〜 9 〜
「伸びろ、刃よ!!!」
カインの叫びとともに、槍――ブレイブブレイドが一気に数十メートルにまで伸び、
キールを狙う。
「チッ」
キールは剣でそれを受け流した。
しかしカインは、その長い槍をまるで小枝でも扱うかのように振り回して攻撃する。
対しキールは、受けるのみとなった。
「く、間合いが…ならばッ!」
大剣を掲げ、闘気を集中する。
「ダークソード、全開だ!!」
剣から黒い光が溢れ、天に向かって伸びる。
そしてその光は刃の形となって、安定する。
ブレイブブレイドと同等の長さの剣が出来上がった。
「ふはははははっ、そう簡単に勝てると思うなよ、カイーーーン!!」
振り下ろされる剣。それを受け止める槍。
どちらもあまりに巨大過ぎて、遠くから見れば使用者がいない剣と槍が闘っているかのようだった。
その状態のまま、一頻りの攻防が続く。
「埒があかないッ」
カインは槍を元の長さに戻すと、急速に上昇する。
「逃がすか!」
当然の如く、キールが追って飛ぶ。
それを眼下にしながら、カインの手の中で槍が蒼銀の牙へと変形していき、左腕を包む。
そして、突如停止し、振り返る。
「む!?」
併せて止まるキールの目に、カインの左腕に蒼い光が集束するのが写った。
「ドラグーン・カノン!!」
叫びとともに、蒼い竜の首が左腕から飛びだした。
そのまま、真っ直ぐキールに向かって来る。
「“蒼き竜”の小粒版か!」
キールも剣を構え、デス・ブリンガーを放つ。
ぶつかる竜と黒弾。しかし竜はあっさり黒弾を食い破り、キール目掛けて牙を剥く。
その光景を見て、キールは笑った。
「上等だァ!!」
身体から黒い陽炎が立ち上り、全身を包む。
「ダーーーーーークッ・ロワイヤル!!」
キール自身が黒い矢となって空を駆り、蒼い竜型の闘気を弾き、四散させた。
そして、勢いカインを狙う。
「死ね、カイーーーーーン!!」
「くッ!!」
カインは紙一重でその突進をかわした。
だがキールは直ぐさま静止し、カインに向かう。
剣と牙が交錯した。
「まだまだ!」
キールの背で、黒髪が伸びる。
「何!?」
「ダーク・ニードル!!」
髪の束が幾つもの角となり、カインを襲う。
「させるかッ!」
カインの身体から蒼い光が発散され、牙に力が集中。
その威力でキールの剣を跳ね飛ばした。剣を持つキールも当然離れ、髪の針もカインに届かない。
……互角。二人の力と意思は、まさしく拮抗していた。
「それでも、最後には俺が勝つ!」
「俺は、負けられない!!」
二人はまた、戦い続ける。曲げられないそれぞれの意思を持って。
「な、なんだありゃ?」
エスタールの最上部。
その外部装甲の上で、パロムが呆けたように言った。
ぶつかり合う二つの力を初めて見て、そのあまりの激しさに単純に驚きを表したのだ。
「一人はカイン様だと思うけど…」
傍らのポロムがそう応える。彼女も状況は掴めていない。
目の前で行われる闘いの凄まじい光景に、パロムと同じく唖然とするばかりだ。
しかし、パロムはさすがに立ち直りが早い。
「ま、悩んだって仕方ないや。ポロム、こっちだ!」
そう言って装甲の上を行く。
「ちょ、ちょっと待ってよパロム!」
慌ててポロムが後を追う。
「一体何を考えてるの!? こんな戦闘中に外に出るなんて! しかも、こんな高い所に…」
自分の言葉とともに、思わず下を見てしまう。
強い風と、遙かな海が見えた。それだけで、クラクラする。急いで目を逸らした。
「決まってるだろ、船のピンチを救う為だよ!」
振り返ったパロムが、親指を立てて見せた。
「ピンチを救うって…そんなこと、どうやって??」
「オイラ立ち聞きしたんだけど、エスタールがピンチなのは…ホレ、あれのせいらしいんだ。」
パロムはエスタールの頂上に登り立って、空の先を指し示す。
やっとのことでポロムもそこまで辿り着くと、パロムの指の先を見た。
するとそこには、ジェノサイダーの放った二機のマシンのウチの一機があった。
「…あれのせいで?」
「おお。なんでも‘ふぃーるど’が張れないんだってさ。だから、壊す!!」
気合いと共に、パロムはガッツポーズを作った。
「壊すって、どうやって??」
「簡単だよ、“ふたりがけ”さ。」
パロムの提案に、ポロムは驚くより先に呆れた。
「そんな、プチフレアやプチメテオで壊せるようなものには見えないわ。」
だが、パロムはその呆れ口調にも動じない。
「そんなこと、解ってるさ。分散型の魔法じゃ駄目なんだ。
一点集中型の、強力な魔法でないと。」
「そんな魔法なんて……!!」
いいながら途中で、ポロムは気付いた。
「まさか…ホーリー??」
「ご名答! ホーリーで一点を狙えば、落とすのは無理でも故障くらいさせられるハズさ!」
「そんな…無理よ、私まだホーリーなんて使えないし、魔力だって少ししか回復してない…」
自信なさげなポロムの顔を、パロムが無理矢理持ち上げる。
「だから、ふたりがけなんだって言ってるだろ?…心配するな、魔力はオイラがなんとかする。
お前は魔法のコントロールに集中すればいい。」
「パロム…」
「それに、最後まで諦めないで戦ったから勝てたんだろ、あの戦いだって。」
その言葉に、ポロムはハッとした。
そうだ、あの時は自分たちが、倒れたセシル達に力を取り戻させたのだ。
「……解った、私、やってみる!」
「そうこなくちゃ! なら早速いくぜ、ふたりがけ!!」
合図と同時に、二人は一斉に念じ始める。
すると、二人の回りに強烈な魔力が漲ってきた。
「……んん〜〜ダメ、まだ足りない!!」
「諦めるなって言ったろ!? オイラの魔力、全部くれてやる!!」
パロムの身体から更に魔力が溢れ出し、緑の帯となってポロムへ流れ込む。
「うおおおおおおおおおおおっ!!!」
パロムは、それこそ精魂尽き果てる覚悟で体中の力を吐き出した。
そして。
「来た、きたきた! いけるわ!」
ポロムが全ての魔力を指先の一点に集中して掲げる。
「よーーーーーし、いけぇ〜!!」
「お願い、上手くいって!!」
二人の意識が一つとなり、声が重なる。
「プチホーリー!!!」
ポロムが腕を振り下ろす。それと共に、白い光が空を裂き、電光石火の速度で走っていく。
刹那。
バシュオオオオオオオォォォォォォォッ
激しい衝撃音が響き、光が空中のマシンに炸裂した。
と、同時に、マシンは炎上。爆音を立てながら沈んでいく。
「やった、やった〜〜!!」
二人はヘトヘトながら、手を取り合って喜んだ。
“プチ”と言いながら、その威力は実際のホーリーを超えていた。
恐るべき天才の子供達である。
「今の魔力…なんだろ?」
艦内のベリーニが、不審そうに見上げる。
「間違いない、今この上でスゴイ魔力が巻き起こったんだ…これって……」
少しの間思案していたが、やがて笑顔で顔を上げる。
「ねぇティツィ、ボクちょっと上に行って来るよ。
ココよりずっと面白い相手がいるみたいだから。」
と、ティツィアーノの方を向いたが、そちらはヨシノと剣を交えていた。
戦いに忙しくてとても聞こえている風ではない。それは、ヨシノも同じだ。
「ふ〜ん、まあ、そっちはそっちで楽しくやっててよ。」
言いながら天井に向けてファイガを放つ。大音響と共に大穴が開いた。
「じゃね♪」
ベリーニは浮遊して、その穴に消えていった。
「重力子フィールドが展開可能になった?」
届けられた報告に、ギムレットは首を傾げた。
「なんで、突然…」
だが、ルシアンにはそれが理解できた。
「あの子達だ…きっと、パロム君達よ!」
その確信に満ちた表情が、ギムレット以下には不思議だった。
「…どうして解る?」
「解らないけど……なんとなく、そんな気がする。」
リッキーにはルシアンの言うことが分かった。理由など無いのだ。
ルシアンの感性は、時々常人離れした鋭さを持つことを、リッキーは知っていた。
「とにかく、フィールドが張れるなら、他行動も取れるね。」
そのリッキーの言葉に、ギムレットは力強く頷く。
「ああ。…当初の作戦に切り替える!エスタール、全速前進!!」
「ふい〜、さすがに魔力カラッポになるとしんどいなぁ。」
パロムはすっかりバテバテでへたっている。
「バカ言ってないで、早く中に入りましょ!
なんか、エスタールのスピード上がってるみたいだし。」
高いところがそう得意ではないポロムは、疲れを感じるよりも艦内に入る方が先だった。
「あ〜、解ってるって。でもオイラ、外の風って結構好きなんだよね。
試練の山、思い出してさ……ん!?」
いきなり悪寒が奔り、真下に気配を感じる。
「ポロム!」
「え? きゃぁっ」
咄嗟にポロムを押し倒して、自分もそのまま転がった。
と、同時に今まで二人がいた装甲が弾け、炎が飛び出す。
「な、なに!?なんなの?」
「あれは…ファイア系の炎!?」
驚愕の二人が見つめる中、その炎から一人の子供が飛びだしてきた。
年の頃は10、11。あどけない笑顔に金の髪と瞳。ベリーニだ。
「あれ、なんだ子供じゃん?まさか、キミ達がさっきの魔力源?」
「子供って、お前もガキじゃんか!」
パロムがとりあえず喧嘩を吹っ掛ける。
ベリーニは、さも可笑しそうに笑った。
「アハハハハ、キミよりボクのがずっと年上だよ。ま、そんなのはどうでもいいや。
ボク、退屈だったんだ。弱いヒトばかりでさ。だから、遊んでよ♪」
即座に手を突き出す。
「げ!?」
「いくよ〜サンダラ!」
雷撃が迸り、装甲を焦がす。
「うわ、うわわわわっ」
「キャアッ」
魔力の残ってないパロムとポロムは、逃げ惑うのみだ。
「キャハハハハハ、かわせかわせ〜。どんどんいくぞぉ!」
ベリーニにとって戦闘は、遊びでしかなかった。
「デヴィルズ・ティップが破壊された…?」
フォルト級飛空艦イエーガーの艦橋で、ホーセズが無表情ながら僅かに驚きを露わす。
「一体どうなっている? 機械兵は全滅、壊されるハズのないマシンは壊される…」
魔法は重力子の影響を受けにくい。だから、魔法でなら破壊される可能性はある。
しかし、エスタールにデヴィルズ・ティップを破壊出来るだけの魔法玉は無いハズ…
だが、現実ではそれが起こっているのだ。
と、オペレーターの報告で思考が中断させられる。
「エスタール、前進してきます!」
ブリッジの面々に驚きと焦りが広がる。
だが、それでもホーセズだけは冷静だった。
「…確か、メガ波動砲のプロトタイプが積んであったな?」
「え?…は、はい!」
スタッフが、急ぎ確認した。
「あれを主砲に切り替えろ。あれなら、重力子フィールドにも負けん。」
「はっ!」
艦員は指令通りに動き、ブリッジは落ち着きを取り戻した。
「エスタール、間もなく射程圏に入ります!!」
「よし、波動砲充填開始。…エスタールめ、ジェノサイダーを甘く見たな。」
ホーセズは、薄く嗤った。
「敵射程圏に入りました!」
カプリの声がブリッジに木霊する。
「まだだ、まだ接近しろ!この距離ではエスタールの主砲はまだ届かない!」
ギムレットは決死の覚悟で指令を出す。
特攻。現状を打開するにはそれしかない。
「……敵艦に高エネルギー反応?…主砲?」
カーソルを操りながら、リッキーが眼前のモニターに映る敵艦に
異常な熱量が集まってるのを確認した。
「敵の攻撃は、フィールドでかわせばいい!」
ギムレットはそう言って相手にしない。
だが、リッキーにはどうしても腑に落ちなかった。
「でも、こんな高い値のエネルギーは……まさか!?」
思いついて間もなく、イエーガーから砲が発射される。
「よし、重力子フィールド展開しつつ、そのまま直進!」
「ダメだ!!」
ギムレットの指令が出たのと殆ど同時に、
リッキーはパナシェの操るエスタールの舵にしがみついて、大きく横に倒した。
艦が激しく揺らぐ。
「リッキーなにやってる!…なに!?」
「きゃあっ!」
先程以上に艦が震えた。
席に着いてなかったルシアンとリッキーが倒れる。
「敵砲、左舷直撃! 装甲損傷率37%!!」
「なんだと!?重力子フィールドは間に合ったハズだ!」
その疑問に、立ち上がったリッキーが応える。
「ダメだよギムさん、あれは、波動砲なんだ!」
「波動…砲?」
そもそもビームエネルギーである主砲が、何故重力の干渉を受けるのか。
それは、ビームの中に含まれている重金属物質のためだ。
ビームというものは、いわば熱光のエネルギー。
それだけで放ったのでは、大気中では直ぐに四散してしまい、射程も物凄く短くなってしまう。
それを安定・高威力にするために、ビームの中に重金属を混ぜる。
言ってみれば、質量を持ったビームになるのだ。
だが、質量を持つということは、当然重力の影響も受ける。
ビーム兵器にも重力子フィールドが有効なのは、そのためだ。
「でも、波動砲は純粋にエネルギーのみで撃たれるんだ!
だから、重力子の干渉を受けにくい。」
「し、しかし波動エネルギー圧縮システムは精々、短距離兵器がやっとだった筈…」
「それをやってしまうのが、セントラ。ジェノサイダーだよ。」
リッキーはもう驚かなかった。
奴らは、超一流の研究者だったオーベルがまだ実験段階にまでも行き着いていなかった
重力子の中和を、やってのけた連中なのだ。
「…リッキーのおかげで、ギリギリ沈むのは助かったと言うワケか…だが…」
受けたダメージも少なくない。次は、恐らくかわせない。
「エスタール、後退だ!急げ!!」
「今更退いても無駄だ。波動砲、充填!!」
「な、なんだったんだ、今の攻撃は…?」
エスタールの周りで空中戦を演じるカインは、先程の波動砲を目撃していた。
そして、エスタールがそれを受けてしまう様も。
「もう一度やられたら……ならッ!!」
カインはイエーガーに向かって飛ぼうとする。
…だが。
「お前の相手は俺だろ、カイーーーン!!」
魔人の刃が、カインを襲う。
カインは間髪、槍で受け止めた。
「くっ」
「他を気にしてる暇はないぞ、カインよ!!」
キールの言葉は正しい。二人はまったくの互角なのだ。
全力を持ってしても倒せるかどうか解らない相手を前に、艦を攻撃するだけの隙は無かった。
「さあ、俺と闘え!!」
キールの剣戟が始まる。
「くぅっ、このままじゃぁ!!」
焦りはカインの動きを鈍らせ、防戦一方となる。
そうこうしてるうちに、イエーガーから二撃目が放たれた。
エネルギーの奔流は、真っ直ぐにカインの母艦に向かっていく。
「く、くそぉ!!」
カインは気合いでキールを弾き、波動に向かって飛ぶ。
「ダメだ、間に合わない!!」
竜人カインの速度をもってしても、到底追いつけるスピードと距離ではなかった。
……間に合わない??
……アレがぶつかる??
……皆はどうなる??
…………『死ぬ』
「させるかァ!!」
瞬間、カインはまるで自分の身体から自分の意識が飛びだしたような感覚を覚えた。
そしてその意識は、カインが目指す場所…即ち、波動砲とエスタールの間へと滑り込む。
更に。
キュィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィンッ!!
耳を劈くような甲高い音が響いたかと思うと、身体自体も其処に辿り着いていた。
「なんだとッ!?」
目撃したキールは驚きの声を上げる。
端から見ればそれは、カインがまるで瞬間移動でもしたかのような高速で
動いたように視認されたのだ。
そう、そのスピードは正しく刹那。
彼の航跡には、彼の姿が残像として残っているくらいだ。
だが、カイン自身は自分が何をしたのか確認する間もない。
眼前には、波動砲が迫っているのだ。
「刃よ、盾に!!」
意思に合わせて槍は巨大な盾に変形する。
そして、波動砲の直撃。だが、盾は損傷することなくそれに耐えた。
「ぐぅおおおおおおおおおおぉ、くぅッ」
激しい衝撃ながら、カインは砲の方向を逸らすことに成功する。
砲はエスタールを僅かに掠め、彼方へと消えていった。
「今だ、一斉発射!」
ギムレットの号令とともに、エスタールの主砲と副砲が同時に火を吹く。
そのビームは、イエーガーを確かに捉えた。
激震に、イエーガーが揺れる。
「直撃か!?」
「いえ、なんとか主砲はかわしました!しかし、このままでは航行に支障が出ます!」
当然と言えば当然の結果だ。むしろ、落ちなかったのが奇跡と言える。
尤も、最新の装甲に包まれたイエーガーだからこその奇跡であるが。
「く…やむを得ん、撤退だ。」
ホーセズの令とともに、イエーガーは180度反転して、戦闘空域を離れていく。
「エスタール…こうまで実験が上手くいかないのは、初めてだ…」
ホーセズは、珍しく歯軋りした。
『後には何も残らない』とまで言われたジェノサイダーが、二度も撤退を余儀なくされたのだ。
心中穏やかでないのも当然である。
「だが次は…完成版のメガ波動砲を積んだ‘アレ’には、勝てるかな?」
そう、ジェノサイダーの兵器はまだ終わりではない。
そこが、ジェノサイダーの恐ろしさなのだ。
「今のは…マインド・スライド?」
遙か上空のハイ・シップの中で、ミモザが呟いた。
先程のカインの動きを見て、言ったのだ。
「そこまでの潜在能力を、持っていたの?…それを相手に、勝てる?」
ミモザは不安になった。
と、そんな自分に驚いた。何故不安になる?
「私…あの人を心配してる?」
ミモザの瞳は、今度はカインの近くに浮く魔人を捉えていた。
「間違いない、マインド・スライドですね。
いえ彼の場合、マインド・ジャンプとでも言いましょうか…
それが可能な程の心力の持ち主だったとは。」
全ての傍観者、アドニスはいつもの笑顔の中で、誰へともなく言った。
「ふふ、やはり素晴らしい素材ですね。
だが、私の放った駒もなかなかの働きをしてくれている…」
アドニスは、モニターに写らないエルクス、ベリーニ、ティツィアーノ達の状況も、
完全に把握していた。
「…全て順調。‘彼女’の感覚も研ぎ澄まされていくのが解る…覚醒は近い。」
アドニスの紅の瞳はスクリーンのエスタールを見つめていた。