#2 「ラバウル烈風空戦録」  

      著:川又千秋   十六巻迄発売中   発売元:中央公論社




<STORY> 昭和十六年、春。激戦の続く中国戦線の漢口・第十二航空隊に配属された 海軍一等航空兵・風間健児は、九六式艦戦で迎撃任務に出撃し中国空軍のSB軽爆撃機と遭遇、 上官の協力を得てなんとか撃墜する。 半年後、日本は欧米との戦争に突入し、風間一等兵の戦場も太平洋へと移っていく。 そこで彼は、様々な人と出会い、又様々な戦闘機達と出会って行く。

<EXPLANATION> いわゆる「歴史転換」タイプですが、本作が異色なのは日本軍に関しては 登場人物が全て架空の人物である点。但し、全くの架空人物では無く「ああ、これはあの人だな」と想像のつくネーミング になっています。(ちなみに“山本五十六”は“山木八十八”(笑))
始めの頃は、ほぼ史実通りに歴史が進行して行きますがドゥーリットル空襲あたりから少しずつ変わって行きます。 特に日本軍には零式艦戦以降、 二式双発単座戦闘機・通称「双戦」等、架空の戦闘機が次々と登場し主人公・風間健児の愛機となります。 (「烈風」「雷電」等の実在機も登場しますが、実機とは少し違った物になっています) 第十五巻では、実際には遂に実用化されなかった噴式戦闘機の「閃風」も登場しました。(実際の計画機名は「橘花」)
ところで、本作は主人公・風間健児の回顧録の形式で進んで行きます。この為、語り口調が多分に愛国者と言うか何と言うか ‥‥になっていますので、(元帝国軍人ですからネ)読む人によっては多少引いてしまう所があるかもしれません。 但し、戦時中の若者達は正にこう言った心境で戦場に立っていたんだろうな、と考えさせられる事も多々あります。
さて、本書各巻の表紙は作品内で活躍する機体の写真が飾っています。勿論、実機の写真の訳はありません。 横山宏氏(お名前は存じ上げませんが、かなりのモデラーとお見受けしました)の造った模型による情景写真なのですが、 何れも素晴らしい完成度で感心してしまいます。特に、双戦以降の機体は架空の機体なのでビジュアルとして見られるのは 有難いですね。

( 2000 / 05 / 14 )





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