『NSX購入大作戦』

 次の休日、カーセンサーで見たNSX専門店の前にいました。店の名前は『MACS』。練馬区光ケ丘の住宅街の一角のこじんまりとしたビルの1・2階が店舗になっていました。中に入ってみると、あるわあるわNSXが所狭しと並んでいます。価格はATが400万前半、MTが400万後半から500万台、TypeRが700万台といったところでしょうか。しばらくしてゆったりとした感じで店長さんが出てきました。

「NSXをお探しですか?」

  これまたゆったりとした口調です。

「はい、500万ぐらいのMTの赤を探しています」

「そうですか、500万だと走行3万Kmぐらいの比較的程度のよいものが選べますよ。色も赤ならタマ数は多いです。白や黄色だと人気があるのでそれだけで値段が上がってしまいます。シルバーや黒なら比較的安くなると思いますよ」

「色は赤一本なんです。条件に合いそうな車は今ありますか?」

「あるにはありますが売約済みになってしまっています。」

 そういって見せてもらったのは、平成3年式の赤・MT・走行3万Km弱、470万円で売れたそうです。売約済みなのでこれには触らせてもらえず、他のパールホワイトの車を見せてもらいました。外装、エンジンルーム、内装…どれをとっても新車同然に見えます。あえて粗を探すなら皮のシートに疲れが見えるぐらいです。

「皆さん大事に乗られてますから。」

 そうでしょうそうでしょう、何しろ手放したオーナーが買った当時はまさに桁の違う金額の1000万円の車!!屋根付き車庫保管で雨の日は乗らなかった人も多いといいます。(雨の日乗らないというのは、後日その理由を身をもって実感することになりますが…)

 ドアを開け、初めてNSXのシートに座ります。…まさにコクピット!!包み込まれるようなパネル周り、ゆったりとサポートする皮シート、大き目のスイッチ類、シンプルで見やすいメーター、写真でしか見たことが無かった憧れの風景がそこに広がっていました。しかし、何故かあまりにも違和感がありません。そう!全体の雰囲気がシルビアになんとなく似ています。高級感は桁違いですが。

「やっぱりいい!」

  気に入りました。ちなみにこの車は520万!

「だいたい諸費用として50〜60万をプラスして見てください。」

「えっ!?」

  そう、まったく忘れていました。当たり前ながら諸費用はかかります。当然その中には消費税も…。車本体500万としても消費税5%だけで25万もかかるんです!!

「買っていかれるみなさんは、支払いはどのようにされてるんですか?」

「そうですね、うちでもローンはご紹介させていただいてますが、銀行などで借りているかどうかは別としてうちには現金で支払っていただく方が多いですね。」

 …即金!!貧乏サラリーマンの僕には、現金ですぐに用意できるのはかき集めても100万ぐらいしかありません。とりあえず今現在はローンが全く無いことが救いなぐらいで、残りはローンを組まざるを得ません。再検討が必要です。出直すことにしました。

 

 

 次はディーラーに向かいます。ホンダベルノ「OG」店。目的はNSXのカタログを貰うことと、中古でもメンテナンスしてもらえるかを確認することです。出てきたのは若い営業マン(黒木さん)でした。

「NSXのカタログを貰いたくて来てみたんですが」

  NSXみたいな高級車のカタログはそんなに簡単にくれないんじゃないか?と思ってましたが、意外とあっさり

「はい、NSXですね」

  と棚から出してきてくれました。

「NSXをご検討中ですか?」

  椅子を勧められ

「お飲み物は何になさいますか?」

「NSXいい車ですよね〜、僕も憧れてるんです」

とあっという間に向こうのペースに入ってしまいました。「マズい!正直に話しとこう。でも、ディーラーだから新車を買う気がないんじゃ相手にしてもらえないかな?」ということで

「NSXに憧れてて、今お金を貯めてるところです。とりあえず、中古を検討していますが、お金を貯める励みにするためにカタログを貰おうと思って…」

  一応ウソではありません(^^ゞ。しかし、相手はプロです。きっと気づいたでしょう。でも、NSXに憧れていることに賛同してくれました。黒木さんはバイクでレースをしていること、NSXのようなスポーツカーでサーキットを走ってみたいことなどを話してくれ、意気投合して話し込み、

「もし中古で買っても責任持ってメンテナンスさせていただきます」

  と言ってくれました。(NSXの場合、ディーラーで中古も探してくれるのを知ったのは買った後のことでした。)

 

 

 最後に、初めての走行会から一緒に行っている友人で、R32GTR乗りのYGさんに電話をかけました。「車買い替えるなら、どんな車でも引っ張ってくる友人の営業マンを紹介するよ。」以前からそう言ってくれていたのを覚えていたからです。

「え゛、NSXぅぅ〜!?人生捨てる気ぃぃ〜??」

 ごもっともです。(^^; でも、中古車相場を説明すると納得してくれ、快く紹介してくれることを約束してくれました。

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