jealousyの法則

世の中、そんなに都合良くいかないのが常である。ここ聖地だって、ご多分に漏れず・・・。
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聖地にも慣れてきた頃、アンジェリークとレイチェルは、神妙な面持ちで女王補佐官室をノックした。
「どうぞお入りになって。」
いつもは頼り甲斐のあるお姉さんに、甘えに行くような感覚の二人の女王候補だったが、今日ばかりはちと事情が違う。
「失礼します。」
二人そろって声がちょっぴり上ずっている。
「あら、今日は二人そろってどうしたのかしら?」
来る度に麗しい姿の女王補佐官ロザリア様・・・同じ英才教育を受けた貴族出身の、女王候補の経験を持つ彼女が
補佐官の地位にあるという事が、ここに来るまで自信満々だったレイチェルの価値観を揺るがしていた。
「あの・・・」
アンジェリークが、おずおずと口火を切った。レイチェルはどきどきしながらアンジェリークの顔を見つめている。
しかし、アンジェリークはもじもじと下を向き、それっきり自分の手を弄ぶばかり。レイチェルは我慢できずに続きを一思いに言った。
「ワタシ達、二人とも女王候補を降りたら、新しい宇宙はどうなっちゃうんでしょう?」
隣に居たアンジェリークは恐る恐る顔を上げ、ロザリアの顔色を伺う。
レイチェルも、さっきから自分の心臓が皮膚を破って飛び出しそうになっているのを懸命に堪えている。
一方、そんな事を突然言われたロザリアは、一瞬ハトが豆鉄砲食らった時って、こんな感じなのかしら・・・と思ったが、すぐに気を取り直した。
「あなたたち、どうかしたのですか?」
極めて冷静に、そう尋ねるのは、ジュリアスよりリュミエールの方が人から物を聞き出す能力に長けている理由を知っていたからである。
「えっと・・・あの、実は私達・・・」
相変わらずアンジェリークは言いよどんでいる。
「実は、ワタシ達二人とも、守護聖様のコト、好きになっちゃったんです!」
「え?・・・」
ロザリアは、彼女にしては珍しく、ぽかんとしたまま固まっている。
アンジェリークとレイチェルは、もう居たたまれなくて次々にまくし立てはじめた。
「えと、えと、私、ここに来てから頑張ったんです。でも、レイチェルみたいに上手く育成も出来ないし・・・」
「ワタシだって、女王陛下に憧れててー、ゼッタイ新しい宇宙の女王に成るんだって思ってました。
でも、やっぱり恋愛もしないで女王に成るっていうのもー。」
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一通り、二人の女王候補がまくし立てた所で、ロザリアは二人を制した。
「で、あなた達は本当に女王候補を降りる覚悟で、二人そろってここに来たのね・・・」
「はい」
「まさか、あなた達のうち、ジュリアスがお目当てだという人は居ないわよね?」
二人の候補は顔を見合わせ、一瞬の後笑った。
「いっやだー。いくらワタシ達が無鉄砲な申し出をしに来たからって、そこまで無鉄砲じゃないですよー。」
レイチェルのそのセリフに、ロザリアは思わず苦笑う。ジュリアスも、お可哀想にね・・・
「では、あなた達がそんな決意をするのに到った経緯を、一人づつ話して戴けないかしら?まず、レイチェル。」
洗いざらい補佐官に告白せよと言われ、レイチェルは一瞬躊躇したが
自分の愛を貫く為・・・と思いなおし、勇気を振り絞って話しだした。
「はじめは、平日宮殿の廊下で声を掛けられる位だったんです。でも、その時にいっつも、思わせぶりなコト、言うんです。
試験を受けに来たワタシに、このヒトなに考えてるのかしらって思ってたんだけどー。
でも、はじめからカッコイイなって思ってたし、ワタシ、まんざらでもなかったんです。
そのうち、朝お誘いに来るようにもなって・・・やっぱり、守護聖様のお誘いをお断りするなんて、
恐れ多いじゃないですか。で、一緒にお出かけとかしてたんですけど、その間中も、もう、
とろけちゃいそうなコトばっかり囁くんですよ。あの方、本気なのかなって、そう思ったらワタシ、
もうどうしようもなく自分の気持ちが止められなくなって・・・だって聞いてくださいよ!
毎回毎回、『お嬢ちゃんと、こう言う形ではなく、もっと自由な身分で出会えたら良かったのにな・・・』とか、
『今日も楽しかったぜ。俺の理性の糸もいつまでその原型を留めていられるのか、毎回が真剣勝負なんだぜ。』
とか言われちゃったら、このワタシだって本気になっちゃいます。」
ロザリアは、ずっと黙ってレイチェルの話しを聞いていたが、聞き終わると頭を抱えて眉間に皺を寄せた。
「・・・ああ、あの方も全く罪な方ね。」
「そうなんですよー。判ってもらえますー?」
レイチェルは嬉しそうにロザリアに訴える。
「では、アンジェリークの方も、話して戴けるかしら。」
「あ、はい・・・」
暫らくもじもじしていたアンジェリークも、話し出す。
「あの・・・私のアルフォンシアは、緑の力をいつも沢山欲しがったんです。それで、
私もしょっちゅうマルセル様の執務室に通って、お力を贈ってもらえる様に依頼してました。
ほぼ、毎日の様に通っていましたから、マルセル様に、とっても仲良しになって戴いて。それで・・・」
アンジェリークは、そこまで言うと言いよどんだ。
「ちょっと、それで、何よ?ロザリア様に話しちゃいなさいよ!」
自分の重荷が取れたレイチェルがアンジェリークをつついた。
「あ、うん。それで、この間、マルセル様が森の泉で・・・私の事を『だーいすきなアンジェリーク♪』とおっしゃって・・・」
アンジェリークは真っ赤になって俯く。
「あらあら・・・何てことでしょう。」
ロザリアは溜息をついて二人の女王候補を見た。
「・・・二人の気持ちは判ったわ。でもね・・・」
アンジェリークとレイチェルは、真剣な面持ちでロザリアを見ている。ロザリアは心を鬼にして、こう言った。
「あなた達が思いを寄せている守護聖様達が、まだ独身だと思ってるの?」
ガビーン ガビーン ガビーン ガビーン ガビーン ガビーン
二人の女王候補の顔を見ていると、そんな効果音が響いてきそうだった。二人とも、今にも泣き出さんばかりの表情だ。
「え・・・?ええ????」
「ロッ、ロザリア様?ご冗談ですよね?守護聖様が結婚されているなんて聞いたコトありませんっ!」
「まあ、落ち着いて・・・ちょっと紅茶でも淹れてきますから。それを戴きながら説明してあげます。」
ロザリアが奥に引っ込むか引っ込まないかという所で、レイチェルがアンジェリークの袖を掴む。
「ねえ、そんなハナシ、聞いた事ある?」
「え?・・・ないけど・・・え?それじゃあマルセル様・・・?」
「ちょっとお!ワタシ、オスカー様に遊ばれてたってワケ?そんなあー!」
二人は互いの手を取り合って口々に嘆いている。それを奥からそっと眺めるロザリアの心境は複雑だった。
・・・可哀想に。その気持ち、私だってよく判るわ。だって、私だって当事者だった事があるもの。でもね・・・あの時は・・・
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二人の前に、湯気のたつカップを置く。さっきとは打って変わって二人とも意気消沈、俯いて無言である。
「じゃあ、先ず簡単に状況を説明すると、守護聖様方は、お一人を除いて皆さんご結婚されています。」
「!」
「!」
二人は同時に顔を上げるとロザリアの顔を食い入る様に見つめた。言わんとしている事はよく判った。
「その、お一人というのは、ジュリアスの事です。」
「・・・」
「・・・」
二人は、また俯いた。・・・お可哀想なジュリアス・・・ロザリアはまたも心の中で苦笑う。
「この聖地には、女王や守護聖の他にも沢山、下界から召された人々がそれぞれ役目を果たしながら暮らしています。
もちろん、女王陛下や守護聖様のような特殊な地位にある方とは立場が違いますけれど。
でも、同じ特殊な時間の流れの中で生活している事には違いありません。ある者は女王陛下直属の施設で勤務し、
ある者は女王陛下や守護聖様方や私のお世話をします。そんな中には女性だって居るのです。
長い長い守護聖としての日々の生活の中で、見初めてお傍に置く女性が出てきても、不自然じゃないでしょう?」
「・・・」
「はあ・・・」
うな垂れて話を聞く二人の姿は気の毒ではあるが、事実なのだから仕方が無い。
もっとも、ロザリアは後ろめたさも手伝って心が痛んでいる。
「そんな訳だから、潔く彼等の事は諦めて女王試験、頑張って頂戴ね。」
そういって微笑もうとしたロザリアだったが、レイチェルの言葉に微笑を遮られた。
「あの・・・どうして首座の守護聖であらせられるジュリアス様が、お一人なのですか?」
その発言に口元がひきつるロザリアと対照的に、アンジェリークはガバッと顔を起こすとこくこくと何度も頷く。
「何故ですか?」
「何故ですか?」
・・・負けた・・・ロザリアは心の底からジュリアスに詫びる。・・・ごめんなさい、ジュリアス。
この子達の前で、あなたの誇りを守り抜けそうにないわ、私・・・
「ジュリアスは、誇りを司る守護聖よ。そこいら辺の女性を自らのパートナーに、なんて出来るお方じゃないの。」
せめてもの、ロザリアのジュリアスへの誠意はこの様な回答を二人に聞かせた。
「・・・そうなんだー。でも、クラヴィス様だって、あーんなに寡黙でヒトを寄せ付けない雰囲気なのに、どうやって奥様なんか・・・」
またもアンジェリークはロザリアを見つめて、同意の意味を込めてこくこくと何度も頷く。
「あなた達ね・・・この話題はもうお終いよ。さ、判ったら、明日の定期試験に備えて、各自お部屋にお戻りなさい。」
目の前のカップをさっさと下げられては、これ以上補佐官のお部屋に居座る事も出来ない。二人は渋々ロザリアの部屋を後にした。
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アンジェリークのお部屋では、二人が頭をくっつけ合って、さっき生まれた共通の疑問について話し合っていた。
「ねえねえ、ワタシ達守護聖様にダマされたんだから、トーゼン皆様の奥様について知る権利があると思わない?」
さすがレイチェル。かなり強引な意見である。
「そうよそうよ!あんなお可愛らしくて純情そうなマルセル様が妻子持ちなんて!」
おいおい、誰が『子供』がいるなんて言ってた?
「やっぱ、こーゆーコトは真っ向から聞いても駄目よね。」
「え?でも、答えて下さいそうな方も居るんじゃない?」
「?例えば?」
「あの方とか・・・」
「・・・あの方ねえ。そうね。明日の定期試験が終わったら聞いてみようか。」
あの方とは、言わずとも知れた、地の守護聖の事である。
とにもかくにも、明日に勝負をかけた二人であった。
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いつもよりちょっぴり早起きをした二人は、寮から宮殿までかなり迂回をすれば、ランディー様の私邸がある事を計算していた。
「ランディー様って、いっつも早めに宮殿に来てるもんね。そろそろ出ていらっしゃるかな?」
「うーん、定期審査のある今日は、早朝ジョギングしてるのかなー。」
「ああつ」
二人が隠れている茂みの横を走りすぎるランディー。そして、押して計った様にランディーの私邸から出てくる一人の女性の姿・・・
「あー!!アノヒト、公園の、守護聖様専用テラスのウエイトレスさん!」
「きゃ、ほんとだわー〆ミ」
ウエイトレスさん・・・もといランディーの奥様は、真っ白のスポーツタオルを広げて、ランディーが走ってくるのを待っていた。
遠目で良く見えないが、奥様はランディーの汗を拭いてあげている様だ。くすぐったそうにしているランディーは嬉しそう。
「・・・ほんとだー」
「全然、気が付かなかったねー・・・」
二人とも唖然として、暫らくそれを眺めていた。
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今や、女王候補の二人は自分の失恋の痛みもどっかへ吹っ飛んだ様に、うわさ好きの主婦さながらに好奇心の権化と化している。
「さあ、中へ・・・」
衛兵に促されて、謁見の間に、開いた扉から入ると、真っ先に今朝見たランディーの姿が飛び込んできた。
神妙な面持ちで女王陛下の御前に立つランディーだったが、二人の候補の脳裏には、
奥様に汗を拭いてもらっていた甘えんぼさんの姿が重なっていた。
「・・・」
レイチェルは、何かを考えている様だった。いつもより注意深く辺りを見まわしている。
一方、昨日の今日である。ロザリアは、二人の候補と、オスカーとマルセルをさりげなくチェックしていた。
「今日は、二人のどちらが新しい女王にふさわしいかを、守護聖と教官の皆さんにお聞きしたいと思います。」
陛下の厳かな声と共に、先ず教官の三人が進み出る。
「僕は、アンジェリークが女王にふさわしいと思います。」
「僕は…今回、どちらともいえません。」
「俺は、レイチェルが女王にふさわしいと思います。」
・・・あの子達、どうして教官達じゃなかったのかしら。・・・ロザリアは思う。
彼らなら、聖地に来たばっかりだし、一時的にここに来れるって事は、独身と言う事なのだから。・・・
まあ、適わぬほどに身を焦がすのが恋愛・・・なのよね。・・・なんて思うロザリアをよそに、定期審査は着々と進んでいる。
「私は、どちらとも言えませんね―。」
「私はレイチェルがいいとおもうなっ☆」
「オレは今回はパスするぜ。」
「ぼく、アンジェリークが女王になるのがいいと思います!」
「マルセル様・・・」
アンジェリークが切なそうに俯くのを、ロザリアは見逃さなかった。
「俺は、レイチェルを推します。」
「・・・オスカー様。」
レイチェルが頬を染めて熱い眼差しでオスカーを見つめている・・・ロザリアは、頭痛がした。
やっぱり、一晩じゃ忘れられないわよね・・・
「私は、アンジェリークが女王にふさわしいと思います。」
「俺、今回は棄権します。」
「私は・・・今はどちらとも言えぬな。」
「私は今のところ、どちらとも決めかねる。」
「うーん・・・今回は、引き分けですね。また明日から頑張ってくださいねー」
女王陛下の一声で、定期審査は引き分けに終わった。
ロザリアは、レイチェルに声をかけようと走り出すオスカーの足を踏み、
アンジェリークにむかって走り出したマルセルの手を掴んで妨害に成功した。
「・・・っと、まったく手荒な補佐官殿だ。俺に何か?」
片足を踏まれていても、オスカー、余裕である。
「えーん、ロザリア、痛いよぅ。」
マルセルは、急にロザリアにぎゅぅっと掴まれた手が痛くてわめく。
「あのねえ、お二人とも。お気を付けあそばせ。」
ロザリアは二人を謁見の間の奥の小部屋に連行した。
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一方、レイチェルは女王をマークしていた。女王陛下に直接会える機会は28日に一度。
昨日聞いた事が事実であれば、絶対に守護聖の中の誰かと女王陛下が結婚している筈だとレイチェルは睨んだのである。
「・・・レイチェル・・・叱られるよぅ・・・」
小声でアンジェリークがレイチェルを突つく。
「しっ!ダマって!」
女王陛下が奥の控え室に入ってから、ほんの数分後・・・予想外の人物がその部屋に入っていった。
「・・・え・・・嘘ぉ・・・。」
「なななな・・・・ククク・・・」
「クラヴィス様!!」
二人は、顔を見合わせ黙りこくった。
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今度は、レイチェルの部屋で二人、顔を寄せ合って作戦会議である。
「え・・・と、ジュリアス様は、独身っと。」
アンジェリークは、模造紙に何やら書き込んでいる。
「女王陛下と、クラヴィス様・・・」
「ランディー様と、公園のウエイトレスさん」
「お次のターゲットはリュミエール様ねっ!」
って、・・・かなり、路線外れ始めてないかい?お二人さん。
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「なに?俺達が既婚者だって言う事を、お嬢ちゃんがたに言っちまったのかい?」
不服そうなオスカー。
「えー、それ、絶対言っちゃ駄目だって言ったの、ロザリアじゃないか!」
同じくマルセル。
「まあ、お二人とも、ムクレては駄目ですわ。それにしても、候補の二人をたぶらかすのは宜しくないですわね。」
「おっと・・・」
よろけるオスカー。一方マルセルは不服に拍車が掛かる。
「ぼくっ!アンジェリークの事、たぶらかしてなんかいないもんっ!」
「あら、マルセル。そうおっしゃいますけど、アンジェリークはすっかりその気でしたよ。」
「・・・?その気って?ぼく達いいお友達だよ!アンジェリークの事、大好きだもん♪」
「やっぱりね・・・」
ロザリアは、自分の額に手を当てた。
「マルセルなら、そうでしょうと思ってました。でも、アンジェリークが捉え違いをしているのは事実なのです。ちょっと、お気を付けあそばせ。」
「?ぼく、ロザリアの言っている事、よくわかんないや。アンジェリークと、仲良くし過ぎって事なのかなあ・・・」
「ええ、そう言う事ですわ。ところで、オスカー」
抜き足差し足でそろそろと後ずさっていたオスカーは、名前を呼ばれて気を付けの姿勢で固まる。
「は、今日も麗しい補佐官殿。何用でしょうか。」
「あのね、その調子でレイチェルに接してちゃ、駄目なの。全く、あなたって人は・・・」
「やれやれ、補佐官殿のお説教は、この炎のオスカー、首座の守護聖であらせられるジュリアス様より恐ろしい・・・」
「もう!ちゃんとお聞きなさい!」
10分後、「もう!オスカー様のお陰でお説教伸びちゃったじゃない!」とぶーたれるマルセルと、
「やれやれ」と頭を掻くオスカーの姿が謁見室の裏の廊下に見られた。
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「?ここにもいらっしゃらないわ。」
土の曜日、守護聖様を探すのは楽じゃない。あちこち探し回った二人は、公園の脇の小道をのろのろ歩いていた。
「あ!!ちょっと見て!」
レイチェルの奇声で、顔を上げると、なんと公園の脇にある美容院の前の木陰に、ひっそりとリュミエールの馬車が止まっていた。
「ああ・・・気を付けて見ていないと、あれじゃあ見逃しちゃうわね。」
意識し出すと見えてくるものがある。
「・・・そうか・・・あのヒト、美容師さんだわ。」
リュミエール様のエスコートで馬車に乗り込むのは、聖地にただ一人居る美容師さんだった。
「ふーん、リュミエール様は、美容師さんね。」
アンジェリークがメモを取る。
「次は・・・いよいよオスカー様を暴くのね。知りたくない気もするケド。」
レイチェルは、意を決した様に歩き出す。
「れ、レイチェルー」
アンジェリークは、その後ろ姿をパタパタと追いかける。
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