ちょっとしたコラム      
               
05.6.4付


三塁打

 通算記録では福本豊(阪急)が歴代1位を確保。三塁打王に8度も歴代最多。二塁打部門では今季中に立浪に抜かれて2位となったがこちらの通算1位は当分動きそうもない。88年限りで福本が引退した後は、大石大二郎(近鉄)が62本打ったのが最高であり、新たに歴代ベストテン入りした選手はいない。現役トップの小坂誠(ロッテ)でさえ、まだ福本の半分も行っていない。とりあえずベストテン入りまでならば小坂、続く村松有人(オリックス)は残り20本を切っており、年平均6本ぐらい打てれば共に3年ほどで可能なところまでは来ている。

 小坂は99年の10本を筆頭に歴代3位タイとなる4度の三塁打王。しかし昨年は自己ワーストの242打数だった事もあり、三塁打もプロ入り以来最少の3本に終わった。今季も143打数で1本を上積みしただけの通算54本で、昨年よりさらにペースダウン。村松も03年に歴代5位タイの13本を放って大いに注目されたがオリックスに移籍した04年はわずか1本と停滞してしまった。今季もまだ1本で通算52本であり、60本台に乗せるのも時間がかかりそうである。

 それに続く選手では42本の石井琢朗(横浜)、39本の大村直之(ソフトバンク)あたりに期待がかかる。石井は三塁打王は93年の1回だけだが、3本以上は8回。04年に自己最多の6本を打って40本台に突入した。石井も今季はまだ1本で通算43本。大村は意外にも三塁打王になった事がないが、98年・03年に7本の三塁打を記録している。広い福岡ドームを本拠地とするソフトバンク移籍で量産が期待され、今季は2本を上積みして通算41本と40本台に乗せた。

 現役で注目株は福留孝介(中日)。03年に11本でセ・リーグ23年ぶりの二桁三塁打を達成。怪我で92試合止まりの04年も7本でリーグ13年ぶりとなる2年連続三塁打王。プロ入り4年目までの合計が9本だった為に通算記録はまだ少ないが、同じ27歳時点では小坂29本や村松24本と比べても遜色ない。今季は2本で通算29本としている。

 また、04年に8本打って22本とした川崎宗則(ソフトバンク)はまだ23歳。年平均5本ずつでも20代のうちに50本に届きそうで、将来の歴代ベストテン入りが有望である。今季は怪我による欠場が長く、まだ1本。今後の巻き返しに期待したい。
 入団から4年連続盗塁王の赤星憲広(阪神)は、意外にも三塁打王になった事がないが、今季は両リーグトップの7本で通算28本として30本台が目前となっている。

<通算三塁打ベストテン>
歴代 選手名(最終所属) 記録   現役 選手名(所属) 記録 04年実績
1 福本豊(阪急) 115三塁打   1 小坂誠(ロッテ) 53三塁打 3三塁打
2 毒島章一(東映) 106三塁打   2 村松有人(オリックス) 51三塁打 1三塁打
3 金田正泰(阪神) 103三塁打   3 野村謙二郎(広島) 47三塁打 2三塁打
4 川上哲治(巨人) 99三塁打   4 飯田哲也(楽天) 42三塁打 0三塁打
5 広瀬叔功(南海) 88三塁打   4 石井琢朗(横浜) 42三塁打 6三塁打
6 呉昌征(毎日) 81三塁打   6 大村直之(ソフトバンク) 39三塁打 2三塁打
6 中暁生(中日) 81三塁打   7 立浪和義(中日) 35三塁打 0三塁打
8 長嶋茂雄(巨人) 74三塁打   8 初芝清(ロッテ) 35三塁打 1三塁打
9 張本勲(ロッテ) 72三塁打   9 新庄剛志(日本ハム) 35三塁打 3三塁打
10 吉田義男(阪神) 70三塁打   10 堀幸一(ロッテ) 34三塁打 2三塁打

 年間記録は1951年に金田正泰(大阪)の記録した18本が半世紀以上も破られずに残っている。2年後の53年にレインズ(阪急)が2本差まで迫ったが及ばず。1960年代以降は13本以上という選手はなかなか現れず、76年に吉岡悟(太平洋)が1試合3三塁打をマークするなど久々に13本を記録。その後また途絶えて97年に松井稼頭央(西武)が21年ぶりに13本を記録した。

 松井に続いて13本をマークしたのが03年の村松。しかし前述の通り翌年は1本と大幅ダウンしてしまった。現役で二桁三塁打を記録しているのは下表のように4人いるが、村松と小坂は今季スタメンを外れるケースも多く、小坂は規定打席にも不足している状態。従って、フル出場している福留に期待したい。

 04年に8本でパ・リーグ三塁打王となった川崎は今季故障で出遅れたが、今後が非常に楽しみな選手である。赤星も昨年まで4年間では03年の7本が最多だったが今季はチーム55試合目で早くも7本と二桁三塁打の期待がかかる。単純計算では146試合で18本のペースである。
 今季パ・リーグトップの6本をマークしているのが西岡剛(ロッテ)。まだプロ3年目、20歳の新鋭である。日本記録である18本、そしてパ・リーグ記録である16本にどこまで迫れるか楽しみである。

 今季の両リーグの記録を見ても三塁打3本以上はセに1人、パに3人と三塁打は限られた選手のみの記録ともなりつつあるが、グラウンド内でのエキサイトシーンの1つであるのは間違いなく、三塁ベースを巡る攻防を積極的に見せてもらいたいものである。

参考 年度別リーダーズ(三塁打)

<年間三塁打ベストテン>
歴代 選手名(当時の所属) 記録 年度   現役 選手名(当時の所属) 記録 年度
1 金田正泰(大阪) 18三塁打 1951   1 村松有人(ダイエー) 13三塁打 2003
2 L・レインズ(阪急) 16三塁打 1953   2 野口寿浩(日本ハム) 11三塁打 2000
3 蔭山和夫(南海) 15三塁打 1950   2 福留孝介(中日) 11三塁打 2003
4 鈴木清一(セネタース) 14三塁打 1946   4 小坂誠(ロッテ) 10三塁打 1999
5 鬼頭数雄(ライオン) 13三塁打 1940   5 小久保裕紀(ダイエー) 9三塁打 1995
5 金田正泰(阪神) 13三塁打 1946   5 村松有人(ダイエー) 9三塁打 1996
5 藤村富美男(大阪) 13三塁打 1948   5 岩村明憲(ヤクルト) 9三塁打 2000
5 蔭山和夫(南海) 13三塁打 1951   5 川崎宗則(ダイエー) 9三塁打 2004
5 C・バルボン(阪急) 13三塁打 1955   9 野村謙二郎(広島) 8三塁打 1990
5 関口清治(西鉄) 13三塁打 1956   9 飯田哲也(ヤクルト) 8三塁打 1992
5 箱田淳(国鉄) 13三塁打 1956   9 久慈照嘉(阪神) 8三塁打 1992
5 毒島章一(東映) 13三塁打 1957   9 益田大介(中日) 8三塁打 1997
5 吉岡悟(太平洋) 13三塁打 1976   9 真中満(ヤクルト) 8三塁打 1998
5 松井稼頭央(西武) 13三塁打 1997   9 小坂誠(ロッテ) 8三塁打 1998
5 村松有人(ダイエー) 13三塁打 2003   9 小坂誠(ロッテ) 8三塁打 2001
          9 柴田博之(西武) 8三塁打 2001
          9 川崎宗則(ダイエー) 8三塁打 2004

ランキングの記録は2004年まで、今季の記録は6月3日まで

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