夜想花



 あまりにも冷たく黴臭い空気が漂うフィガロ城の地下牢。マッシュはその独房にいた。当然のことながら、フィガロ国の王子として生まれたマッシュには、このような場所が城内にあったのは知る由もない。
 国王暗殺の主犯格として捕らえられたマッシュは、身の潔白を示す証がない。バルコニーに立つフィガロ王に向けて矢を放った貴婦人装う少女は瞬時に消えてしまったのだから。塔の最上階に一人残されたマッシュは少女が投げ捨てていった弓を足元に、呆然と立ち尽くしていたのだった。
「俺がやったんじゃない! ここから出せ!!」
 マッシュはさんざん叫んだが見張りの兵士達は、当たり前だが耳を貸そうとはしない。
「くそっ! 兄貴……」
 一刻も早くここから脱出して何とかしなければならない。そうマッシュは焦るが、ここを出た所で兄の命を助けるべく自身は何をすればいいのかもわからない。今はただ、ここから出せと叫び続けるだけである。
 が、そんなマッシュの脳裏にふと浮かんだ事があった。ダンカン師匠の元に通い始めた幼い頃に聞かされた幻の花の事を思い出した。
「おい、そこのお前!」
 マッシュに呼び止められた巡回の兵士は眉間に皺を寄せて立ち止まった。
「何だ」
「兄……いや、陛下のご容態はどうなんだ!」
「はぁ?」
 兵士は怪訝な表情を見せた。
「どうなんだ!!」
 苛立ちを隠せないマッシュは柵の間から手を伸ばし兵士の襟首を掴んだ。
「だ、大事ないそうだ…と…聞いている……。貴様……何をするんだ!」
「そんなわけない! ここから出せ! あに……、陛下の命が危ない!!」
「な、何を言ってるんだ…お前……」
 大柄な囚人の只ならぬ切羽詰った様子に兵士は不審さと驚きが入り混じったような表情に変わった。
「お前はここに仕えている兵士だろ! その主の命が危ういってのに、何をぼさっとしているんだ!! とにかく俺をここから出せ!! 一刻の猶予もない!」
 マッシュは無我夢中でまくしたてるが、巡回の兵士は困惑の表情を浮かべて言葉を亡くした。その兵士の表情にマッシュは我にかえる。
「…す、すまなかった。その、とにかく……。せめて、お前の上官と話がしたい、頼む!」
 マッシュは兵士の襟首を掴んだ手を離し、頭を垂れ懇願した。
「わ、わかった。私の上官を呼んで来るから、暫く待っていろ……」




 国王の寝室。
 広大な天蓋付きベッドの中央に眠る国王を囲んでいた侍医達は、暗い表情をして薄い絹のカーテンをそっと開けて出てきた。
 侍医達は不安を隠しきれない大臣と神官長の前に絶望的な表情を向け軽く頭を垂れるようにして視線を床に落とした。ほんの数秒だが恐ろしくも長い静寂を誰もが感じたであろう。
 やがて侍医頭がゆっくりと大臣へと視線を戻す。
「先代と同じ症状でございます」
 侍医頭のその言葉に大臣は絶句し、神官長は瞼を強く閉じて項垂れた。
「……十日……」
 侍医頭は声を詰まらせる。エドガーの父も同じく帝国に毒を盛られ、治療の術もなく衰弱していく王を惜しくも看取る事となったのであった。
「……早くて五日……。エドガー陛下は、まだ……お若く……」
 途切れ途切れに言った侍医頭の言葉は何を意味するか、その場にいた全員には最後まで言わずとも解っていた。
 侍医頭の言葉を最後まで聞く前に、その場にいた者達はまるで石像のように閉口した。唯一、神官長は静々と国王の寝所へと歩んだ。彼女の衣擦れの音があまりにも静寂のこの部屋にひっそりと響き渡った。
 薄い絹のカーテンの中に入った神官長は昏睡しているエドガーの右手を握った。
「……エドガー様……」
 主の手を両手で握り締め、そこへ顔を埋めた初老、神官長のシルエットが薄いカーテンを通して大臣達の視界に浮かんだ。
 否応無しに沈鬱な空気が漂った国王の寝室で大臣は途方に暮れた。
 成す術がないとはいえ誰もが閉口したままの、あまりにも無駄な時を流すしかなかったその時、廊下から大臣を呼ぶ声があがった。
「失礼いたします、キューイに御座います。火急の用にて大臣殿にお取次ぎを!」
 エドガーの側近、キューイ大佐である。大臣は重苦しい足取りで大きな扉へと赴き、そのドアを開けると廊下で控えているキュウイの姿を確かめた。
 小さく開けたドア越しに二人は耳元で会話をする。
 暫らくして大臣はドアを閉めると、恭しく国王に付き添っている神官長の元へ向かって彼女に耳打ちをした。




 フランセスカも先の王の代から仕えていたが、奥深く地下にある牢へと足を踏み入れるのは初めてである。
 神官長の身の安全の為と共をしたエドガーの側近キューイ大佐を地下牢入口に迎えた責任者は深々と頭を垂れた。
「このようなむさ苦しいところへのご足労、誠に恐縮いたします、神官長殿、大佐殿」
 男頭を上げずに二人に言う。
「毎日のお勤め、ご苦労です……。早速ですが、わたくしに面会を申している者への引き合わせをお願い致します」
 フィガロ王暗殺計画の首謀者が神官長を名指しで会いたいと申してきた異例の事態に、フランセスカは複雑な思いでその罪人に会うべく言葉少なく先を急いだ。
 冷やりと乾いた空気と固いコンクリートの階段に、靴と衣擦れの音が大きく響き渡った。
 国王暗殺計画首謀者として地下牢に捕られているマッシュは、冷たく固い鉄の柵に頬を当てて神官長の姿が見えるのを待った。
 地下牢責任者の姿が見えると、そのすぐ後方に濃いグレーの衣装に身を包み、衣装より更に薄いグレーの髪をきちんと結い上げた神官長の姿を目に留めたマッシュは「ばあや!」と叫んだ。
 その声を聞いた刹那、神官長は何の躊躇もなく声のした方へと駆け出した。そして「ばあや!」と叫んでいた男の前で立ち止まった。
 背丈はこの低い牢の天上に届きそうなほど高く、剥き出しの腕や薄手の衣服に覆われている胸板などには鍛え上げた筋肉が逞しく、少し日焼けした肌にオアシスのように蒼い瞳を持った男は凡そ暗殺者という風情の瞳ではなかった。
 神官長フランセスカは柵の向こうの男に一瞬畏怖を露にしたものの、自分を見つめる蒼い瞳を捉えると落ち着きを取り戻し、後方にいた責任者に静かに視線を送った。
 彼女の視線 ―人払いを― を受けて、軽く会釈をした二人はその場を後にした。
「ばあや」
 柵の向こうの男が静かにそう言った。
 神官長の鳶色の瞳はみるみるうちに滴る涙で輝いた。
「殿下……。マッシュ様……マッシュ様なのですね!」
「ああ、俺だよ、マシアス……マッシュだよ、ばあや! 驚かせてすまない……会いたかったよ!!」
 マッシュも蒼い瞳に薄っすらと涙を浮かべて柵の間から両手を出して、神官長のか細い肩を抱いた。だが二人には再会の喜びに浸っている時間はなかった。
 国王暗殺軍団の首謀者として囚われての身となったマッシュは、神官長にこれまでのいきさつを早口で話した。
「ばあや! 兄貴は…兄貴は今……」
 どうなんだ、、、、、)と後に続けたい言葉を最後まで言い出せないマッシュ。その少し日焼けした頬には透明の雫が蒼いオアシスから流れ出でていた。
 フランセスカはそんなマッシュの瞳から表情を変えることなく僅かに視線を離した。
 言葉にもしたくない絶望感が二人の脳裏に過る。帝国に毒を盛られた先の王、エドガーとマッシュの父は成す術もなく毒に蝕まれながら逝ってしまったのだ。
「ばあや……」
 マッシュは涙の混じったような、いやあるいは、とても悲痛で尚且つ労わるような、そんな風にもとれるような声でそう言った。
「……兄貴の力になりたい、兄貴を今度は俺が守ってやるんだ! そんな思いで、この城を出たんだよ……。今、兄貴を助けられるかはわからない…。でも俺は……何としてでも、兄貴を助けるんだ!!」
「マッシュ様!」
 フランセスカの瞳に映った鉄格子の向こうにいるマッシュの瞳は、城を出る前の少年の頃よりも一層輝かしく逞しく見えた。
「ばあや…俺をここから出してくれ! 助けられるかどうかは……正直……わからない。でも、何とかしてみせる! 何とか!!」
 マッシュの迸る情熱と愛、その真摯な眼差しにフランセスカは静かに、そして恭しく頭を下げた。
「貴方達を愛してます!! マッシュ様、どうか……」
 言葉詰まらせるフランセスカ。
「あぁ、ばあやは天の父上と母上に祈っていてくれ。俺が何とかする……何とか……」
 マッシュは項垂れているフランセスカの細い肩に置いていた両手に少し力を込めた。
「ばあや、俺を信じて! 俺……だいぶん修行を積んだんだよ、あと少しなんだ、兄貴やばあやのいる、この懐かしい城へ晴れて戻って来れるのはさ! だから……」
 神官長は先ほど離席を命じた責任者に、囚人の者は神官長が影で操っている国王の身を守る任務に就いている者として即時釈放させた。
 鉄の柵という障害物が取り除かれた後、マッシュは何も言わずに小柄な初老、フランセスカを自身の大きな胸板と両手で抱きしめた。
 ほんの数秒後、神官長に回していた両手を離すと、マッシュは素早くその場を立ち去った。




 マッシュは暗い砂の海を無心にチョコボを走らせた。真夜中の獰猛な獣達が徘徊する洞窟も駆け抜けた。彼は殆ど息も途切れることなく走り続けてサウスフィガロの町に辿り着いた。
 月が真上からかなり傾いていたが酒場が密集している街道では、今日の城内での出来事を語り合う人々が少なからず散在していた。
 国王暗殺は失敗だったの、成功だったの。国王はもう死んでしまっている、いや軽傷にすぎないだの。独裁国家帝国の行動に対する今後の世界情勢の不安だの。あらゆる事を話しながら酒場から出て家路へと向かう人々。
 マッシュはそんな夜の街の喧騒に否応無しに耳を傾けながらも街道を駆けぬけた。
 暫く走り続けると閑静な住宅街へと辿り着く。先ほど通りぬけてきた賑やかな街道とは打って変わって、この通りはしんと静まりほぼ建物からの明かりはなかった。ただぼんやりと西に傾き始めた月明かりが清潔な家々の明かりの消えた暗い窓を照らしている。
 マッシュはその一角に佇む普通の家の扉を激しく叩いた。たちまち閑静なこの空間の沈黙を破る音が鳴り響いた。
 だがその扉を叩く大きな音に近隣の家々の安眠を妨げるよりも早く、マッシュが叩いていた扉は開かれた。開かれた扉の向こうに立つこの屋敷の若い召使は驚きのあまりに立ち尽くしていたが、マッシュは気にも止めずに奥へ入っていった。
「まぁ!」
 屋敷の夫人はこの真夜中の突然の訪問者にほんの少し驚きはしたものの、すぐさま目前の大柄な男の只ならぬ表情に一瞬肩を強張らせた。
「こんな時間に不躾な訪問をお許しください、奥様。師はこちらにはいませんか?」
「主人なら、地下の書斎におります」
「ありがとうございます」
 驚きながらも冷静に真夜中の訪問者に主の居場所を告げた夫人にマッシュは深々と頭を下げた。
「あなたに、何か飲み物をあげたいところだけれど、それどころではなさそうですね。マッシュ早く行きなさい!」
 夫人はそういって頭を垂れていたマッシュの肩を両手でそっと押した。




 国王の寝室に戻ったフランセスカは、彼女の帰りを心配そうに待っていた大臣の姿を最初に捉えた。
 フランセスカは先代から共に仕えてきた信頼ある大臣に、そっと耳打ちをした。全てを聞いた大臣は神官長に対して頭を垂れた。ほんの少しの間ではあったが、その垂れた頭を上げずにいた大臣の肩は微かに上下に動いていた。
 フランセスカはその大臣の肩にそっと手を触れた後、生死をさ迷いながら眠るエドガーの元へゆっくりと歩んだ。
 天蓋から垂れている薄い絹のカーテンの内に眠る国王のシルエットが浮かんでいる。
 カーテンの内へ入ると、侍医が小さな匙をエドガーの口へ運んでいた。徐々に毒によって蝕まれてゆく身体の痛みを少しでも和らげるための薬である。フランセスカは先の王に同じような施しをしていた侍医を見て胸が痛んだ。今の医学では、帝国が使う毒を解毒できない。帝国が所持している毒はほんの僅かでも体内に入ってしまうと死を免れない、助かる事は不可能であった。
 それらの事実を知っている故に彼らの哀しみも激しい。
 大臣はそっとこの部屋を後にする。人間として愛する人を失うという最悪の事態は考えたくもないのは当たり前なのだが、このフィガロ政権の中枢にある彼はその最悪の事態を考慮して次なる行動へ移す為にやむを得ず、この場から辞さねばならなかった。
 やがて大臣と数人の侍医達は国王の寝室を静かに去った。残された侍医頭は何時の間にかフランセスカの視界にはいなかった。
 彼は音もたてずに薄絹のカーテンの外、国王の眠るベッドから少し離れた場所にそっと移動していたのであった。
 ふとその状況を確かめたフランセスカではあったが、ほぼ彼らの動きに気にとめることもない。ただ無心にエドガーの手を握り締めていた。
「マシアス様……が……」
 フランセスカは握り締めていたエドガーの手に力を加えた。
「マ……マッシュ様が…」
 奮える声でマッシュの名を告げたフランセスカ。
「マッシュ様が…貴方様を助けてくださいます!」
 フランセスカはしっかりと握り締めたエドガーの手に口付けをすると、手の甲を自身の頬にあてがった。
「どうか……どうか……生きて! マッシュ様の願いです。もう少しの辛抱です、エドガー様。もう少し、もう少し……。美しき我らの若き王よ!!」




 地下の書斎に掛けつけたマッシュは、ノックもせずに書斎の扉を開け、『師匠!』と呼ぼうとした声を遮られる。
「マッシュ! ノックもせずに何事だ」
 とても静かながら厳格な声が書斎の中から聞こえてきた。
「師匠……」
 マッシュの紅潮した頬と只ならぬ焦った行動には少なからず驚いたダンカンではあったが、それでも落ち着き払って彼を書斎へ招き入れた。
「座りなさい」
 そう言ってマッシュを手近な椅子に座らせ、彼に水を与えた。
「さぁ、それを飲んで落ちついて話しなさい」
 マッシュは一気に水を飲み干すと「師匠! 兄貴が!! 助けてください!!」とダンカンの両腕を握り締めた。
「噂は聞いておる。軽傷であったらしいが……」
「毒です!」
 マッシュはダンカンの言葉を遮って叫んだ。
 ダンカンは瞬時に顔を曇らせる。
「マッシュよ、一刻を争うな。いいか、焦る気持ちはわかるが、呼吸を整え落ちついて簡潔に話しなさい」
 トーンを落とした穏やかなダンカンの声にマッシュはほんの少しの落ち着きを取り戻した。
 一部始終を見ていて兄を守りきれなかったマッシュは出来るだけ簡潔に師匠に話した。失意と無念の思いで涙ながらに語るマッシュをダンカンは痛々しく思う。
「師匠! 私がまだ子供だった頃にお話してくださった、あの幻の花!」
 ダンカンは眉間に皺を寄せ、腕を組んだ。師のその仕種に自然とマッシュは項垂れる。二人の間に沈黙が下りた。マッシュは逸る気持ちを抑えて師の言葉を待つしかなかった。
「夜想花か……」
「夜想花……!」
 マッシュはその花の名前を思い出した。とても美しい名称の花だと幼心に思ったのを。
「その名前の如くとても妖艶で美しい花だ。或いはとても不気味な花じゃ」
「でも、師匠! その花は万能薬。その夜想花ならどんな毒でも解毒できると仰せに!!」
 マッシュはダンカンの元へ跪き、縋るような蒼い瞳で見上げた。再びダンカンは口を閉ざし、マッシュから目を逸らすと何やら思案するかのように軽く瞼を閉じた。
「あの花を採りに行くには、お前の体でやっと一人通れる程の洞窟を抜けねばならん。それも直立前進はできぬぞ。匍匐前進のみじゃ。武器はまともに使えぬ。お前を援護してやりたいが、わしはこの通り、今、片足を怪我しており山には登れぬ」
「……」
 マッシュは固唾を飲んだ。
「マッシュよ、それでもお前は行くと……聞かないであろうな」
 ダンカンはゆっくりと瞼をあけ、マッシュの蒼い瞳を覗きこんだ。マッシュは軽く瞼を閉じて頷く。次に開いたマッシュの瞳はとても澄んでいた。ダンカンはその瞳に吸い込まれるように強く頷いた。
「今のお前では無理だ」
「師匠!!」
 マッシュの揺れる瞳、蒼いオアシスは真摯そのものであった。その直向きな心に更なる愛情を重ねさせた。我が息子のように。
「今のお前の能力では習得は難しいかもしれぬが、“鳳凰の舞”を伝授する。早急にそれを習得してゆくのだ」
「……師匠!!」
「但し、一日半で習得するのだ」
 マッシュはその師匠の言葉に絶句した。これまでの技を習得するのにも何ヶ月もかかった。それを一つ一つ丁寧に鍛錬し習得していったのである。だが、その技よりも更に高度な技、“鳳凰の舞”をたった一日半で習得しなければならないのだ。
 マッシュの澄んだ蒼い瞳が微かに翳る。
「翌々日の夜、満月を迎える。夜想花は満月の深夜、その刻にだけ咲く幻の花だ。お前が無事にそこへ辿り着き、その花を採って帰って来れるように、今から“鳳凰の舞”を伝授する」
 マッシュはあっけにとられたように椅子から立ち上がった。
「案ずるな。今のお前になら習得可能と信じている。何としても血を分けた兄弟、兄を助けたいという気持ちが勝っている」
 ダンカンはマッシュの両肩に手を差し延べた。病弱で、か弱い体をした小さな美しい色白の王子マシアスの姿が、現在のマッシュに重なる。一生懸命強くなりたいと願った純粋な少年。師の教えを忠実に習得し、徐々に強くなっていったマッシュ。今ではダンカンが師弟を見上げるほどに立派に育った体躯であった。
「ついてきなさい」
 ダンカンは杖をつき傷んだ足を引き摺りながら部屋を後にした。
 マッシュは師匠を抱きかかえ、コルツ山麓の修練の小屋へと急ぎチョコボを走らせた。小屋へ着いた頃には満月にほど近い形の月もかなり傾いていたが、早速修練にとりかかった。
――兄貴! もう少しの辛抱だ、待っていてくれ!

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