8月12日 ベルリンの休日(その1)

 YHに比べてホテル泊まりだと何がいいって朝食が少しましになること。一概には言えないだろうけど、YHの朝食に比べると、ビュフェの台の上に並ぶパンやシリアルの種類がぐんと多くなる。特にシリアルがちゃんとあるのはうれしい、ドライフルーツも入ってるし。ちんたさんわがままなので朝から水気の無いものを食うのは苦手なのである。今日、明日は別にどこに向かって漕ぎ出すでもなく、単にベルリンの中でぶらぶらしようという計画なので、朝食も遅い時間に(9時だけど)、そしてゆっくり取る。


 さて、今日はどうしようかね。部屋に戻って「歩き方」のベルリンのページなどをめくりつつプランニング。基本的にお金のかかる施設は全カットである。オペラもオーケストラもサッカーも無し。「ベルリンにいって**を見ないなんて」とめちゃめちゃ言われそうで、実際帰国後何度か言われたのだけれども、お金が無いということはそう言うことなのですよ。それともう一つ大きな問題として、ちんたさん、お金のかかるところに行くにふさわしい服装をいっこも持っていません。下は半ズボンだし、上はTシャツである。これ以上自転車に積むキャパシティが無いのだからしょうがない。確かに、ここまでの道中、レーパン&ジャージでレストランもばこばこ入っていたことを考えると、半ズボンでオペラに正面突破もそれほど難しくはないのではないか、と思ったりもするのだけれど、それはそれ、これはこれ。そもそも、ツーリストインフォメーションで「プレイガイドは4DM」と言われて、それが高いと感じて買わなかったくらいのちんたさん、どうしてチケットが買えようか。しかしあらためて考えると、4DMで躊躇するなんて、ちんたさんただのケチなんじゃないですか?、という感じもするわけで、さらに帰国後、パチンコで1万円をあっという間にすってみたりするに及んでは、金の使い方が根本から間違ってるんじゃないですか?という感じ。この旅行中は持っていったカシオペアで克明に金銭出納を管理していたこともケチ化に拍車をかけたような気がする。  


 そんなわけでベルリン散策。まずは中心部から遠いところに行きましょう、ということで、地下鉄を乗り継いでベルリン北側の郊外、東京で言うと川口のような場所にあるオラニエンブルグに行きます。途中、今回の旅行で初めて警官からパスポートチェックを受けてみたり(パスポートはフロント預かりだったので、カラーコピーを見せる。パスポートチェック程度ならコピーで十分らしい)。ベルリンの地下鉄は基本的にはハンブルグの地下鉄と同じ感じ。ただ圧倒的に路線網がややこしく、車両の落書きもパワーアップしています。車両の外装に書き倒すと言うよりは、窓ガラスを削って書いてあるので車窓の眺めが悪いこと悪いこと。え?地下鉄だからそんなのどうでもいいですか?  


 オラニエンブルグ。駅から15分ほど歩いてたどり着くのはザクセンハウゼン収容所。・・・って、また、ナチスの収容所ですか?という感じで、やはり出国前に見てきた「シンドラーのリスト」の影響が・・・・。ハンブルグ郊外のノイエンガメ収容所に比べると、ベルリン郊外なだけあって、観光客は格段に多いです。こういう施設に「観光客」が来るというのにも人によってはさまざまな感慨を抱くそうなのだけれど、現実としてちんたも観光客として訪れているわけで、まぁ、粛々と見せていただきましょう、と。本日、ベルリン一帯は透き通るような青空。その青さと、目の前にある数々の歴史の事実のギャップがとても、なんか、リアリティがない、という気もする。60年前もきっと青空は青空であったはずで、だけどしかし、ここの「住人」となっていた人々にはこの青空はどういうふうに映っていたのだろうか、と思う。収容所跡地はとても広く、全部回って歩くと軽く2時間半は超えてしまった。当時はどんなに願っても誰一人出ることのできなかった正門を、ひょい、とまたいで外に出る。  


 ちょっと遅い昼食は、駅に戻る道すがらのインビスで。またインビスかい。ちょっと味をしめるとすぐ何度も繰り返すのが今回の旅の特徴でもある。つーか、ちんたはいつもそう。北海道に行ったときもセイコーマートの焼きうどんは何回食ったかわからんもんな。例によってビールとソーセージとパン。しめて300円くらい。ああ、ドイツはいい国だ。  


 オラニエンブルグからベルリンの中心部に戻る。今度は中心も中心、いきなり駅を出るとブランデンブルグ門の前である。しかし出てびっくりしたのは、まぁ、なんというか、すんげぇ観光客の数。欧米系、ヒスパニック、アジア・・・人種を問わずとにかくすごい観光客の群れ。もちろん、ちんたもアジア代表なのであるけれども、今回の旅で初めてじゃないだろうか?というくらい観光客が多い。日本人をこんなにまとめて見たのはベルリンが初めて。
 とりあえず、ブランデンブルグ門の東西を行ったり来たりしてみる。やっぱさ、10年経ったけど東西統一の恩恵は受けたいじゃーんということで。ありがとうゴルバチョフ様、とか、ありがとうコール様、みたいな。ブランデンブルグ門の周囲はカフェがびっしり。そして席には観光客がびっしり。そりゃ首都だし、東西統一の後だし、世界中から人が集まるのもわかるが、これまでが観光客はおろか、牛以外なにも哺乳類がいないようなところばかり見てきたので、なんとも同じドイツであると思えない。ハンブルグでさえすげーなーと思っていたのだけど、ベルリンはそんなの問題にしないくらいに観光客が多かった。やっぱ首都なんですね〜。  


 ブランデンブルグ門から旧東ベルリンの方へ向かっててくてくと。昔の国境検問所跡「チェックポイントチャーリーハウス」へと向かう。こちらもまた建物が小さいくせにすんげぇ数の観光客。カメラを取り出して建物を撮ろうにも、どういうふうに撮っても人が入るっつーか、入るどころではなくって、人ごみで建物が消えてしまうのでぜんぜんシャッターを押す意味が無い。「だめだこりゃあ(いかりや風)」ということで退散。ちなみに、ここは博物館?もあるのだけれども、有料。ちなみに10DM。今思えば500円ケチるなよ、と思うが、この時のちんたさんは「素敵な奥さん」のスーパー読者もびっくりのケチんぼぶりだったので当然のように入らず。まぁ、10DMっつーとね、レストランで軽くなにがしかのものが食えちゃったりするからね、そう考えるとなんだか結構大金のようにおもえてしまうのだ。パッキーカード1/2枚分・・・とか思い浮かべば速攻財布から出していたかもしれない。
 チェックポイントチャーリーハウスのある通りをぶらぶらして地下鉄でホテルのあるウーランド通りに戻る。少し、このウーランド通りをうろうろしてみると、この通りはレストランやバーがかなり多い。実はホテルの目の前に日本食レストランがあるということも発見。いちおう表のメニューを見てみたら、寿司なんかは結構安かったように思う。日本の回転寿司と同じくらい。で、結局、この日の夕食は何にしたかと言うと結局イタメシ。ドイツじゃないのかよ、ドイツじゃないのかよ、と書いてて自分に自分で突っ込みを入れてしまいたくなるが、とりあえずビール、そしてパスタ。このあたりからはっきりしてくるのだけれども、こと食事をとる時に関しては、一人旅だと圧倒的につまらない・・・というかそもそも場違いな気さえしてくる。オープンテラスなんかだとみんな楽しそうにおしゃべりしながら食事を楽しんでいるのだけど、ちんたさんは一人なのでメシを食い終わるのもはえーはえー。他に一人メシしている人がそんなにいないわけでもないのだけど、やっぱりなんか違うよな、と思う。  


 しかし、本日は1mmも自転車を漕いでいないのにえらく疲れた。とにかく歩きまくった一日。観光とは歩くことと見つけたり・・・の心境である。ブランデンブルグ門のあたりであっちゃこっちゃとせわしなく歩いていたおじさんおばさん達・・・あの人らけっこう元気なんだな、とまじで思った。  




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