忠誠の指輪6

01.09.09改


 夕暮れの中で黒いシルエットを描く森。水銀のように重く凪いだ湖面が
 夜の近いことを告げている。ジュリアスと女王セラフィンは、終始
 ほとんど無言だった。
 わずかな時間を盗むように訪れたここ森の湖。
 綱渡りのようなこの逢瀬の一刻一刻がいかに貴重かは、祝福された恋人たちには
 決してわからないだろう。このわずかな逢瀬のひとときは、喜びよりは痛みとして
 感じられるほど激しく凝縮された時間だった。ちょうど手のひらに受けるほどの
 薔薇の精油を採るため、何トンもの薔薇が蒸留されるように――。
 

 さやさやと梢を渡る悲しげな日暮れの風の音。
 女王セラフィンは残りわずかな夕陽を掌に受けるように空へと手を差し伸べて、
 ジュリアスに向かい、この光の中にあなたの存在を感じると告げた。
 薄れゆく黄昏の光が淡いぬくもりの感触として残るのだと言って微笑む彼女の目の前で
 ジュリアスは両手を何かを捧げ持つ時のように上に向け、力を使いすぎないよう
 気をつけながら光のサクリアを風に乗せた。光のサクリアはセラフィンの頭上に
 渦を描きながら舞い上がると、花火のような黄金色の流星雨となって彼女の上に降り注いだ。
 宵の明星のように美しい人の青ざめた悲しげな面が、一瞬虹のような微笑みで彩られる。
 幸薄い女王の愁いを帯びた眼差しが、帯びる幻のようにはかない喜びの色。
 彼女のキャンドルのような瞳の輝きは、忘れられぬ鮮やかな印象となり
 ジュリアスの心の宝石となって、思い返すたびに彼の胸にまざまざとよみがえった。
 あとになってジュリアスがその時のことを思い出そうとしても、
 その他のことは、あたかも夢のかけらのように曖昧で断片的な
 記憶しか残っていなかった。
 

 わくら葉を踏みしだくせわしない足音が遊歩道の方から聞こえてきた。
 ジュリアスは、はっとしてとっさにセラフィンを背にかばい、彼女はヴェールを
 目深にかぶり直した。
「光の守護聖様、こちらでしたか。お探しいたしましたぞ。」
 突然の闖入者の登場で、黄金のひとときは終わりを告げた。
 彼らのもとに息せき切って駆けつけたのは、闇の守護聖の私邸に仕えている
 職員の一人だった。初老の職員は顔を赤黒くして、肩で激しく息をついている。
 そのただならぬ様子を見て、ジュリアスは闇の守護聖の私邸で何事かが
 出来したことを悟った。
「どうした、クーリィに何かあったのか?」
「クラヴィス様が昏睡状態にっ――」
 職員は絞り出すような声でそれだけ言うと、激しくせき込んだ。
  「なにっ!?」
 ジュリアスの顔色が一変する。
 司るサクリアの暴走によって死に至った守護聖の例は、決して少なくない。
 まして今のクラヴィスのような幼い守護聖は、潜在力は高くても、サクリアを
 ねじ伏せるだけの絶対的な体力が不足していた。
 ようやく息を整えた職員がかいつまんで語る幼いクラヴィスの容態に
 ジュリアスと女王は深刻な面持ちで耳を傾けた。
「どうかクラヴィス様に一刻も早く光のサクリアを送って差し上げてください、
 お願いいたします。」
 闇の守護聖付きの従者は彼に向かって訴えた。
 

 セラフィンがものやわらかい口調で彼をうながす。
「行っておあげなさい、ジュリアス。私のことならば大丈夫です。」
「しかし――」
 あなたをおいていくのは…と彼が口にする前に。
「私がそれを望むのです。」
 ジュリアスが逆らうとはみじんも思わず、凛として命令をくだす誇り高い女王の横顔。
 彼としても、もとより闇の守護聖の私邸へ向かうことに異存はなかった。
 彼は、第三者の前で不審でない程度にセラフィンに対して丁寧に一礼すると、
 その足で闇の守護聖の私邸へと駆けつけた。
 

 エストレ星域の安らがぬ死者の魂が、彷徨っている深い闇わだ。
 さまよえる死者たちの霊魂に取り込まれて制御がきかなくなった闇の深淵に、
 幼いクラヴィスの精神は呑み込まれかかっていた。
 

 だが、冥界との境を漂っていた幼いクラヴィスの魂は、真の闇の中に差し込んだ
 一条の光を見逃さなかった。
 

 幼い闇の守護聖は蒼白な顔色のまま、寝台の上にぐったりと横たわっていた。
 頬に手をあててもほとんどぬくもりが感じられない。
 光の守護聖はあせる気持ちを抑え、幼い対の守護聖の体内に、自分の身中に息づく
 輝く光のサクリアをゆっくりと溶かし込んでいった。やがて、深い闇わだの中に
 沈んでいた闇の守護聖の意識が緩やかに覚醒してくる。
 どこか深海を思わせる濃紺の天蓋の中で、闇の守護聖はゆっくりとまぶたを開いた。
「…ジュール…。」
 か細い声で、幼いクラヴィスは自分の対の守護聖の名を呼ぶ。
「気づいたか、クーリィ。私はここにいる。」
 ジュリアスは安堵のため息をつくと、幼いクラヴィスに手を差し伸べたが
 その手は音を立ててはねつけられた。
「ジュールはどこ? どこにいるの?」
 まだ意識がはっきりしていないのかどこかうつろな目をした幼い闇の守護聖の表情が、
 みるみる不安なものに変わっていく。友の名前を心細げに何度も呼んだあと、
「…ジュールが、いなくなっちゃった。」
 幼いクラヴィスは、しくしくと泣き始めた。
 そう言えば、私たちにはこんな時代もあったのだ――。ジュリアスは胸を鷲掴みにされた
 ような気分になる。こうして肩を寄せ合って、星々が崩れいく日、大切な人を失った日、
 二人して泣きながら、それでも励まし合って…。
 あらためてジュリアスの顔を見上げた幼いクラヴィスは、ようやく思い当たったように
 がばっと起きあがった。
「おねがい、ジュールを返して!」
 彼は衰弱して細くなった腕でジュリアスの両腕をつかみ、
 せいいっぱいの力を込めて揺さぶった。
「僕のたった一人の友だちなんだ。ねえ、ジュールを返して!」
 幼いクラヴィスは声をあげて泣き出した。ジュリアスは、その言葉をかみしめる。
「そうだな、クーリィ。私は、本来ここにいてはいけない人間だ。
 そなたに、友人のジュールを返してやらねばならぬ。」
 今しばらく、辛抱してくれ。もうじき、私は元の時代に帰るから――ジュリアスは
 そう言って、やせ細って骨の浮き出ている幼なじみを抱きしめた。涙をたたえた
 紫色の瞳が閉じられ、あふれた涙がすうっと血の気のない白い頬の上をつたっていった。
 

 ※               ※               ※
 

 王立研究院の時空の扉のある区域は、現在オフリミットになっている。
 炎の守護聖オスカーはここで、宇宙のサクリア循環の影響を受けて変幻自在に軌跡を
 変える亜区間の回廊を睨みながら、サクリアの分布状況を観察していた。
 これは普段は首座であるジュリアスの日課であったが、彼が不在の間、オスカーが
 自主的に代行を務めていた。
 高い金属的な音と共に、ドアの開く音がする。
「誰だ?」
 オスカーは、背を向けたまま誰何する。
「サクリアの分布状況を見にきた。私の日課なのだ。」
 簡潔ないらえが、間髪を入れず返ってくる。
 オスカーが振り返ると、やわらかな金色の巻き毛の幼い光の守護聖が、
 当然のような顔をして入ってきた。
 照明の落とされた薄暗がりの中で、金の光がはじけるような幼いジュリアスの髪。
「自分の執務もあるであろうに、ご苦労なことだな。」
 幼いジュリアスにこう言われて、オスカーは内心思わず苦笑する。
 幼い光の守護聖の口調は、この時代の彼が日毎オスカーにかけているねぎらいの言葉と
 まったく同じ口ぶりであった。
「…昨日のことでは、そなたにあやまらねばならぬ。」
 ジュリアスは、落ちつかなげに天井や床に視線を走らせた。
「そなたの言うことが正しいことは、わかっていたのだ。」
 ジュリアスは、顔を赤くしながら一生懸命に訴える。
「いいんですよ、ジュリアス様。」
 普段のジュリアスの人となりをよく知ってるオスカーは、自分の失態を必死になって
 取り返そうと躍起になっている幼い彼の姿を見て、微笑ましく思った。
 

「王立研究院に、他に用事はなかったのですか?」
 オスカーにこう訊ねられて、幼いジュリアスは少し頬を膨らませ、不満げな様子をして見せた。
「光の守護聖の執務室に、本日送るべきサクリアに関する書類がとどいていなかったので、
 うけ取りにきたついでにこちらへ立ちよったのだ。」
 それとも、今日は光のサクリアを送らなくてもよいのだろうか?
 幼いジュリアスは、不思議そうに首を傾げる。
 オスカーは、幼いジュリアスが何を疑問に思っているのか確かめるため、逆に
 彼に質問してみることにした。
「第252代の御代では、毎日サクリアを調整する必要があったのですか?」
「サクリアの供給は、時間単位ではかっていた。わずかな調整のおくれが
 星々の崩壊に直結するからな。」
 ジュリアスは当然のことのように答えた。オスカーは、幼い頃の彼らが
 置かれていた状況の厳しさに思い当たって、はっと胸を突かれた。
 当時の守護聖達は、文字通り綱渡りで宇宙のバランスを保っていたのだ。
 状況を呑み込んだ炎の守護聖は、順を追って説明することにした。
「結論から先に言えば、今日は光のサクリアを送る必要はありません。」
「本当に?」
「はい、ジュリアス様は今日から数日間視察に行くご予定でしたから、
 光のサクリアについては前日までに十分調整しておいででした。」
 現在は、サクリアに対する要求の絶対量が第252代の御代と比べて低下しているので
 サクリアを送る回数自体は少なくても大丈夫なのです、
 と付け加えるオスカー。
「そして本日は、光のサクリアに関して特に緊急の案件は入っていません。」
 幼いジュリアスは、ここでようやくうなずいた。
「では、ここで宇宙のサクリア分布状況をみてから執務室へもどるとしよう。」
 オスカーは立ち位置をずらして、幼いジュリアスのために道をあけた。
 

 幼いジュリアスは時空の門の縁に立って、宇宙の深淵をのぞき込む。
 宇宙をめぐるさまざまな力の作用を受けて、ジュリアスの袖や裾は
 風もないのにはためく。ジュリアスは、そのまましばらく宇宙の模様を
 眺めていたが、その顔色は見る見るうちに青ざめていった。
「これは――」
 幼いジュリアスは蒼白な顔で、かすれた声をあげた。
 彼は、うろたえたように後ずさった。
「――いったい、どういうことなのだ!? この宇宙は、死にかけているではないか!!」
 ジュリアスは、叫び出さないように喉に手を当てて声を押さえつける。
 宇宙を見つめるジュリアスの背後に、オスカーが立ち彼の肩越しに宇宙を見上げる。
「そのように見えますか?」
  オスカーは、静かに訊ねた。
「ああ、一目瞭然だ。この宇宙は滅亡のふちに立っている。…いや、もうすでに
 ほろんでいるといった方がいい。そなた、このありさまが見えないのか?」
「…やはりそうだったのですね。」
 ジュリアスは振り返ってオスカーを見上げた。
 

「この時代のあなたは、はっきりしたことは教えてくださらなかった。」
 ジュリアスは大きく目をみはった。
 未来の自分が抱えていた重大な秘密を、無考えに暴いてしまったことを知った
 ジュリアスは自分の鳩尾が冷えるのを感じた。ぐらり、とよろめいた
 幼いジュリアスをすかさずオスカーが支える。
「ご心配には及びません。俺もうすうすとは気づいていました。あなたは、ただ
 ご自分の口から語ってくださっただけです。」
 ジュリアスの顔の輪郭を縁取る髪が、風もないのにあおられて血の気のない顔に張り付く。
「気づいていたのは、この時代の私だけ…か? 宇宙がこんなありさまだというのに。」
「私には見えないのです。ジュリアス様。おそらく女王陛下ご自身と、
 あまねき光であるあなたにしか見えないのだと思います。この宇宙の真の姿は。」
「………!」
「ただ、クラヴィス様はお気づきだったかもしれません。」
「そう…だな。宇宙全体が、強い闇のサクリアに覆われている。
 まるで宇宙全体が、やすらかな死をむかえられるように準備をしているようだ。」
 昨晩クラヴィスが言ったのはこのことだったのだな。
 うつろな表情で、宇宙を見上げるジュリアス。
 彼の金の髪が、消えかかった炎のようにサクリア風の中で揺らいだ。
「この時代のあなたは、ご自分の胸だけにすべてをしまい、毎日欠かさずここへ来て、
 厳しい顔で宇宙の推移を見つめておいででした。」
 真実を教えてくださって感謝します。
 オスカーの燃えるような紅の髪も、扉から吹き寄せてくる力にたなびいていた。
 

 一方その頃、光の守護聖の執務室では。
 ジュリアスの世話係を申しつけられたゼフェルが、執務机の上に腰掛けて
 所在なげに両足を揺らしていた。
 

 地の守護聖ルヴァがのドアをノックすると、彼の予想に反して
「よう、入れよ。」
 という鋼の守護聖の声がした。続けて執務室のドアが開く音。
「ゼフェル、あなたがここにいるなんて。さてはジュリアスに留守番を頼まれましたね?」
「まっ、そんなトコだ。」
 ジュリアスの世話係を仰せつかっている鋼の守護聖は、光の守護聖の執務机の上に
 腰掛けたまま、退屈そうにあくびをした。
 飴色の机の上に、細緻なレースのカーテンを通して金色の日差しが落ちている。
「あいつなら、サクリアの分布状況を見ると言って王立研究院へ行っちまったぜ。」
「ああー、そうですか。さすがはジュリアスですねえ。」
 生真面目なところは今と変わらないんですね、とルヴァは感心したようにうなずいた。
「どうです、ジュリアスの世話係は?」
「現在のジュリアスは、視察の前に仕事をあらかた片づけてたみてーだな。」
 おかげで、ちびジュリアスは手持ちぶさたで困ってたみてーだったぜ、とゼフェル。
 地の守護聖は、サイドテーブルの上に置かれたチェスボードにふと目を留めた。
「ひょっとして、あなたと小さなジュリアスはチェスをやっていたんですか。」
 市松模様のボードの上に、象牙と鯨骨でできたチェスの駒が並べられている。
 ルヴァには一目見てそれがチェックメイトの形になっていることがわかった。
「ああ。他になんもやることがなかったからな。」
 そう言ってゼフェルは、少し得意げににやっと笑う。
「ちびジュリアスのヤツ、チェスのやり方を知らないなんて言いやがってよ。
 だから、このオレが駒の並べ方や動かし方を、いちいちレクチャーして
 やったってわけだ。あいつチェスに興味を持ったらしく、ずいぶん熱心に聞いてたぜ。」
 確かに今のジュリアスがあれだけチェス好きなんだから、子供のジュリアスが
 チェスに興味を示してもおかしくねーよな、とゼフェル。
 どうやらチェスの指し方を覚えた小さなジュリアスは、早速ゼフェルと対戦したらしい。
 駒の並び方から勝負のあらましを見て取ったルヴァは、そっと微笑をこぼした。
「すると、タイムパラドックスのことを考えなければ、ジュリアスに最初にチェスの
 手ほどきをしたのはあなたということになるんですね、ゼフェル。」
「マジかよ! そいつは考えつかなかったぜ。」
 ゼフェルは目を見張り、それからからからと笑った。
「あいつが王立研究院から戻ってきたら、もう一度チェスで勝負することになってんだ。」
 言っとくが、オレはわざと負けてやったりはしねーぜ。
 そう言ってゼフェルは親指を立てた。
「ところで、おめーはジュリアスにいったいなんの用だったんだ、ルヴァ?」
「いや、実はジュリアスをお茶に誘おうと思って来たんですけどねー、
 いないんじゃ仕方ありませんね。」
 ルヴァは、残念そうに首を振った。
「じゃあ、ジュリアスが戻ってきたら、オレがそっちに連れてってやるぜ。」
 場所はどうせいつもの宮殿中庭のテラスだろ? ゼフェルは軽く請け合うと、
 地の守護聖を執務室から送り出した。
 

 葡萄の蔓が作る涼しい日陰の下、中庭のテラスで、夢の守護聖オリヴィエと
 地の守護聖ルヴァは、お茶の一時を過ごしていた。
 この中庭には慣例上、守護聖だけが立ち入ることを許される専用の空間となっている。
 そこで守護聖たちは、休憩時間に足繁くこの中庭にやってくるのだった。
 

 オレンジの輪切りをティーカップの縁にかけたシャリマ・ティー。
 さっくりと大ぶりに切り分けられた褐色のブランディ・ケーキ。
 純白のテーブルクロスの上に銀製の茶器セットが並べられている一見優雅なティータイム。
 

 だが、このお茶の時間には休憩の他に、実はもう一つの側面があった。
 執務室にいるそれぞれの補佐官の耳に入れたくないごく内密の話があるとき、
 守護聖はティータイムと称してここまで出てきては、お互いの意見を交換するのだった。
 

「エストレ星域の事件が起きた当時のクラヴィスの記憶を探れば、小さなジュリアスを
 元の時代に戻して、私たちの時代のジュリアスをこちらへ呼び戻す方法が、
 簡単にわかるはずだったんですが。」
 あいにく、クラヴィスはその時期の出来事について記憶を封印されているようなんですよ。
 とルヴァは頬杖をついて、ため息をついた。
「人の心は、夢を司る私の領域だけど――」
 オリヴィエは、よく手入れされた自分の爪を検分しながらさりげなく言った。
「――クラヴィスは、その事件があった前後、かなりひどい精神的な外傷を受けたみたいだね。」
「本当ですか、オリヴィエ?」
 あなたの言葉を疑うわけではありませんが、だとするとさらに厄介ですねぇ。
 ルヴァは、ますます浮かない顔つきになった。
 

 そこへ、風の守護聖と緑の守護聖が連れだってあらわれた。
「こんにちは。オリヴィエ様、ルヴァ様。」
「あー、ランディ、マルセル。あなたたちもお茶をいかがですかー?
 オレンジ・ピール入りの、いい香りの紅茶もありますし、クルミや
 干し葡萄のたっぷり入ったブランディケーキもありますよー。」
 無邪気な歓声をあげるマルセルと、さっそくマルセルのために皿をとってやるランディ。
 ポットの蓋をとって、ほんとだ、花園みたいにいい香り、と緑の守護聖はうっとりとつぶやく。
 ルヴァはにこにこしながら、カップに紅茶をつぐためティーポットを自分の方に引き寄せた。
 
 

(続)


 
「忠誠の指輪7」に進む

 
「忠誠の指輪5」に戻る

 
「書庫」に戻る