクに比べて一桁違うので、それにも惑わされてここだ!というお店が見つからない。とりあえず、まずは一軒入ってビールなど注文してみるものの、他に食指が動くようなものが無くそのまま出る。つーか、ホントはムール貝が食べて見たかったのだけれども、やっぱりお高いのでパスしてしまった。それで結局、近くのハンバーガー屋でセットメニューなんか注文してたりするんだから、相変わらずへたれ全開。ちなみにセットメニューでは「お飲物は何にいたしますか?」の選択肢の中にビールもあるらしく、もちろんビールで。なんか、こう、海外生活を無駄に過ごしてるよね〜という感じ。まったり。 


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