8月3日 −国境越え−

■ASTRAで朝食を
 朝6時頃、教会の鐘の音で起こされる。それほど近くではないのに意外と大きな鐘の音。さすがに前日は疲労しまくっていたのか、ぐっすり爆睡。そういえば時差ボケも全くありません。
 朝食は1Fのレストランで。さすがホテルのレストランってなもんで、それほど大きなホテルではないのですが、レストランはしっかりとした広さのものがありました。つーか、昨日の時点では気がつかなかったよ、こんなの。
 数種類ずつのパン、ハム、チーズ、ジュース等々を自分で選んで持っていく。これは後になってわかったのだけど、オランダの場合は同じコンチネンタルブレックファストでも卵が標準的に付くだけ豪華な気がする。  

ホテルの自室から見たアペルドゥーンの街。高い塔が教会。


■水道水
 さて、出発です。朝9時。自転車をホテルの自転車置き場から引っ張り出し、タイヤの空気圧の調整、荷物のくくりつけなんかをやったりします。空気圧の調整は小さな携帯用のポンプでやるにはいささかパワーが必要で、これをこれから毎日やると結構な筋トレになっちゃうな、と思う。前日は飲料の補給に手間取り、のどが渇くたびにガソリンスタンドに寄って何がしかの飲み物を買っていた・・・が、そんなことを続けていてはいくら金があっても足りない。ので、前日に買ったミネラルウォーターSPA(炭酸ガス入りの赤いほうを買ってしまった。青いボトルがガス無しだとか)のペットボトルに水道水を詰めてGO。水道水・・・大丈夫だろうか?ま、だめだったらその時に考えましょうということで。ちなみにこのSPAのペットボトル、日本の一般的なペットボトルよりも一回りシェイプが細く、自転車のドリンクホルダーには細すぎてうまく収まらない。ので、とりあえずヒップバックのドリンクホルダーに突っ込んでおくことにする。  


■東へ東へ
 チェックアウトの時もホテルのおじさんは「アリガト、アリガト」を連発していた。つーか、チェックアウトの時に散々かけた電話代を請求されていないんですけどいいんでしょうか・・・?こちらこそありがとうという感じ。
 朝9時なんですけど、まだちょっと肌寒く、まだ人通りも少ないようです。もともとここまで走ったオランダはあまり人通りがなくひっそりとした町が多いんですけど。なんか家にも人の気配がないというか。みんなどこに行っちゃったんでしょ、という感はあります。
 とりあえず本日も東に向けてGOです。前日、思ったほどに距離が伸びなかったせいもあって(もちろんそれはミスコースのせい)、今日あたりから思惑より行程は下方修正かなぁって気もしています。まだ初日が終わったばかりなのに。ま、とりあえず東に向けて、ドイツに向けてGOです。  


■どこまでも続く農地
 市街地、といっても小さなものですが、アペルドゥーンを抜け出てしまうと、道はほぼ一本道になり、牧場か、麦畑か。オランダはどちらかというと牧場の方が多いかな?牛が寝そべっています。どこかで見たような感じもあって、いや、ハウステンボスじゃなくって、なんとなく平たく伸ばした北海道、という感じがします。町を出るときには、地名に斜めに赤線を引いた標識があり、それで「ああ、この町を出るのね」ということがわかります。日本の場合はこういった標識と表裏一体で次の町に入る標識があったりするわけですが、オランダ(というか今回回ったヨーロッパ各国)の場合、町から出てもすぐに次の町には入りません。しばらく10kmから20kmほど走って、次の町の中心部に近づいてやっとその街に入るよ、という標識が出てきます。市街地の部分しか表示しないということでしょうか?じゃ、「出る標識」から「入る標識」の間はどういう扱いなんでしょう???ま、どっちにしろ間には農地しかないし、別に問題はないか、とも思いますけど、結局いまだに解けない謎です。
 ひたすら続く農地、牛。普段はとても見ることがないような、つーか、もう一生見ることはないような風光明媚な広がりなんですが、あろうことかちんたさん、走行はじめて1日経つか経たないかのうちにすでに飽きが入ってきています。だって、ほんとに景色に変化がないんだもの。地形が平たいままなこともあって、まったく景色に変化がありません。歌なんか歌っちゃって暇つぶしをしてみたり(どうせ、周りに人なんていないので大声で歌っちゃってるわたくし)。今回のツーリング、通算歌唱時間はかなり膨大なものになるのではないかと思います。  


■アルメロの広場
 そんな幻のコンサートを何回か終えた頃、もうそれはお昼頃だったりするのですが、アルメロの町に入りました。地図上ではそこそこ大きな町の扱いになっています。ここでお昼にいたしましょう。どこか食べ物の店はないかな〜とふらふらきょろきょろしながら中心部の方へと入っていきます。と、中心部のスーパーマーケット?の前の広場ではなにやらたくさんテントが林立し、たくさんの人が集まっています。なんじゃらほい?と近づいてみるといろんな食べ物の屋台が出ていて、魚のフライやらをみんなで食べています。みんな魚のフライ好きなのかどこもすごい人だかり。他にもソーセージやらハンバーガーやらを売っているお店もあります。ちょうどいいやということで、自転車を隅にくくりつけて、屋台散策。まずは大きなハンバーガーを買ってみます。約150円也。さらにうろうろして今度は白身フライを買ってもしゃもしゃ。あ、こりゃ、うまいや。人だかりにも納得。こちらも約150円也。安いですね〜。しかし、この白身フライ、思わずビールが欲しくなっちゃうくらいにうまいのですが、どういうわけかビール片手に・・・という人はほとんどいませんでした。まだお仕事中だからかな?  


■サイクリング王国?
 大賑わいのアルメロの中心地を出発すると、また農地が続きます。ルートを近くにある運河沿いのサイクリングロードに変えてみましょう。ちょうど目的の方向への近道になるような感じです。さすが青い空と緑の森の国、運河沿いの道も木々の間を涼しげな風が通り、水面がきらきらと輝いています。・・・・が、このサイクリングロード、進んでいくうちに舗装路が少なくなりダートが多くなってきました。舗装路は80cmくらい。ロードレーサーで走るちんたはこの80cmくらいの中で走らなくてはいけません。が、そこはさらに自転車の国・オランダ。対向車が多いのなんの。次から次へと対面から自転車が来ます、集団で。一つの集団が10人前後くらいで、その集団が30秒おきにやってきます。そのたびにその80cmの中で端っこに寄り、最徐行ですれ違うのですからもう時速8km固定、いっこもあがりません。さすがにこれはうんざりします。しかしこの日は何かのイベントでもあるのかとにかく次から次へと自転車の集団が途切れることがありません。少し回り道になりますが運河沿いのサイクリングロードから脱出し、一般道路で進むことにしたのでした。  


■国境越え
 午後3時頃、いよいよ国境を越えました。陸路で国境を越えるのははじめてであり、当然自転車で越えるのも初めてです。これをやるといかにも「ヨーロッパをツーリングした」って感じになりますよね〜。これでまた「孫の代まで語るリスト」にネタが一つ。
 しかし、そこはEUというべきなのか、非常に簡単な標識に「ドイツ」と書いてあるだけでその他にはそれらしいものは何にもありません。道も回りの景色もそのまんま。周囲にはちらほらと民家もあって、その前では子供達がキックボードに乗って遊んでいたりしますが、こいつらは毎日国境を股にかけてキックボードに乗っていたりするのでしょうか?
 しかし、国境を越えても何も変化がないのはともかく、両替所もありません。おいおい、DM(ドイツマルク)の現金なんて持ってないよ〜、のど渇いたし、新しい地図も買わなくちゃいけないのに現金が無いよ〜。仕方なく立ち寄ったGSでは1000円あまりの代金に対してクレジットカードで決済。確かにGSはどこもどんな少額でもカードで払わせてくれます。超便利。  




欧州ではキックボードはまだ全体的に高いみたい。どこに行っても1.8〜2.4万円くらいしていました


■トイレ貸してください
 ちなみにこのGS、日本でいうところのコンビニのような位置付けにあります。だいたい市街地の入口と出口、そして市街地の中にぽつぽつとGSがあるようです。ガソリン以外にもいろいろ売っていて各種飲料(アルコール含む)や食料、雑誌・新聞、サングラス、電池等々。さすがに日本のコンビニほど雑貨類は充実していませんが、食料程度ならそこそこ揃っているようです。また、たまにキャッシュディスペンサーを備えたGSもあって、そんなところも日本のコンビニに似ていたりします。実際、8月の間に何度GSに立ち寄ったか知れません。しかし、自転車ツーリングにとって何よりのGSの重要性といえばトイレ。各GSにはほぼ必ずといっても良いほどトイレがあります。逆に、それ以外はずっと農地ですんで、そこをトイレと認定できないことも無いのですが、まぁGS以外にはまずありません。レストランとかだとなんか食べなくちゃいけないし。GSの場合、特に何も買わなくてもトイレだけ使っても、まぁOKのようです。ただし、この場合、GSのトイレは常時は施錠してあるのでレジで鍵をもらわなくてはいけません。その際、「トイレはどこですか?」と聞けばたいてい鍵が出てきますので、これのドイツ語訳さえ覚えておけばたいていは何とかなっちゃうみたいです。つーか、旅が終わった現在でも私、ドイツ語はこれ一本きりでございます。 


■Bad Bentheim
 そんなわけで新しい地図を得て、ドイツの丘をえっちらおっちらと越えるちんたです・・・ドイツに入るとさすがに坂道が増えてきました。前日の「宿が無いクライシス」があったばかりですので、できれば早いうちに宿を確保したいところです。そんなわけで、国境から15kmほど行ったところにあるBad Bentheinの町のYHを訪ねることにしました。驚いたことに、このYH、町に入る前から「あ〜、あの丘の上にある城壁跡みたいな建物はなんだべな〜?」と思っていた建物があったのですが、それこそがYHでした。あれま。訪ねてみると玄関に張り紙。「受付は22時から」と書いてあるように読めます・・・が、22時から!??いくらなんでもそれはないだろうと思うのですが、いざその時間に受付が空いて「もう予約でいっぱいです」とか言われたらもう他に手の打ちようがなくなってしまいます。それじゃまずいということで、もうしばらく東へ走りRheineの町まで行くことにしました。この間、約20km。   地図20万分の1
12.8DM
(約700円)


国境を越えて20kmほど進んだBad Bentheimの街に入るところ。丘の上のあたりに城壁っぽい建物があって、それが実はYH


■トラブル一発目
 幹線道路(脇の自転車道路)を走ってRheineの町に着いたのは午後4時頃です。これまでに通った中では最も大きそうな町。とりあえず町の中心には向かっていますが、そもそもYHの場所がわかりません。手元にある情報はYHの住所だけ。地図などありません。中心地にある地図を見てもわかりません、ツーリストインフォメーションはしまっています。とりあえず道行く人に聞く作戦で行くしかありません。聞いてもドイツ語がわからないんで込み入った道順はわかんないんですよね。だもんでとりあえずわかったふりしてうんうんとうなずいて、お礼を言って別れた後、最初の一つ二つの道順をたどる、そして、その先はまた道行く人に尋ねる・・・ということを繰り返します。4,5人に尋ねるとYHへの道を示す看板が見えてきました。
 が、ここで思いもよらぬトラブル。短いけれども結構強烈な坂があったので、一気にインナー・ローに落としたところ、ディレイラーの調整不足か一気にスプロケットを越えてスプロケットとホイールの間にチェーンが落ち込んでしまいました。その際にスポーク一本を道連れにされてしまい、とりあえずチェーンはもとに戻してみたものの、ホイールがフレまくってます。とりあえずYHはその直後にたどり着き、とりあえず受け付けは5時からということなので、それまで、玄関の前の庭でフレ取りです・・・って、ちんた、フレ取りなんてまともにやったことないっつの。とりあえず見よう見真似でフレ取りをやってみます(ニップル回し持ってきてて良かった〜)。悪戦苦闘の末、強烈な横フレは治めることが出来たのですが、代わりに多少縦フレが残ってしまいました。が、これ以上、どうにも出来ず、また、全く走りようの無い状態からとりあえず走れるだけに戻っただけでも良しとしましょうという感じ。  

RhaineのYH。やはりYH泊まりだと財政的には大助かり。



■Rhaine
 5時にYHの受付が開いて、今日も部屋無かったらだめだめだなぁと思っていたところ、本日はガッツポーズ、YHに部屋ありました(つーか、結果的にはがらがら)。とりあえず自転車を地下のガレージに運び入れてチェックイン・・・とと、現金(DM)がありません。仕方なく、支払いはチェックアウト時に、ということにしてもらって無事チェックイン。部屋に荷物を投げ出して速攻シャワーを浴びたのでした。
 比較的余裕を持って宿に入れたこの日。ちょっと街中(中心商店街までは約500m)までお食事に行きませう。YHの近くを流れる川沿いに遊歩道があり、そこを通って街中へ。銀行でDMを調達し、ぐるぐると街を回った結果、グリル料理と書いた看板の出ているお店に入りました。ま、今日は頑張ったので?ビールとお肉といきましょう。やたらつけあわせが多く腹いっぱい。安いのでビールはもう一杯(それでも全部で1000円程度)。  かなりいい気分になって、また川辺の道を歩いてYHに戻ったのでした。  

YHを近くを流れる川沿いの道。もう夕方7時過ぎなのですが全然明るいです。


本日のでぃな〜。とりあえず「Cセット」とのこと。ソーセージとイモとキャベツ。代表的なドイツ料理と言えば言い得るか!?




[次へ]
[目次へ戻る]
[表紙へ戻る]