金と義と家族と……
第5章 〜再会・看病・逃亡・再会〜 カイエンが新しい飛空艇に乗り込むと、そこにはセリスがいた。いまカイエンを迎えに行ったのはマッシュ、エドガー、ティナ、セッツァーの4人である。カイエンの口からは、ガウの消息が告げられた。
「ガウ殿は、獣が原でござる。」
「ちょうどいい。実は、もう1人獣が原で目撃されているんだ。2人いっぺんに迎えに行こう。」
「誰でござる?」
「シャドウだよ。」
カイエンは色めきだった。あのシャドウの黒覆面の間から覗く眼を、はっきりと思い出した。
「せ、拙者も行くでござる。」
まず、ガウを仲間にした。
「おおっ!マッシュ!!」
ガウは、嬉しそうだった。さて、いよいよシャドウの番である。崩壊のショックでできた洞窟に、カイエン、マッシュ、エドガー、ティナの4人が入った。まず彼らを出迎えたのは、シャドウの愛犬インターセプターである。
「ついていくでござる。」
インターセプターに導かれるように、奥へ奥へと踏み入っていく。何しろ、崩壊で自然発生した洞窟であるので、ひどくややこしい道になっている。最奥部で、無残にも傷だらけになったシャドウを発見した。一行は、すぐさま近くのモンスターを片付け、彼を飛空艇に搬送し、サマサへ急行した。
カイエンは、看病を買って出た。部屋にカイエンとシャドウの2人だけが残ると、シャドウは待っていたかのように唸り始めた。
「ビリー、・ェリー、・・ム。許してくれ・・・・。うぅ・・・・。」
カイエンにかろうじて聞き取れたのは、最初のビリーという名前だけ。あとは、途切れ途切れでよく分からない。カイエンは4時間の間、つきっきりになった。
「・・・・誰かいるのか?」
シャドウの意識が戻った。慌ててベッドに駆け寄る。
「シャドウ殿・・・・。」
「もう1人で大丈夫だ・・・・。それに、いざとなればコイツもそばにいる。」
顎で、インターセプターを指し示した。
「しかし・・・・。」
「済まない、1人になりたいんだ・・・・。」
カイエンは仕方なく部屋を出た。
「・・・・行ったな。よし、行くぞインターセプター。」
まだ傷のふさがり切らない体を推して、階段と反対側にある窓から音も立てずに出た。
「シャドウ殿、昼食を持って来たでござる。」
カイエンは盛り上がったベッドに向かって呼びかけてみるが、返事は無い。
「シャドウ殿、ここに置くでござるよ。」
また返事は無い。どうもおかしい。すぐに、シャドウがいないことに気付いた。
「しまったでござる。」
すぐに停泊している飛空艇に乗り込み、追う。が、誰も行き先を知らない。
「どこへ行くんだぁ!?」
デッキでセッツァーが、がなり声を上げる。
「どうすんだよぉ!」
マッシュもうろたえている。彼は、せっかく迎えに行った仲間がいきなりいなくなってしまったことに、少なからぬショックを受けていた。
「・・・・コロシアム。」
「え?」
「コロシアムでござる!きっとシャドウ殿はそこにいる!!」
根拠は、全く無い。ただ、カイエンには確かな気がする。
事実、コロシアムにはシャドウがいた。
「シャドウ!!」
真っ先にマッシュが駆け寄る。次いで、カイエンである。
「全く・・・・。どうして、逃げたりしたのでござるか?」
「・・・・オレに残されているのは、戦いだけの修羅の道。」
「シャドウ、頼む!一緒に来てくれ。お前の力が必要だ。」
マッシュが必死で頼み込む。
「修羅の道、極めてみるか・・・・。」
マッシュは、飛び跳ねて喜んだ。強いようにも見える男だが、仲間を失ったりすることに関しては、人一倍過敏に反応する。
カイエンも安心した。