香寺町の段丘地形と地質
 香寺中学校では、2003年の夏休みに「夏季実験観察講座」が開かれました。これは、中学1年の希望者を対象としたもので、私は7月28日の『香寺町の大地を探る』を担当しました。
 参加者は男子4名、女子10名の計14名の生徒と、今回の講座を企画された香寺中学校の荻野先生。理科室で、香寺町の岩石や地質の成り立ちを説明した後、フィールドへ出かけました。

  今回の観察ポイント図
  香寺町の地質イメージ図
  香寺町の地質総括図
                          

Point1 一原神社南の崖 Point2 香寺町の段丘面
段丘堆積物を調べる 家は段丘面の上に建っている
 一原神社の南で段丘堆積物が観察されます。「どんな形の石が入っている?」「丸い石」「こんな石は今だったらどこにあるの?」「川原!」とすぐに答えが返ってきました。
 石をハンマーで割って、礫(れき)の種類を調べました。細粒の花崗閃緑岩、凝灰岩、砂岩などがありました。
 田んぼの中の道に車を止めて段丘を観察しました。今立っているところが、氾濫原とか後背湿地と呼ばれているところ。昔は、市川が何回も氾濫して、ここに砂や泥をためました(沖積層)。田んぼより一段高く、家の建っているところが段丘面(低位段丘面)。後の山は基盤の古い岩石からできています。
 
Point3 常福寺北(田野・須加院間の峠付近)
凝灰岩から石英の結晶をとりだそう!
 
最後は座り込んでひたすら探す
 
 この崖は、後期白亜紀の流紋岩質火砕岩(広峰層の流紋岩質溶結火山礫凝灰岩)でできています。今からおよそ8000万年前、ここで激しい火山の噴火が起こりました。噴火によって地下のマグマだまりからマグマが抜け出したので、そのため地面が陥没してカルデラができたのです。これは、そのカルデラを埋めた火砕流堆積物が固まったものです。
 この露頭の岩石は、ほとんど岩片を含んでいません。よく見ると、弱い溶結構造が風化面で観察できます。
 
Point4 奥須加院 暮坂峠断層破砕帯
M5級 M7級
  2290年前〜2840年前
  868年 播磨国大地震M7.2

 「播磨諸国の官舎、諸定額寺
の堂塔ことごとく崩れ倒れた」
 (三代実録)
1948年
1961年 瑠璃寺地震M5.9
1973年 山崎北部地震M5.1
1984年 兵庫県南西部地震M5.5
1990年 上月地震M5.2
次は? 次は?
断層を調べる
 
山崎断層で起こった地震の記録
 
 香寺町には、山崎断層を構成する活断層のひとつ「暮坂峠断層」が走っています。奥須加院に露出する崖で、この活断層による断層破砕帯を観察しました。
 山崎断層では、10年〜15年に一度、M5級の地震が起こっています。また、千数百年〜2000年に一度、M7級の地震が起こっています。地震は、活断層が動くことによって起こります。今度、この活断層が動くのはいつでしょう。大きな地震に対する備えをしておかなくてはなりませんね。
 
Point5 奥須加院道路脇の露頭
 見事な地層が見られます。約8000万年前にできたカルデラ湖に堆積した礫岩に、砂岩や泥岩がはさまれています。
 今から8000万年前というと、恐竜が生きていた時代です。この地層から恐竜の化石が発見できるかも?

 後カルデラ期の湖成堆積物、奥須加院礫岩
崖にはりついて地層を見る
 
Point6 田川神社横の須加院川
 最後は、須加院川に入って川原の石を観察しました。凝灰岩が多かったので、5種類以上見つけるのは、ちょっと難しかったですね。川原の石を調べると、上流にどのような岩石があるのかが分かります。

 全員、最後まで元気に、そして真剣に観察しました。荻野先生のカメラにも笑顔でピース。ちょっと遠足とまちがえてるけど、楽しそうでした。
 帰りには、小高峯君におもしろい露頭を案内してもらいました。普段から、地層や石に関心を持って生活しているのですね。感心しました。
さあ、川に入って!気持ちいいかも
 

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