太陽光発電システムの組み立て方法

半田づけが出来る方であれば、女性でも簡単に組み立てることが出来ます

CML20-2.2のキットの格安セールをしていますが、ウェブの片隅で細々と宣伝しているだけですので、なかなか完売になりません。理由は、太陽光発電の必要性を理解していたり非常に興味があったりしていても、どのような部品を集め、どのように組み立てればよいのかがもう一つ分からないのが、ひとつの理由ではないかと推測しています。
そこで、販売に結びつかなくても良いのですが、システムの組み立て方法を説明することにしました。

1. 準備する工具
    
写真の@〜Eは、耐久性に難があるようですが、100円ショップで購入できるものです。

@ プラスドライバー(直径6mm): 木ねじの締め付けに使用

A プラスドライバー(直径4mm): CML/CMMに使用

B マイナスドライバー(幅4mm): CMMの接続に使用

C カッターナイフ: 線材の被服剥がしに使用(必要なら)

D ニッパー: 線材の切断に使用

E ラジペン: 端子のカシメに使用

F 30W半田ごて: 線材と端子の半田付けに使用

G ヤニ入り半田: 上記と同じ作業に使用

H 圧着工具: この目的だけに購入するのは無駄。ラジペンや
     ペンチでOK。ただし、線材と端子を半田づけする必要があ
  ります。

半田ごて、半田、圧着工具などはホームセンターで購入できます。
端子には大きな電流が流れますので、CMMの取り付け時には、マイナスドライバーの方がネジを硬く締め付けて接触抵抗を減らすことが出来ます。

2. 準備する材料
    
写真の@〜Hまでは大手ホームセンターで購入できるものです。

@ ガラス管型ヒューズ
3番のホルダー内に取り付けますが、10A位あれば安全です。(例: スタンレーオートヒューズNo.327 ・BPF3010) 負荷電流によって変更します。

A 丸型端子
線材を接続してバッテリーターミナルにネジ止めします。(例: (株)フジックス REV3220、穴経6φ)

B ヒューズホルダー
ガラス管ヒューズを取り付けます。(例: エーモン工業 ITEM No. B138)

C バッテリーターミナル
自動車用の鉛電池の端子に取り付けます。プラス・マイナスが1セットです。(例: エーモン工業 ITEM No. Y134)

D CML取り付け木ねじ
トラス又はナベ頭、2.6〜3φ、長さ15mm (φは直径を表します。)

E CMM取り付け木ねじ
トラス又はナベ頭、2.6〜3φ、長さ10mm (φは直径を表します。)

F 2極カプラー
バッテリーとCML間の間に入れると、安全・簡単にバッテリーを交換したり取り外したりすることができます。(例: エーモン工業 ITEM No. 1122)

G 2極カプラー
負荷とCMLの間に入れると、ランプ以外の負荷と取り替えられます。(例: エーモン工業 ITEM No. 1198)
ちなみに、エーモン工業のURLはhttp://www.amon.co.jp/です

H 平型端子
密閉型鉛電池を使用する場合にのみ使用します。(例: エーモン工業 ITEM No. 1155)

I 高輝度LEDランプ
電球型LEDのGU5.3口金LED電球(LEDレフランプ) OSLA03X3W00は秋月電子通商のネットショップ(http://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-04459/)で購入できます。非常灯又は常夜灯として使用出来ます。

J LEDランプ用ソケット組み立て
I番のランプとキットになっています。

K ビニール平行コード赤黒
写真にはありませんが、太陽電池やバッテリーとコントローラー間の接続に使用します。ホームセンターで入手できるVFF 1.25、10m又はエーモン工業 ITEM No. 1184をお勧めします。コントローラーとランプなどの負荷間は、I番のランプように大きな電流を必要としないものであれば、もっと細いニール平行コードでかまいません。
写真の部品やビニールコードは大手ホームセンターで購入できるほか、カー用品ショップでも入手できます。
なお。VFF 1.2はケーブルの種類と太さを示しています。

L 充電コントローラー
弊社の個数限定で格安販売をしているドイツ・フォコス社のCML20-2.2キットSpecial_Sale.htm)をご使用になることを前提にした説明書になっていますが、他社の製品でも似たようなシステムの構築が出来ます。ただし、ネットオークションで手に入る安かろう・悪かろうの製品の採用には十分ご注意ください。
CMLに続く2桁の数字は、負荷電流の最大許容値を示しています。これ以外には弊社の販売品ではありませんが、5、8、10、15Aのラインアップがあります。

M 太陽電池パネル
12Vのバッテリーシステムでは、最大開放電圧(負荷を接続しないときの電圧)が30V 以下のものを選びます。通常、12V用と表記されています。あとは、どのくらいの発電電力(電圧X電流)を得たいかでパネルを探します。システム図に示した小型のパネルでは、12Vで0.25Aしか得られません。
たとえば、東京・秋葉原の電子部品通販ショップの秋月電子通商(http://akizukidenshi.com/catalog/default.aspx)では、アルミフレーム付太陽電池パネル(ソーラーパネル) 18W  TGM1000-12V (http://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-02186/)のような18Wのパネルを購入できます。もっと大型にチャレンジする場合には、(株)日本イーテック(http://www.etech-japan.com/product/dokuritu_panel.html)や、オフグリッドソーラー(http://offgrid-solar.jp/)などがあります。

N バッテリー
CMLは鉛蓄電池用の充電コントローラーですので、乗用車やバイクなどのバッテリーを使用します。自動車用のバッテリーだと、一番生産台数が多い40B19L/Rという12Vバッテリーが、ホームセンターのバーゲンなどで安く 購入できます。
所有している車に付いているバッテリーと同じものを購入しておくと、バッテリー上がりの場合などに即交換できます。
型番末尾のLとRは、エンジンルーム内のどちら側に取り付けるタイプかを示 しています。
12V/12Ahという容量になりますが、完全密閉型の鉛蓄電池で台湾LONG社のWP12-12(秋月電子通商)を選ぶことも出来ます。

(註) カプラーの色が白になっていますが、互換性がある他メーカーの製品です。
丸型端子は鉛電池端子の片方のネジを一度取り外し、クランプ板の間に差し込み、元のネジを差し込んでサンドイッチ状に締め付けます。

3. 蓄電型太陽光発電システムの全体像と配線
   
システムの配線は下図のようになります。

CMLとCMMの接続は、本体: http://www.phocosjapan.com/Downloads/Phocos_CML_UserManual_Japanese.pdf およびディスプレイ: http://www.phocosjapan.com/Downloads/Phocos_CMM_UserManual_Japanese.pdf をお読みください。
(註) 日本語版CML説明書の4ページ一番上の行にある「同じ電気位」は、「同じ電位」のミスプリントです。

CMMとこれのコネクター部は線材でつながっていますので、太陽電池〜CML、鉛蓄電池〜CML、そしてLEDランプなどのDC12V負荷〜CMLの、3箇所の接続だけです。配線が長くなる配線は、電圧降下を避けるために出来るだけ太い線材を使用します。

バッテリーとCMLの間には、ヒューズとカプラー(プラグとコネクタ)が入ります。負荷側にカプラーを取り付け、負荷を取り替えられるようにすると便利ですが、異なったタイプのカプラーを使用して、バッテリー接続と区別します。

負荷には、AC100V/100Wくらいの容量のDC-ACインバータの取り付けも可能です。バッテリーを使いすぎて電圧が11.4V〜11.9Vまで低下すると、CMLが自動的に負荷を遮断し、バッテリーの損傷を防止します。
なお、鉛電池の満充電電圧(これ以上充電すると過充電になる)は約13.7Vで、放電終止電圧(バッテリーを使い切ったとき)は約10.5Vです。

4. 線材の取付けとカプラーの組み立て
      端子やカプラーを初めて使用する場合、製品のケース裏側の絵だけではよく分からないという方がいらっしゃるか
      も知れません。蛇足を覚悟で以下に説明します。

4-1. 丸端子とカプラー端子のケーブルへの取り付け

ケーブル先端の被服を5mmほど剥き、透明ビニールのスリーブにケーブルに通し(向きに注意)、丸端子に挿入します。 これは圧着工具を使用して端子をかしめたものですが、成人男性の握力が必要です。工具がない方は、銅線に接する部分をラジペンでていねいに曲げ、半田づけをしてからビニール被服部をていねいに曲げるとよいでしょう。 あとはスリーブをスライドして圧着した部分にはめ込めば完成です。折り曲げ部分の形状が悪かったりすると、スリーブがすんなりと収まりません。 これは2極カプラーの端子にケーブルを圧着した例です。
斜めに跳ね上がっている部分がフックです。

4-2. カプラーの組み立て

エーモン工業 ITEM No. 1122のパッケージ裏側にある組み立て図です。どちらのシェルにどの形状の端子を挿入するのかが分かります。 同社 ITEM No. 1198のパッケージ裏側にある組み立て図です。フックがどちら側を向いているかに注意してください。

組み立て前の状態。
No. 1122の2極カプラーです。端子側では左が♂で右が♀になりますが、シェル側では逆になります。ここでは、左側のカプラーを電池側とし、右側のカプラーをCML側としました。各自のシステム内で統一する必要があります。 No. 1198の2極カプラーです。どちらのシェルにどの端子が収まるのかに注意して見てください。 ここでは、「T」字型の横棒に相当する側をプラス(赤)に、縦棒に相当する側をマイナス(黒)として統一しています。
この写真で、フックやかしめの向きとシェルの関係が分かります。
正しい向きでフックがカチッと収まります。
丸型端子、ケーブル、ヒューズ取り付け済みホルダー、2極カプラーを組み立てた完成図。電池側に使用します。 No. 1122と互換性があるシェルが白のカプラーですが、端子のフックがどこにはまり込んで抜け止めされているかが分かります。もしケーブルを再加工する必要がある場合には、このフックを時計ドライバーなどで押し下げておいてケーブルをシェルから引き抜きます。 これはワーヤーストリッパーと呼ぶ工具です。線材の被服をむくときに便利です。

5. CMLとCMMの固定
      最後になりますが、CMLやCMMを壁面又は板に取り付ける際の穴位置を示しておきます。
      板に取り付ける場合には、厚みが5mm以上の合板又はラワン材を使用し、最低の大きさは200mm X 150mm
      (横 X 縦)になります。
      図面が読めない方には、コントローラーキットの場合は、穴の横方向距離が54mm、縦方向が50mmになります。
      モニターの方は、穴の横方向距離が40mmになります。
      板のねじ穴位置にあらかじめ2mm位の下穴を開けておくと、ネジ止めが楽になります。

モニターから取り付けパネルを取り外し、2本の木ネジで固定したあとモニターをパチンとはめ込みます。

以上、読者のお役に立てれば幸いです。

(2013年1月29日初版、更新:2013年1月30日)

製作・著作 有限会社テクノアート