ベアリングバー式可動レール(Rolling Road)の製作方法
製作・著作: 有限会社テクノアート
(旧)電子技術部
この文書は予告なく加筆・修正などを行いますのでご了解ください。
個人で製作・使用の場合ではなく、この資料を利用して製作・販売する会社や個人からは、ロイヤリティーをいただきます。
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ここで使用している機械図面は素人が「自分が分かればよい」とパワーポイントで描いたもので、寸法取りなどのルールに沿っていないと思います。ご了解ください。
世の中に類似の製品があっても購入の予算がない場合や、DIYに労を惜しまない人は、じっくりと腰を落ち着けて楽しみながら少しずつ作業を進めてください。同一形状のバーAssyを最低16個作るには根気が要ります。
DIYが好きで色んな工具を持っている人向きですので、新たに買い揃えるにはそれなりの覚悟が必要です。設備を持っているDIY好きな人に特価で部品を作ってもらうのも一方法です。
作業中には怪我をしないようにご注意下さい。怪我をされても責任を負いません。
【材料】:価格は税抜きの参考価格です。
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外径5mm X 内径2mm X 厚さ2.5mmのミニチュアベアリング(アマゾンのショッピングで10個:送料別980円) チャイナマートでも購入できますが、送料が2300円以上します。最低16個必要です。
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M2X6の平頭ネジ(TRXスリムヘッド小ネジ(星形のドライバー穴)はヤフーショッピングやモノタロウなどで入手可能。1本当たり50円以上)、最低24本必要
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M2X6のナベネジ、平頭ネジに改造しない場合は32本必要
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アルミチャンネル(コの字型) 厚さ2ミリ、15ミリ X 15ミリ、長さ50センチ(160円)、1本
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M2の平ワッシャー(スプリングワッシャーは不可です。厚さ0.3ミリ、外径4ミリを使用することを前提とした寸法です。)、24個必要
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スプレーのリ(3M スコッチ スプレーのり55 ミニ缶 100mlや100均ショップで60mlのスプレーなど) 3Mの製品は剥がすのが楽です。
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厚さ2ミリと3ミリのアクリル板(色は問いませんが、表面硬化品は避けてください。)
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アクリル接着剤(株式会社 光のABN-1を推奨。瞬間接着剤は作業が難しいことがあります。アクリル以外の材料を使用する場合は材料にあった接着剤を選ぶこと)
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幅10〜18ミリの銅箔粘着テープ(導電性テープ。秋葉原の秋月電子通商では株式会社寺岡製作所の製品、同・千石電商ではScotch 導電性テープ 25mm幅 [銅箔エンボス] などが入手可能)
【工具】 ご参考
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糸鋸(刃の厚み0.2ミリ)
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可変速電動ドリル(可変速の方が作業がしやすいです)
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ミニルーター(プロクソンのMM50など)
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ダイヤモンドミニカッター(4組で1980円などがあります)
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小型バイス(正確な位置に穴を開けるためには万力などが必要です)
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直径3ミリと1.6ミリまたは1.7ミリのドリルビット(2ミリのネジ用の下穴)
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直径2ミリのタップ(先・中・上げの3本セットまたは中仕上げ1本)
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タップホルダー
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小型+/-ドライバー
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カッターナイフとハサミ
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ヘクサロビュラレンチ_SKX(星形頭ドライバー。TRXスリムヘッドネジを使用する場合に必要です)
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テーブルソー(プロクソンのNo.27006など。φ50mm 80山 刃幅0.6mmの超硬丸鋸刃を取り付け)
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ノギス又はステンレス物差し(15センチくらい)
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サンドペーパー(#100〜#150)
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精密細丸ヤスリと普通のヤスリ(細かい目を推奨)
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直角金定規(15センチX10センチくらい)
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切断ガイドに使用する厚さミリ以上の金属板。アクリル板でもかまいませんが、金属棒の切断の際に熱で溶けます。2辺の直角が出ている必要があります。
【レール】HOとNゲージの標準レール(KATOの2-180や20-020など)
【製作手順】
・ ベアリング付きのバーを4個、通電金属リング付きのバーを2個、車輪支持台付きのバーを2個作る場合、L型ホルダーは16個、ベアリングは16個、金属リングは8個、支持台は4個用意する必要があります。平頭ネジは24本です。
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M2X6の平頭ネジ
M2X6の平頭ネジは、筆者は兵庫県・尼崎にある有限会社タドコロで入手しましたが、入手できない場合やコスト削減には、M2X6、またはM2X8のナベネジを加工します。
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平頭のプラスをマイナスネジにするために、下の写真のようにネジを電動ドリルに固定し(固定用に使用)、減速したダイヤモンドミニカッターでマイナスネジ用の溝をあらかた彫り、糸鋸で仕上げます。糸鋸を入れる深さはプラスネジ溝のセンターの底に届く深さです。
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ネジを電動ドリルに取り付けて電動ドリルの方も回転させ、ネジの頭の直径が2.5mmに、高さが0.2mmくらいになるまで削り、サンドぺーパーをかけて仕上げます。L型ホルダー1個当たり2本必要ですので、最低24本必要です。
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TRXスリムヘッド小ネジ |
M2ネジの加工 |
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L型ホルダーの切り出し
板厚2ミリの銅の平板棒をL型に曲げてホルダーを作る方法もありますが、素人には曲げ精度を出すのが難しく、従って4個の穴位置取りも難しくなります。ホームセンター内をうろついて見つけたのがコの字型のアルミチャンネルで、本来の使い方はサッシなどでしょうが、ホルダーの製作には適していると見ました。
ただ、テーブルソーに取り付けた金属切断用の回転刃では負荷が大きくなりますので、注射針の先から機械油を点滴しながら裁断します。10ミリの長さに裁断する前に、下の写真のようにコの字の中央で10ミリ以上の切り込みを入れておき、その後で10ミリの長さに裁断すると2個のホルダーが切り出せます。後は個別に寸法調整をします。15ミリ以上の切り込みは摩擦による回転刃への負荷が大きくなりすぎます。
アルミに刃が食いつくことがあります。切り込み深さが深くならないようにわずかづつ切り進みます。
電動糸鋸があれば楽なのにと思いましたが、今後頻繁に使用する予定はないので購入はあきらめました。
切り出した後は穴あけ位置の印刷図面を貼り付けるため、食器用洗剤で油をきれいに洗い落とします。
精度的に見れば、ベアリング取付穴の穴間距離の公差はプラス/マイナス0.05ミリとなる2ミリのネジ用の2個のネジ穴を、印刷図面で正確に位置取りした場所に開けますが、下穴径は1.6ミリです。
タップでネジ山を切るときは正式には先タップを使用し、タップが下穴に2〜3山食いついたら直角を確認。「3/4回転進んだら1/4回転戻る」を繰り返して、タップが食い込まないように注意します。材質がアルミなので先タップで十分です。但し板厚が2ミリしかありませんので垂直度に注意してください。
給油をすれば楽に進みますが、後で洗剤で洗う必要があります。
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ベアリングユニット基板の製作
二個のL型ホルダーを取り付ける基板は、厚さ2ミリのアクリル板に合計8個の直径2ミリの穴を開け、裏面に厚さ1ミリのアクリルを切ってレールガイドを接着し、その後導電テープを貼り付けます。
穴位置精度を要求しますので、印刷図面を貼り付けて慎重に穴あけ作業をしてください。
レールガイドの貼り付けは面倒です。特にHO用のガイドは導電テープを張る場所で二つに分かれていますので、部品が小さくなります。アイデアとしては、10本のバーを一括して製作するようにして10ミリ幅で裁断すると、少しは手間が省けます。
プロが使うような彫刻機があれば、基板全体を彫刻できるのでしょうね。
これらの製作記事で製作を進める際に必要になるかもしれない穴位置決め用の印刷図面集(ベアリングバー式も含む。)を用意してありますので、参考にしてください。PDFファイルを印刷する場合は、必ず「実際のサイズで印刷」を選んでください。寸法精度は利用者の責任でお願いします。
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導電性テープの貼り付け加工
レール→導電性テープ→M2X6のネジ→L型ホルダー→ベアリング→車輪の順に電流が流れます。基板裏面の図の位置に張り付けます。
2ミリ穴の場所は、精密細丸やすりでテープに穴を開けて、バリを削り取っておきます。
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通電金属リングの製作
ベアリング一個は100円近くします。予算がある人は車輌の全車輪にベアリング付きのブロックをあてがえるでしょうが、予算を節約したい場合、回転しない車輪に通電するだけでよいブロックと、回転も通電も必要としないブロックに分けて、L型ホルダーに取り付ける「ベアリング代買え品」を製作する必要があります。必要ない場合は7.に進んでください。
一番良いのは、外径が5ミリで内径が2ミリの金属棒が入手できれば良いのですが、筆者が探した限りでは見つけられませんでした。
そこで、外径5ミリ、4ミリ、3ミリ(いずれも肉厚0.5ミリ)の金属パイプを積み重ねる方法です。
各パイプ(真鍮製と銅製)の精度は勘合を考えたものではありませんので、ゼロ勘合に近いものとほんの少し緩いものがあります。費用節約のためには止むを得ませんので、2.8ミリの長さに切ったものを積み重ねます。(勘合がよい場合には、10センチくらいの組み立てを作っておいて切断する方法が使えます。) 3つのパイプは電気的導通状態になければなりませんので、接着剤は端面のみ又は内径の一か所のみに使用します。2.8ミリの長さは2.5ミリ厚のベアリングプラス0.3ミリのワッシャーの厚みになります。
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車輪支持台の製作
本来は2.8ミリ厚のアクリル板が欲しいのですが無理ですので、図のように3ミリ厚の長方形のアクリル板の中央にへこみを付けます。2ミリのネジ穴二個は省略してもかまいません。
添付の寸法取り用の印刷図面では2個を対向させて、その中央に直径5.5ミリの穴を開けてから裁断するようにしてあります。
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ベアリングなどの取り付け
TRXスリムヘッドネジを使用する場合は、専用のLレンチで取り付けますが、ベアリングの取り付けにはL型ホルダーとの間に0.3ミリ厚のワッシャーを入れます。ネジ穴のバリや埃の巻き付きの防止用です。
自作のマイナスネジの場合、強く締め付けすぎると頭を壊してしまいますので注意してください。
通電用金属ブッシュの取り付けの場合にはワッシャーはいりません。
同じく車輪支持台はワッシャーもネジも必要なく、瞬間接着剤などを使用してL型ホルダーの定位置に張り付けます。
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L型ホルダーの取り付け
Nゲージ用の規格に設定にするには、ベアリングなどを取り付けたL型ホルダー二個を、内側の穴にベアリングを対向させてM2X6のネジで固定します。HOゲージ用は外側です。
写真はNゲージ用の位置に取り付けた例です。
以上で完成です。
この方式は構造が簡単ですが、車輌の床面からの高さが高くなってしまいます。ショーケースなどに展示する場合には、レールの前面にレンガなどの絵を描いためくら板を設置するとよいと思います。
PDFファイルの取扱説明書を用意しましたので参考にしてください。これは、ヤフオクに出品したキットに添付したものの部分転記です。
レールを必要とせず車両の高さを押さえてショーケースなどに展示できるようにするには、「展示台の製作」に進んでください。
試作品のムービーはYouTubeの下記URLにアップしています。
https://youtu.be/pIG0o4bCAyc
(2018年4月2日 Ver.1.0) |