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鈴がうたう日  Tactics

 98年のヒット作「ONE」を制作したTacticsの新作!ということでもっと注目されてもいいはずなのに、大人の事情でほとんど無視された形になった「鈴うた」。個人的にはかなり期待していただけに、世間の冷たい反応には寂しい限りです(;_;)

 ある夏の日、海沿いの地方都市で一人暮らしをする予備校生の主人公のところに「すず」が転がり込んできたところから物語は始まります。年齢不詳、正体不明、無邪気で純粋な「すず」、彼女と暮らすうちに主人公のそれまでの退屈な生活は変わっていく・・・。

 一言でいうならば「心温まる現代のおとぎ話」ってところでしょうか?
もっともTacticsの一連の作品って、みんなそうな気がしますけどね。「MOON.」の「花畑」や「時の番人」、「ONE」の「永遠の世界」、私も含めて世界設定の考察をしたり、主人公の心理学的考察などがファンによってされてきましたが、結局のところ理屈じゃない気がします。もちろん、そういう考察は世界観を広げる物として楽しめばよいのですが、理屈が合わないとか矛盾が生じるからといって「花畑」や「永遠の世界」をいいかげんだと非難するのもどうかと思う。でもおとぎ話、ファンタジーならば細かいことはいいっこなし。

 ということで「鈴うた」も現実と空想が交錯するような不思議な物語となっています。ちょっと脳天気な絵柄にだまされてはいけません。本当に一筋縄ではいかない話ですよ(^^) 制作スタッフが変わっても、Tactics節は全開ってところですね。まぁ、新スタッフも「ONE」を意識して作ってはいるでしょうけど・・・(^^;

 さて、本作の魅力というとやはりキャラクターかな?
ヒロインのすずをはじめとして魅力的なキャラが揃っています。
幼い子供のように無邪気なすず、小学生のような外観からは想像の付かないパワーを見せる七海、天然ボケの優等生である蛍、そのそれぞれが主人公の知らない過去を持っている。物語の前半と後半での切り返しはONEを彷彿とさせます・・・ってやっぱりONEを意識してるんだろうなぁ(^^; それがマイナスになっている訳ではないのでいいんですけど。

 で、すずなんですが、彼女は子供のように純粋、でも一緒にいると心安らぎ癒してくれる、全てを優しく包み込んでくれるような母性をもった女性です。どうもゲームキャラというとマルチを代表とする「守ってあげたい」系のキャラが人気な様ですが、今の世の中を考えるとすずの様な女性の方が必要なんじゃないかと思うんですけどねぇ(^^; とにもかくにもすずはいい娘です。RISEのななこと並んで今年の俺的ベストヒロインになるかも〜〜。前髪長いし、いいよねぇ〜〜(#^^#) (99.6.2)

 

 その後、ばらえてぃたくちくすの番外編をプレイしたりしてみると、鈴うたの一番の魅力は日常にありと改めて思ったり。本編ではフラグのきつさや、すずシナリオ後半のわかりにくさで日常部分の魅力が薄れてしまった気がするが、番外編ではそのあたりが全開なので本編よりもおもしろいかなぁ〜と。まぁもちろん本編をクリアしてるからこそ番外編が楽しめるんですけどね。ちなみに番外編は岡田とその妹を中心に進むコメディ。途中の選択によりいろいろなキャラの話が楽しめます。

 日常部分が面白いゲームに共通することはキャラクター、特に脇役が生き生きと描かれていること。鈴うたの場合は特に岡田がいい味を出しまくってます。彼とすずの言動が日常を楽しい非日常に変えているようです。日常を描くのなら、まず脇役を固めよ。そして日常をかき回すキャラを配置し、日常を楽しい非日常へと変えるのだ!非日常を描くことにより、初めて日常という陰を描くことが出来るのだ!!・・・・・・・と思うんだけど、どうかねぇ(^^;

 しかし折角のおいしいキャラクターたちなのに同人誌って出ないなぁ・・・かわいそうだからフィギュア作るか。岡田兄妹とか。ビジュアルファンブックでもおいしいイラストがあるし (00.4.3)

評価:79

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