風祭文庫・人魚の館






「五十里の野望」
(第8話:思惑)


作・風祭玲
(RB原案・TWO BIT)


Vol.087





この話を読む前に”レンタルボディ編:ヒミコシリーズ”
並びに”色々なお話:No11 ウルトラナイン”
を読まれますとちょっぴり味が濃くなります。

「ヒミコ」シリーズの詳細については


http://www2u.biglobe.ne.jp/~bell-m/bunko/rb/index.htm


を参照して下さい。


「ウルトラナイン」の詳細については

http://www2u.biglobe.ne.jp/~bell-m/bunko/dabun/29.htm


を参照して下さい。



なお、「RENTAL BODY」シリーズの詳細については

http://homepage2.nifty.com/~sunasan/indexj.html


を参照して下さい。





キィィィィィン………

秘密基地から飛び立った防衛軍のファイター編隊は、

眼下に富士山を眺めつつ順調に飛行していた。

Pi

無線が入る。

『富士田隊長』

「なんだ」

『怪獣退治なんて、久々ですね』

「あぁ、そうだなぁ…」

「もぅ3年も経つのか、あの謎の宇宙人を倒してから…」

『そうですね、あれ以来、怪獣や宇宙人は姿見せませんでしたから…』

「そうだな…」

久々の出番を喜ぶ部下に対して富士田の表情はすぐれなかった。



−出発前

富士田は防衛軍の長官室に呼び出されていた。

かつて防衛軍は国防省の下に置かれていたが、

数度にわたる組織改正の結果、

国防省とは別の組織になっていた。

「いいかね、富士田君」

三枝長官は富士田に背を向けたまま喋り始めた。

「はい」

「我々防衛軍は単独の組織となってからどれくらい経つかね」

「えぇっと、3年ほどですが」

「そうだ、3年だ」

「では、続いて聞くが」

「その3年の間に地球に攻めてきた、

 謎の大怪獣や宇宙人と言った連中は何匹かね」

「えぇっと……いません」

「そうだ、我々が防衛軍を組織してから、

 謎の大怪獣や宇宙人と言った類の連中は、

 ぱったりと来なくなってしまったのだ」

「はい」

「この事態をキミはどう思うかね」

「はい、地球の平和を守る防衛軍としては

 きわめて喜ばしい状況にあると思います」

と言う返事をした富士田に対して長官はじろりと睨むと

「わかっとらんな、キミは」

「はぁ?」

「いいかね、謎の大怪獣や宇宙人が来ない。と言うことはだ…」

「防衛軍は”ヒマ=お払い箱”と言うことだよ」

「はぁ」

「実は先日、総理に呼ばれてね」

「この秋までに”危機”が訪れない場合は、

 来年度の防衛軍の予算を大幅に減額し、

 代わりに国防軍の予算を増額する。と言ってきたのだよ」

「つまりだ、怪獣や宇宙人の脅威が無なくなったと言うことは、

 今度は人類が敵になる。ということだよ、富士田君」

「はぁ」

「地球の平和を守る防衛軍としては

 このような事態は絶対に避けなくてはならない。

 と言うことは、判るな…」

長官の目がキラリと光った。

「長官…まさか…」

「……そうだ、折角現れた謎の大怪獣、これを有効に使わない手はなかろう」

「では」

「…シナリオ「B−29」……を使う」

「びっB−29ぅ…ですか」

「そうだ、防衛軍・マスコミの総力を挙げて、

 あの6枚の羽を持つ極悪非道の大怪獣を倒す。いいなっ」

「しかし…それは」

「キミも来月分の給料が欲しいだろう」

「はぁ」

「なぁ…みんなで、幸せになろう」

長官はそう言うと富士田の背中をポンと叩き

「では富士田君、地球の平和はキミの双肩にかかっている。よろしく頼むよ」

と言って部屋から出ていた。


キィィィィィン

「はぁ…」

「いくら自分の生活が掛かっているとはいえ、

 こういう形の怪獣退治はしたくないなぁ」

富士田がボソっと呟いていると、

Pi

本部から連絡が入る。

「私だ」

富士田が返事をすると、

『本部より連絡します』

『シナリオ、B−29に合わせて、

 各マスコミならびに特撮班は所定の配置につきました』

『各ファイターは監督の指示に従って行動してください』

『なお作戦は、本日8:00をもって発動します』

本部のオペレータは一通り喋ると通信を切った。

「了解」

無線機を置いた富士田の目に6枚羽の怪獣の姿が映った。

「怪獣を肉眼で補足…」

富士田はそう呟くと操縦桿を引いた。



「ねぇ、カナ」

外を眺めていたマナが僕に声をかける。

既に東の空には久しぶりに見る太陽が姿を現し、僕たちを照らし始めていた。

「なに?」

「もっとスピードは出ないの?」

ゆっくりと進む様子にしびれを切らしたらしくマナが僕を急かしはじめた。

「無茶を言うなよっ、これが精一杯なんだから……」

重い荷物を持っての飛行もある程度慣れてきたので、

それなりの受け答えをすることが出来る様になったが、

でも、彼女の催促どおり確かにスピードは出ていなかった。

「もぅ、つまらないな…」

マナはそう言ってプッと膨れる。

「竜彦っ」

水玉には入らず併走して飛んでいる竜彦を呼ぶと、

「竜宮はどっちの方角だ?」

と竜宮の方角を尋ねた。

「なっ、お前は竜宮の向きも知らないで飛び立ったのか」

「仕方がないだろう…緊急だったんだから」

「全く、ここからだと南だ、ほら正面の先に大きな山があるだろう」

「えっと、あぁ…あれか」

「あの山を越した先に海がある、そこだ」

と竜彦は竜宮の方角を教えてくれた。

「なるほど、あの向こうね」

僕は竜宮の方角を確認したものの、高く昇ってしまった太陽を見ると、

「しかし、参ったなぁ……」

「日は昇っちゃったし……」

「どこかで日暮れまで隠れてないと、これじゃぁ目立つぞ」

そういいながら、なんとか着水できそうな場所を探してみたが、

案の定、容易には見つからなかった。


「ちょっと、あれってUFOって言うヤツなんじゃないの?」

マナが後ろいる円盤形の飛行物体を指さして言った。

「UFOぉ?」

「あっ、ホントだ」

振り向くと確かに空飛ぶ円盤がまるで僕たちを追うように飛んできていた。

飛ぶことに夢中だったので、

後からついてくるUFOのことなんて、まるで気がつかなかった。

「あたし…UFOって初めてみた…すっごぉい」

無邪気にマナははしゃぐが、

あの五十里と言うヤツが乗っているVTOLの姿が見えないのが不気味だった。



6枚の羽を大きく広げ空中を移動していく人魚達の様子を見ながら、

「さぁて、どうやって人魚共を捕まえるか」

五十里が舌舐めづりをしながら呟く、

「それにしても五十里」

「なんだ」

「さっきはドタバタして気づかなかったが、

 このVTOLはいつも使ってる奴ではないな」

夏目が機内の様子を見ながら五十里に言う、

「あぁ、コレか?」

「夕べ、米国の本社から届いたヤツだ」

「ほぅ……」

まるで、子供の頃に見たSF番組に出てくるような室内に夏目は驚いていた。

そして、VTOLのコントロールパネルに表示されている

複数の円が描かれているパネルを眺めながら、

「………太陽系って惑星が12個もあったかな?」

「それに、地球が2つあるというのも面白いな…」

などと言っていると、

昨夜からこのUFOを調整していた相沢がそばに来て、

「なんでも、本社の連中がバミューダ海域で見つけたそうですよ」

と耳打ちをする。

「バミューダ?」

「あの魔の三角地帯か?」

「随分とマニアックなことをご存じで」

「私も若い頃は結構興味があったのでな」

「えぇ……なんでも、本社の連中がアトランティスの遺跡を

 発掘していたときに見つけたとか」

「ほぅ〜」

「で、いま、夏目さんが見ているその図ですが」

「なんでも銀河系の隣にある、大マゼラン星雲にある恒星系だそうです」

「ほぉ……大マゼラン星雲とは凄い………」

「すでに本社の誰かがそこまで行っているのか?」

「さぁ、そこまでは私は知りませんが」

「ただ、地球からは半年ほどで行けるとか」

「行きますか?」

「いや、遠慮しておくよ」

と言って間もなく

「あっそうだ、五十里っ」

夏目が何か思いついたように声を出した。

「なんだ?」

「一つ言い忘れていたのだが、さっきお前が撃墜した飛行機、あれは防衛軍のだぞ」

「ん?防衛軍?」

「…………あぁ、あの”お荷物”集団のおもちゃか」

「それがどうした」

「いいのか?」

「かまわん、そのために与党の議員共にはたっぷりと献金をしているんだ」

「これで、戦争になっても文句は出てこないよ」

「それよりも、あの人魚共の捕獲の方法を考えろ」

五十里の命令が飛ぶ、

「そうか、それだけならいいんだが…」

しかし、夏目には言いようもない不安感があった。

「何かが起こる……」

そんな予感がしていた。



「あらら……」

「かわいそうに彼女たちついに怪獣扱いか…」

「それにしてもUFOまで出してくるとはねぇ……」

「五十里のヤツ、どこからそんなもんを持ってきたんだ?」

車を運転しながら鳥羽は上空を飛行するUFOを眺めていた。

キッ、

路肩にクルマを止めると、鳥羽は携帯電話を取り出した。

『…………………』

「……あぁ私だが」

『…………………』

「ん?」

『…………………』

「おぅ、なかなか使い心地はいいぞこの身体は」

『…………………』

「あはは……」

『…………………』

「そうそう、まるで007になったような感じだよ」

『…………………』

「うん」

『…………………』

「それでだ、HBSのコトだけど」

『…………………』

「あぁ、あの研究所はほぼ壊滅したので、あそこはもぅ使えないだろう」

『…………………』

「それより、私が送ったデータは?」

『…………………』

「あぁ、そうか、それでは解析の方を頼む」

『…………………』

「なに?、バミューダで発掘されたUFOがVTOLとして日本の五十里の元に?」

『…………………』

「そうか、じゃぁアレが、そのUFOか」

そう言うと、鳥羽は上空を飛行するUFOを睨んだ。

「そのUFOについて、何か情報は?」

『…………………』

「そうか」

『…………………』

「引き続き調査してくれ、あとで電話を入れる」

そう言うと電話をきると、無線機のスイッチを入れた。



『よう、どうだい調子は?』

No3の頭上にあるヌイグルミを通しておっさんが尋ねてきた。

「おっさん、まだ居たの?」

驚く僕の声に、

『あはは、”まだ居たの?”とはご挨拶だな』

『実はキミ達にちょっと知らせておこうと思ってね』

「また、イヤなこと?」

さっきの白いヤツのことを思い出して訊ねると、

『確かに、イヤと言えばイヤな話だな』

おっさんは、そう言いながら軽く笑った。

「で、なに?」

『あぁ、後ろからついてきているUFOがいるだろう』

「うん、さっき気づいたところ」

『実はあれには五十里達が乗っていてキミ達をしつこく付け狙っているぞ』

「げっ」

「あのおっさん、アレに乗っているのか」

再び僕はUFOを見た。

『あぁそうだ』

『それと』

「それと?」

『さっき、あのUFOが撃墜した飛行機がいたろう』

「うん」

『でだ、あの飛行機は実は防衛軍の偵察機でな…』

「へ?」

『偵察機の撃墜を受けて防衛軍ではキミ達を”第1種航空怪獣”として認定、

 全軍を挙げて駆除することに決定したそうだ』

「怪獣?駆除?」

驚いた僕がおっさんに聞き返すと、

マナはササッと身の回りの物を片づけはじめ、

「じゃぁ、カナ…あたし先に海で待っているから、後からゆっくり来てね」

と言うと一緒に飛んでいる竜彦を呼んだ。

「コラっ、マナっ、どこに行くつもりだ」

僕がマナの腕をつかむ、

「だって、これから防衛軍が来るんでしょう?」

「まぁそうだな」

「そしたら…あたし…怪獣になっちゃうじゃない」

「だから?」

「だから、そうなる前に先に海に行っておこうと思ってね」

そう言ってマナはにっこりと微笑んだ。

「ふ〜ん、じゃぁ、僕はどうなるんだ?」

「だって、カナは力があるし、いざとなったら防衛軍と戦えるでしょう」

「ふ〜〜〜ん」

「だから……ね?」

と言ってマナは一生のお願いと言うポーズをした。

「うふふふふ…」

僕が笑う、

「えへへへへ…」

マナもつられて笑うが、

「駄目っ」

ややマジな顔をしてマナに言うと、

「………………いやぁ〜っ、怪獣なんてイヤぁ〜っ」

と泣き叫びだした。


『まぁまぁ、お嬢さんたち』

ふたたび、おっさんがヌイグルミを通して話しかける。

『そこから逃げるにしても、もぅ遅いよ』

『ホラ』

と言ってNo3が東京の方から押し寄せてくるマスコミのヘリを指さした。

『怪獣なんて久々だから、みんな張り切っているようだぞ…』

『もしも、こんな状況で迂闊に外に出ったりすると、

 たちまちマスコミのの餌食になってしまって、

 明日以降の各社朝夕刊、週刊誌のグラビアに、
 
 お嬢さんの勇姿が掲載されることになるけど、

 それでいい?』

そうおっさんはマナに言った。

「そんなぁ〜〜っ」

マナはガックリと項垂れ、

「ふぅ〜っ」

「逃げ道は無しか…」

僕も半分観念していた。



出番まで待機している富士田は携帯電話を取り出すと電話をかけ始めた。

「あぁ、雪子か、この怪獣はどこの星のだ?」

『……………』

「え?、載ってない?」

「お前のその大百科に載ってないなんてそんなコトってあるのか?」

『……………』

「そうか、じゃぁ傾向と対策がわからないなぁ」

『……………』

「え?、怪獣の後ろにいるUFO?」

「あぁ、いるなぁ」

『……………』

「え?、地球と大マゼラン星雲と往復していたヤツだって?」

「じゃぁ、怪獣もそこのか?」

『……………』

「判った、それでは慎重に対処しよう」

「お前も出番が来たら呼ぶからちゃんと準備して置くんだぞ」

と言うと富士田は電話を切ると、チラリと時計を見た

「そろそろか」

8:00まで後少し、



「お母さんっ大変大変」

「どうしたの?香奈」

「TVつけてよTV」

「?」

香奈に急かされ綾乃がTVをつけると、

大々的に怪獣出現の報道がなされていた。

「なに?、これ?」

「怪獣よ怪獣!!」

香奈が食い入るようにTVを見つめる。

そして、横からTVを見る綾乃、

「あっ、櫂っ」

綾乃の声に香奈はびっくりして、

「え?、お兄ちゃん?」

「どこに?」

っと画面の中を探しはじめた。

「この怪獣よ…」

綾乃が画面に映っている怪獣を指さすと、

「そんなぁ…お兄ちゃん、怪獣になっちゃったの?」

と悲鳴を上げる。

「違う違う…香奈…この怪獣は水術…水で作られているのよ」

「え?」

「水術でこんなのを作るとしたら櫂しかいないわ」

「じゃぁ、お兄ちゃんは」

「おそらく、羽の付け根あたりにいると思うわ」

「そうなんだ…よかったぁ…」

「もしも、お兄ちゃんが怪獣になってしまったら」

「あたしどうしようか。と思っていたのよ」

香奈が安堵の表情を見せると、

「大変なのはこれからよ…」

「櫂っ、どうするつもりなの?」

綾乃がそっと呟く。



一方、そのころ竜宮では、

「乙姫さまっ、一大事です」

仕えのモノがそう叫びながら乙姫の元に駆け込んできた。

「えぇ、存じています」

「海母様の鰭のことでしょう?」

そう言うと、乙姫は水鏡をみせた。

「そっそうですが」

「さて、困りましたわねぇ」

と言うと腕を水鏡の上をスッと振ると、

映し出されている画像がグググっとアップになる。

そして、羽の付け根の所にある水玉の中に3体の人魚がいるのが確認できた。

「あっ、この者は…」

仕えの者が声を張り上げる。

「えぇ、そうです、竜宮を出て行方不明になっていた、あのカナです」

「どうやら、無事、海母様の鰭を見つけたようですが」

「さて、どうしたものでしょうか?」

「私が出て行きますと大事になりますし」

「かといって、あれは難儀している様子」

「せめて、海まで出てくれたらいくつか方法はあるのですが」

乙姫はそう言うと考え込んでしまった。

「どうしましょうか?」

仕えの者の問いかけに、

「いま、私に出来ることは、かの者達が無事に

 この海に戻ってきてくれるのを祈るだけです」

と言うとそっと目を瞑った。



「カナ…ちょっとおかしくない?」

「なに?」

「あたし達って、南に向かって飛んでいるんだよねぇ」

「そうだけど」

「下の景色を見ていると、南じゃなくて東に向かっている様なんだけど」

「なに?」

マナに指摘されて僕は下の様子を見てみると、

確かに向かっているはずの南では無く、東の方に移動していた。

「どうなっているんだ、向かっていく方と違う方向に向かっているぞ」

「でしょう」

僕が考え込むと、

『風だよ』

No3の上のヌイグルミを通しておっさんが答えを教えてくれた。

「え?」

『今の季節、風は北西から南東へ向かって吹いている』

『キミ達はそれに流されてるんだ』

「そうか…」

「なんで流されているの」

マナが訊ねると、

「スピードが出ていないし、羽ばたいていないからな」

僕が答えた。

「え?」

「だから風にながされているんだ」

「じゃぁ」

「一応、海には出られるけど、

 ただ、このままだと東京の真上を飛んでいくことになるぞ」

「怪獣街道一直線な訳なのね」

マナはさらに落ち込んだ。



「なにやってんだ、あいつ等は」

テレビの中継を見ながら海人はあきれていた。

「全くぅ、水術をこういう形で地上人に見せてしまうなんて……」

「こりゃぁ、後の火消しが大変だぞ」

などと文句を言いながら朝食を食べていると、

「ちょっと、ちょっと、海人、一大事よ」

姉の水姫が海人の元に駆け込んできた。

「どうした?」

「さっき、ベーリングの関より報告を傍受したんだけど」

「で?」

「アトランティスの海竜3頭と海竜使い3人がベーリングの関所を越えて、

 北太平洋に侵入したらしいの」

「なに?」

「ちょっと待て…」

「うち等が大西洋に手を出さないのと同じように」

「アトランティスの者は太平洋とその属海には侵入してはならない。

 と言う決まりじゃないのか」

「うん、そのはずなんだけど」

「竜宮はそのことを知っているのかな」

「おそらく、もぅ乙姫さまの元に届いていると思うんだけど」

「この騒動が起きているからねぇ」

水姫はTVをチラリと見た。

「とても余裕はないか」

「で、問題は進入した海竜と海竜使いの目的地がどこかか?」

「こればっかりは本人に聞かないと判らないわよ」

「海人っ、そろそろ、竜宮に行くべき何じゃないの?」

「乙姫一人にこれらの問題を片づけさせるのは酷よ」

「うん…………しかし」

「まだ、行けないな…竜宮へは」

海人はそう言うと海の方向を見つめた。



PiPiPiポ〜ン

8:00:00をお知らせします。

「全機攻撃開始っ」



つづく


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