第5話

「なんでこう・・よく罠にかかるのテイトルは」
フィランセは深くため息をついた。

フィランセ達は手始めに、フィズエル王国の隣国 セルキオン王国へ向かっていた。
王国といっても、問題があって祖国からも他の国からも追い出された者が集まった、山に囲まれた大きな街といったところで、王族は他国と問題があったときの生け贄という国的には破滅したものだ。
だが、2ヶ月前に王が死去し、ダルミニオン王子が王となって少し変わったらしい。
王国のまわりの山も、他国の者を拒絶するかのように、罠が張り巡らされていた。

「お前の脳は獣並か・・・」
スティイもため息をつく。
「俺の脳は人並だー!」
「はいはい。でも、なんでこんなに罠があるのだろう?」
フィランセとスティイに罠・・落とし穴から救出してもらったテイトルは早速地団太を踏み、怒った。フィランセはそれを軽く流し、疑問を口に出して言った。
「確かに、コレでは獣以外に旅人も引っかかってしまう」
「実際、引っかかってるしね」
スティイとフィランセはチラリとテイトルを見る。
「なんだよ!絶対これ対人用の罠だって!!」
「そんな馬鹿な。他国の者に国に入られて困る理由など・・・」
「出来たのかもね。」
フィランセが深刻な面持ちで言う。
「先代の王が死に新しい王になって、わずかにあった私達のフィズエル王国との交流もなくなった事だし。戦の準備をやってたりして。」
「だが、もし戦の準備をしていたとしても、どこへ攻めに行くのだ?セルキオンは幾ら兵器を持ち出したとしても、隣国のフィズエル・レスライム両国に敵わないのは目に見えてるぞ?」
「我がフィズエル王国は、軍事力では全国bPだし。レスライム神国は未知なる治癒術をつかうしな。」
スティイとテイトルがもっともな正論を言った。
「なら一体、セルキオン王国はなぜこんなにも・・・」
「教えてやろうか?」
突如、知らない男の声が聞こえた。
「誰だっ!」
スティイが声をあげる。
「なーに、しがない盗賊よ。訳あって姿も素性も明かせねぇ」
「なーんか怪しい奴だなァ」
「罠に引っかかりまくってるドジッ子は黙ってろよ」
「何おう!」
ケンカ腰のテイトルを落ち着かせながら、フィランセは盗賊に聞いた。
「なぜ教えてくれるの?」
「とくに理由は無いぜ?なんとなくだよ」
「なにが目的だ?金か?」
「そのセリフ、ありがちだぜ?」
突っ込まれてスティイは微かに顔を赤くする。
「本当にただ面白くなりそうだから、教えてやろうと思ってんだよ。聞くのか?聞かないのか??」
盗賊の声は楽しげだ。フィランセとスティイは少し悩む。
「それは正しい情報何だろうな?」
「当たり前だ。嘘言ってどうすんだよ」
「俺達が混乱するのを見て楽しむ」
「「ドジッ子は黙ってろ」」
スティイにも言われ、テイトルは黙り込んでしまった。
「なら、聞かせていただく」
フィランセのその言葉を合図に、盗賊は話し始めた。セルキオン王国の現状を・・・

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