三塁打
通算記録では福本豊(阪急)が歴代1位を確保。三塁打王に8度も歴代最多。二塁打部門では今季中に立浪に抜かれて2位となったがこちらの通算1位は当分動きそうもない。88年限りで福本が引退した後は、大石大二郎(近鉄)が62本打ったのが最高であり、新たに歴代ベストテン入りした選手はいない。現役トップの小坂誠(ロッテ)でさえ、まだ福本の半分も行っていない。とりあえずベストテン入りまでならば小坂、続く村松有人(オリックス)は残り20本を切っており、年平均6本ぐらい打てれば共に3年ほどで可能なところまでは来ている。
小坂は99年の10本を筆頭に歴代3位タイとなる4度の三塁打王。しかし昨年は自己ワーストの242打数だった事もあり、三塁打もプロ入り以来最少の3本に終わった。今季も143打数で1本を上積みしただけの通算54本で、昨年よりさらにペースダウン。村松も03年に歴代5位タイの13本を放って大いに注目されたがオリックスに移籍した04年はわずか1本と停滞してしまった。今季もまだ1本で通算52本であり、60本台に乗せるのも時間がかかりそうである。
それに続く選手では42本の石井琢朗(横浜)、39本の大村直之(ソフトバンク)あたりに期待がかかる。石井は三塁打王は93年の1回だけだが、3本以上は8回。04年に自己最多の6本を打って40本台に突入した。石井も今季はまだ1本で通算43本。大村は意外にも三塁打王になった事がないが、98年・03年に7本の三塁打を記録している。広い福岡ドームを本拠地とするソフトバンク移籍で量産が期待され、今季は2本を上積みして通算41本と40本台に乗せた。
現役で注目株は福留孝介(中日)。03年に11本でセ・リーグ23年ぶりの二桁三塁打を達成。怪我で92試合止まりの04年も7本でリーグ13年ぶりとなる2年連続三塁打王。プロ入り4年目までの合計が9本だった為に通算記録はまだ少ないが、同じ27歳時点では小坂29本や村松24本と比べても遜色ない。今季は2本で通算29本としている。
また、04年に8本打って22本とした川崎宗則(ソフトバンク)はまだ23歳。年平均5本ずつでも20代のうちに50本に届きそうで、将来の歴代ベストテン入りが有望である。今季は怪我による欠場が長く、まだ1本。今後の巻き返しに期待したい。
入団から4年連続盗塁王の赤星憲広(阪神)は、意外にも三塁打王になった事がないが、今季は両リーグトップの7本で通算28本として30本台が目前となっている。
歴代 | 選手名(最終所属) | 記録 | 現役 | 選手名(所属) | 記録 | 04年実績 | |
1 | 福本豊(阪急) | 115三塁打 | 1 | 小坂誠(ロッテ) | 53三塁打 | 3三塁打 | |
2 | 毒島章一(東映) | 106三塁打 | 2 | 村松有人(オリックス) | 51三塁打 | 1三塁打 | |
3 | 金田正泰(阪神) | 103三塁打 | 3 | 野村謙二郎(広島) | 47三塁打 | 2三塁打 | |
4 | 川上哲治(巨人) | 99三塁打 | 4 | 飯田哲也(楽天) | 42三塁打 | 0三塁打 | |
5 | 広瀬叔功(南海) | 88三塁打 | 4 | 石井琢朗(横浜) | 42三塁打 | 6三塁打 | |
6 | 呉昌征(毎日) | 81三塁打 | 6 | 大村直之(ソフトバンク) | 39三塁打 | 2三塁打 | |
6 | 中暁生(中日) | 81三塁打 | 7 | 立浪和義(中日) | 35三塁打 | 0三塁打 | |
8 | 長嶋茂雄(巨人) | 74三塁打 | 8 | 初芝清(ロッテ) | 35三塁打 | 1三塁打 | |
9 | 張本勲(ロッテ) | 72三塁打 | 9 | 新庄剛志(日本ハム) | 35三塁打 | 3三塁打 | |
10 | 吉田義男(阪神) | 70三塁打 | 10 | 堀幸一(ロッテ) | 34三塁打 | 2三塁打 |
年間記録は1951年に金田正泰(大阪)の記録した18本が半世紀以上も破られずに残っている。2年後の53年にレインズ(阪急)が2本差まで迫ったが及ばず。1960年代以降は13本以上という選手はなかなか現れず、76年に吉岡悟(太平洋)が1試合3三塁打をマークするなど久々に13本を記録。その後また途絶えて97年に松井稼頭央(西武)が21年ぶりに13本を記録した。
松井に続いて13本をマークしたのが03年の村松。しかし前述の通り翌年は1本と大幅ダウンしてしまった。現役で二桁三塁打を記録しているのは下表のように4人いるが、村松と小坂は今季スタメンを外れるケースも多く、小坂は規定打席にも不足している状態。従って、フル出場している福留に期待したい。
04年に8本でパ・リーグ三塁打王となった川崎は今季故障で出遅れたが、今後が非常に楽しみな選手である。赤星も昨年まで4年間では03年の7本が最多だったが今季はチーム55試合目で早くも7本と二桁三塁打の期待がかかる。単純計算では146試合で18本のペースである。
今季パ・リーグトップの6本をマークしているのが西岡剛(ロッテ)。まだプロ3年目、20歳の新鋭である。日本記録である18本、そしてパ・リーグ記録である16本にどこまで迫れるか楽しみである。
今季の両リーグの記録を見ても三塁打3本以上はセに1人、パに3人と三塁打は限られた選手のみの記録ともなりつつあるが、グラウンド内でのエキサイトシーンの1つであるのは間違いなく、三塁ベースを巡る攻防を積極的に見せてもらいたいものである。
歴代 | 選手名(当時の所属) | 記録 | 年度 | 現役 | 選手名(当時の所属) | 記録 | 年度 | |
1 | 金田正泰(大阪) | 18三塁打 | 1951 | 1 | 村松有人(ダイエー) | 13三塁打 | 2003 | |
2 | L・レインズ(阪急) | 16三塁打 | 1953 | 2 | 野口寿浩(日本ハム) | 11三塁打 | 2000 | |
3 | 蔭山和夫(南海) | 15三塁打 | 1950 | 2 | 福留孝介(中日) | 11三塁打 | 2003 | |
4 | 鈴木清一(セネタース) | 14三塁打 | 1946 | 4 | 小坂誠(ロッテ) | 10三塁打 | 1999 | |
5 | 鬼頭数雄(ライオン) | 13三塁打 | 1940 | 5 | 小久保裕紀(ダイエー) | 9三塁打 | 1995 | |
5 | 金田正泰(阪神) | 13三塁打 | 1946 | 5 | 村松有人(ダイエー) | 9三塁打 | 1996 | |
5 | 藤村富美男(大阪) | 13三塁打 | 1948 | 5 | 岩村明憲(ヤクルト) | 9三塁打 | 2000 | |
5 | 蔭山和夫(南海) | 13三塁打 | 1951 | 5 | 川崎宗則(ダイエー) | 9三塁打 | 2004 | |
5 | C・バルボン(阪急) | 13三塁打 | 1955 | 9 | 野村謙二郎(広島) | 8三塁打 | 1990 | |
5 | 関口清治(西鉄) | 13三塁打 | 1956 | 9 | 飯田哲也(ヤクルト) | 8三塁打 | 1992 | |
5 | 箱田淳(国鉄) | 13三塁打 | 1956 | 9 | 久慈照嘉(阪神) | 8三塁打 | 1992 | |
5 | 毒島章一(東映) | 13三塁打 | 1957 | 9 | 益田大介(中日) | 8三塁打 | 1997 | |
5 | 吉岡悟(太平洋) | 13三塁打 | 1976 | 9 | 真中満(ヤクルト) | 8三塁打 | 1998 | |
5 | 松井稼頭央(西武) | 13三塁打 | 1997 | 9 | 小坂誠(ロッテ) | 8三塁打 | 1998 | |
5 | 村松有人(ダイエー) | 13三塁打 | 2003 | 9 | 小坂誠(ロッテ) | 8三塁打 | 2001 | |
9 | 柴田博之(西武) | 8三塁打 | 2001 | |||||
9 | 川崎宗則(ダイエー) | 8三塁打 | 2004 |
※ランキングの記録は2004年まで、今季の記録は6月3日まで