ちょっとしたコラム      
               
06.9.23付


1982年 中日ドラゴンズVS西武ライオンズ(前編)

 1982年のセ・リーグは近藤監督率いる中日がV2を目指した巨人を振り切り、ゲーム差なしで8年ぶりの優勝を果たした。シーズン最終戦で勝利しての優勝だった。打線には飛びぬけた存在はいなかったが、ベテラン・谷沢が打率は悪かったものの自己最多となる85打点。6年目の宇野が初の30本塁打。また新外国人のモッカが打率.311と奮闘した。2年目の中尾が18本塁打、打率.282で正捕手に定着したのも大きかった。投手では左腕の都が16勝して勝ち頭。エースと期待された小松は内転筋の故障で4勝に終わったが、終盤はストッパーとして9セーブをマークした。また、夏場にひじを痛めるまでストッパーとして活躍したのがマウンド度胸抜群の3年目・牛島で、17セーブを挙げた。

 西武は前期を制し、日本ハムをプレーオフで破ってのリーグ優勝だった。主砲・田淵は打率.218ながらテリーと並ぶチーム最多の25本塁打。スティーブがチーム唯一の3割打者となる.307をマーク。石毛も2年目のジンクスに苦しんだが15本塁打、22盗塁をマークした。片平、大田のベテラン勢も持ち味を発揮した。投手陣では大勝ちした投手はいなかったが、4人が二桁勝利を達成。防御率も揃って2点台から3点台前半の数字を残した。またシーズン途中に広島から移籍した高橋直樹もパ・リーグの水が合っていたのか7勝2敗に防御率2.27の好成績でローテーションの谷間を見事に埋めた。

両チーム主力選手の成績
中日     西武  
谷沢健一 21本塁打 85打点 打率.280   田淵幸一 25本塁打 59打点 打率.218
モッカ 23本塁打 76打点 打率.311   テリー 25本塁打 71打点 打率.272
大島康徳 18本塁打 60打点 打率.269   スティーブ 11本塁打 46打点 打率.307
宇野勝 30本塁打 69打点 打率.262   石毛宏典 15本塁打 54打点 打率.259 22盗塁
田尾安志 14本塁打 41打点 打率.350   山崎裕之 7本塁打 34打点 打率.246
中尾孝義 18本塁打 47打点 打率.282   片平晋作 14本塁打 47打点 打率.277
平野謙 4本塁打 33打点 打率.288 20盗塁   大田卓司 17本塁打 58打点 打率.279
上川誠二 2本塁打 17打点 打率.227   立花義家 1本塁打 25打点 打率.251
田野倉正樹 6本塁打 19打点 打率.220   行沢久隆 5本塁打 20打点 打率.219
         
都裕次郎 16勝5敗 防御率3.14 141奪三振   松沼雅之 11勝8敗 防御率2.76 110奪三振
郭源治 9勝7敗 防御率3.48 132奪三振   松沼博久 10勝9敗 防御率2.83 152奪三振
鈴木孝政 9勝7敗 防御率3.11 56奪三振   東尾修 10勝11敗1S 防御率3.28 59奪三振
三沢淳 8勝7敗 防御率3.56 74奪三振   森繁和 10勝2敗10S 防御率3.18 46奪三振
牛島和彦 7勝4敗17S 防御率1.40 75奪三振   杉本正 7勝12敗 防御率3.65 60奪三振
小松辰雄 4勝4敗9S 防御率2.61 58奪三振   高橋直樹 7勝2敗1S 防御率2.27 36奪三振

 10月23日の第1戦は西武が松沼兄、中日が小松の先発で始まった。西武は2回表に小松を捉えて5安打を集中、7番・黒田と2番・山崎がそれぞれ2点タイムリー放ち4点を先行した。西武は3回にも先頭のスティーブが1号ソロを放って小松をKO。2番手・堂上も攻めて黒田のタイムリーでさらに1点、合計6-0と大きくリードした。その裏の中日も田尾の犠牲フライと3番・モッカの2ランで3点を返したが、4回以降は2番手・東尾の前にゼロが続いた。

 追加点のなかった西武も8回表に6番・大田がライトへソロ本塁打して駄目押し。東尾は4回から6イニングを5安打無四球無失点で投げ抜き勝利投手。プロ生活14年目でのシリーズ初登板を見事に飾った。中日は2回0/3で5失点の小松が大誤算。4番・谷沢も4打数ノーヒットとスタメン野手で唯一ヒットがなくブレーキとなった。

10月23日・第1戦
西武 0 4 2 0 0 0 0 1 0   7
中日 0 0 3 0 0 0 0 0 0   3

勝ち 東尾 1勝   負け 小松 1敗

本塁打 スティーブ1号、モッカ1号、大田1号


 翌24日の第2戦は西武が杉本、中日が都の先発で始まった。この日も西武が序盤から主導権を握った。初回先頭の石毛が都を強襲するヒットで出塁。この打球を左足に受けた都は打者1人で降板。代わって登板した2番手・藤沢は明らかに準備不足。一死から3番・スティーブ、4番・田淵を連続四球で歩かせ満塁とすると、5番・テリーに2点タイムリーさらに6番・大田にも2点タイムリーツーベースが出て西武は一気に4点を先制した。

 攻撃の手を緩めない西武は2回表にもスティーブのタイムリーと田淵の犠飛で2点を追加した。しかし西武の先発・杉本も不安定。3回まで毎回被安打ながらゼロに抑えたものの、4回裏に一死1・2塁としたところで広岡監督は2番手・小林をマウンドに送った。小林は期待に応えて8回まで4回1/3を1安打の好投。西武は9回表に西岡が駄目押し1号ソロで追加点。その裏の中日も3番手・森から上川のタイムリーツーベースで一矢を報いたが、序盤の大量失点は如何ともし難く7-1で西武の連勝に終わった。

10月24日・第2戦
西武 4 2 0 0 0 0 0 0 1   7
中日 0 0 0 0 0 0 0 0 1   1

勝ち 小林 1勝   負け 都 1敗

本塁打 西岡1号


 1日置いた26日の第3戦は中日が都、西武が高橋の先発で始まった。第2戦で打球を左足に受けた都は2戦連続先発という奇策だったが、これが裏目。西武は初回にスティーブのタイムリーと都のエラーで2点を先取。結局都は2回途中で2番手・鈴木孝にマウンドを譲る事となった。またも立ち上がりに失点して苦しい中日だったが、この日は2番手・鈴木孝の粘り強い投球がチームに勇気を与えた。

 6回まで2安打とベテラン・高橋の投球に翻弄された中日打線だったが、7回表に走者二人を置いて7番・上川が起死回生の逆転3ラン。好投を一球でふいにした高橋はこの回で降板。8回裏、先頭の石毛に二塁打を打たれて中日は好投の鈴木孝から切り札・牛島にリレー。しかし山崎のバントで三進した石毛は3番・スティーブの内野ゴロで生還し3-3の同点。試合の行方は混沌としてきたかと思われたが、9回表の中日は二死1・3塁からスティーブの失策で幸運な勝ち越し点を得た。その裏の西武の攻撃を牛島が無難に抑え、4-3で逃げ切った中日がシリーズ1勝目を挙げた。

10月26日・第3戦
中日 0 0 0 0 0 0 3 0 1   4
西武 2 0 0 0 0 0 0 1 0   3

勝ち 牛島 1勝   負け 東尾 1勝1敗

本塁打 上川1号

(後編に続く)

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