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『ペコ』公演に寄せて

 Qui-Taさん、今回は作家としても役者としても公演に参加していなかったわけですが、その間、どこでどう過ごしていたんですか?

 「そりゃ、もう、修行してたね。山ごもりだね。感性を研ぎ澄ましてたね。ルーティーンワークに埋没して枯渇していく創造力を再度湧き出させる作業が必要だったんだ。まだ手探りだけど、きっかけは掴んだと思うよ。」

 次回作は自分の演劇人生にとって転機となるだろうと関係者に語っていたそうですが、その意図は?どんな作品を構想していますか?

 「えっ、そうなの?・・・う〜ん、じゃ、じゃあ、・・・社会をエグっちゃうね。例えば、・・・変だと思わなかった? いや、今度の参院選さ。みんな、小泉首相の基本的な政治スタンスを理解して投票したのかな?海外のメディアの方が、その辺、わりと素直に把握していたんじゃないだろうか。見方を変えると、意識するとしないとに関わらず、みんなの考え方が右傾化してるってことなのかな?僕も長らくコンサーバティブで通してきたけど、今回はちょっと違和感を感じたね。
 えっ? ああ、作品の構想ね。そう、構想・・・。
 30歳も過ぎたことだし、頭も薄くなってきたし、あまり深く考えずに楽しめる大人のコメディを書きたいと思ってる。だって、悩むと髪が抜けるんだ。
 その意味で、今回の中出君の脚本は良かったと思う。こんな題材、真正面からぶつかったら、絶望するしかないもの。それを大人の知恵というか、大人の目隠しで、上手にさばいてる。僕なら焼きもろこしにかぶりつかせるところだけど、
彼はスマートなんだね、その辺が。
 これくらいで、どう? ・・・つまり、具体的構想はまだなんだ。」

 なるほど。演出の羽田野さんの話ではもう少し具体的に構想が進んでいるようだったんですが・・・。まあ書き始めるまではどう転ぶか分からないってことでしょうか。充電期間を納得させるようなクオリティの脚本を期待したいですね。

Qui-Ta[聞き手:江平朝子]

(『ペコ』パンフレット掲載のものを一部改稿)

『まみれのすゝめ』

 世間一般において、福沢諭吉は新渡戸稲造の2倍、夏目漱石の10倍は偉いというのが通説である。彼は『学問のすゝめ』の初編で「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり」と大上段に構えたからこそ、今ではこのような評価を受けているが、個人的には「吾輩は猫である。名前はまだ無い」と、別の意味で大上段、というか円月殺法を得意とした夏目氏のシュールレアリズムの方が好みである。
 とはいえ、件の名言を残した福沢氏を、あえて我が国の最高額紙幣に起用するというセンスもかなりシュールではあるが、それはさておき今回は『まみれのすゝめ』である。
 昨今は「つながっていたい症候群」が花盛りであり、セガの「ファンタシースターオンライン」が一部で異様な盛り上がりを見せているとのこと。「まずは自分の分身となるキャラクターをクリエイトします。ネットワークで大事なのは自分の個性。同じようなキャラクターばかりでは仲間に覚えてもらえません」などと、扇情的な脅し文句が公式サイトの中に踊り、個性的であることを強要するあたり、現代の青少年の健全な育成に不安を感じつつも、今やゲームの推進力は強迫観念なのかと感心しきりな私であるが、オンライン、すなわち「線」ではどうにもいかんセンである。文字通り線でつながっているだけでは、切れやしないかとかえって不安が募るばかりである。私としては、線ではなく「面」で接触したい。いや、むしろまみれているくらいの方が安心である。
 思い返してみれば、かつての「オレたちひょうきん族」「アメリカ横断ウルトラクイズ」のみならず、最近の「ぷっすま」「ガキの使い」においても「泥まみれ」「粉まみれ」はバラエティーの定番である。また、最近では中途半端に世俗の垢にまみれてしまった私ですら、幼少のみぎりには、日々草や土にまみれて楽しく野山を駆け回っていたものである。つまり「まみれ」は、見て楽しい、やって楽しい一粒で二度おいしいグリコ
のキャラメルのような行為なのである。
 では、まみれの理想とは何か。答えは街の巨匠に聞いてみるまでもなく「カキ」である。「カキ」とは、イボタガキ科の海産食用二枚貝の総称であるが、これがいかにも潔い。
 step1 カキはザルに入れて水で振り洗いし、
     牛乳に10〜15分ぐらいつける。
 step2 カキの水気をふいて小麦粉をまぶし、
     余分な粉をはたき落とし、溶き卵をくぐらせて
     生パン粉をつけてなじませる。
 step3 油を170〜180℃に熱してカキを入れ、
     きつね色にカラッと揚げる。
 step4 マヨネーズにトマトケチャップを加えて
     混ぜ合わせたオーロラソースをかければ、
     カキフライの完成です!
 これであなたもめでたく炎の三つ星シェフであるが、そんなことより何より、このまみれ具合が素晴らしい。全ての過程において幾重にもまみれてゆくこの雄姿!立派である。
 というわけで、かつて「そんな貝に私はなりたい」という有名なセリフがあったが、今回の結論は「そんなカキに私はなりたい」で決まりである。
 そして私は「まみれたい症候群」。今日も眠れぬ夜が続くのである。

2001年 G.W. 演出家 

(『ペコ』チラシ掲載)

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