Italian Progressive Rock 6
管理人自身イタリア語がわからないので，邦題のあるものはすべて邦題を併記しています．
６．Goblin
腕利きのスタジオ・ミュージシャンが結集して結成されたグループであり，その演奏テクニックは折り紙付き．イタリアのバンドとしては，日本における知名度も高い方だと思います．しかし，「サスペリア」，「フェノミナ」，「インフェルノ」等のダリオ・アルジェント監督作品のＯ．Ｓ．Ｔ．担当という事実とスタジオ・ミュージシャン出身という地味な経歴からか，バンド自体の音楽性を取上げられることが少ないかなと思います．
Goblin
の（実質）デビュー・アルバムは「PROFONDO
ROSSO/サスペリア２」です．「サスペリア２」と邦題がついていますが，これは「サスペリア」のヒットに伴い急遽ダリオ・アルジェント監督の以前の作品を日本公開したため．
ダリオ・アルジェント監督の最高傑作であり，Goblin
の（Ｏ．Ｓ．Ｔ．としての）最高傑作はやはり「SUSPIRIA/サスペリア」でしょう．
確かに彼らを有名にしたのは一連のＯ．Ｓ．Ｔ．であり，とくにこの「サスペリア」の冒頭で豪雨の空港を背景に流れるテーマ・ソングの迫力は尋常じゃありません．が，その音楽性・実力は映像抜きでも一級品です．
Ｏ．Ｓ．Ｔ．（ほとんどアルジェント監督とのコンビ）はかなりの数リリースしていますが，オリジナル・アルバムはわずか２枚です．Ｏ．Ｓ．Ｔ．の全てを聴いているわけではありませんが，緊張感溢れる旋律に神秘的な雰囲気が加わりホラー/サスペンスにはベスト・マッチ．しかし，オリジナル・アルバムでは呪術的（オカルト的）要素が薄くなっていて，個人的にはこちらの方がはるかに好みです．
「ROLLER」
1. ROLLER /
ローラー
2. AQUAMAN / アクアマン
3. SNIP SNAP / スニップ・スナップ
4. IL
RISVEGRIO DEL SERPENTE / 蛇の目覚め
5. GOBLIN / ゴブリン
6. DR.
FRANKENSTEIN / ドクター・フランケンシュタイン
最初のオリジナル・アルバム（２ｎｄ
album）「ローラー」は心地よい緊張感に富むインストゥルメンタル・アルバムで，ホラー/オカルト映画のＯ．Ｓ．Ｔ．という呪縛から解き放たれたせいか，おどろおどろしい雰囲気が少なく素直に音楽に没頭できます．非常にレベルの高い作品ですが，sound
track 的な印象を払拭しきれないのが残念です．
全編インストという点とGoblin
というグループに対する(わたしの固定的）イメージがそんな印象を与えるのでしょうが，もう少し初心に帰って聴くべきと反省しきりではあります．
しかし，計算された構築美という点では，これがGoblin
の最高傑作でしょう．
「IL FANTASTICO VIAGGIO DEL "BAGAROZZO"
MARK
/ マークの幻想の旅」
1. MARK IL BAGAROZZO / マークの幻想の旅
2. LE
CASCATE DI VIRIDIANA / ヴィリディアナの滝
3. TERRA DI GOBLIN / ゴブリンの世界
4. UN
RAGAZZO D'ARGENTO / ダルジェントの息子
5. LA DANZA / 舞踏
6. OPERA MAGNIFICA /
華麗なオペラ
7. NOTTE / 夜
8. ・・・E SUONO ROCK /
・・・そしてロック
２枚目のオリジナル・アルバム「マークの幻想の旅」では，初めてボーカルが入り，その音もスリリングかつ呪術的という従来の雰囲気とは少し変化しています．あいかわらず心地よい緊張感のようなものは持ち味のひとつですが，オカルト的というよりファンタジックな味付けが楽しめます．正直ボーカルは浮き気味で，彼らの本領である緊張感を削ぐ面はありますが，（sound
track
的ではなく）音楽から映像を喚起させる役割を果たしている面もあります．「ローラー｣とどちらが上かは判断に迷いますが，オリジナリティという点ではこちらの方に軍配が上がります．
ただ，ジャケットに描かれたセミのお化けみたいなイラストはなんともコメントのしようがありません．本来もう少しセンスのいいグループというイメージがあるんですけどね＾＾；
しかし，Goblin
というバンド．わたしの想像よりはるかにｍａｊｏｒ＆人気グループなんでしょうか．キング・レコードからでた再発シリーズはもとより，最近リミックスものやコレクションもの（サントラベスト集＋ライブ音源）なども続々リリースされています．プログレ・ファン以外にクラブ系ＤＪに人気という話もありますが．．．
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