ラリオスの勢力
Political and Religious Powers of Ralios



 ジェナーテラ大陸のなかでも、特にラリオスは、フェルスター湖周辺に乱立する都市国家群、蛮族諸部族や非人間種族が存在し、また公式設定が少ないのに、Reaching Moon MegacorpやTradetalk、Live Action Roleplayingなどの非公式設定がきわめて多いのでこの地域を把握するのが困難になっている。




 アーカット派Arkati:Peter Metcalph's Article in Four Scrolls of Revalationを見ること。


http://www.btinternet.com/~Nick_Brooke/products/fourscrolls.htm



悟法の一派。(RQ#3のDorastorやLord of Terrorでは啓発の一派だと見なされていたが、むしろ啓発が悟法の一種であるように、アーカット派も悟法の一派であると捉えた方が良いらしい。(暗黒異端派、アーカット派が折衷的に「見えざる神」と他の神々を同時に崇めるというマルキオン教の一派であるという昔の説はひとまず置いておくとして。)秘密結社、現在でも神知者ののこした異端審問の呪いと検知術が残っているため、現代のアーカット派はそれらを使って彼らを駆逐しようとするロカール派などの目を逃れて、影からラリオスの表面的な政体や教会組織を操ることを好む。
詳しいアーカット派の領袖たちについてはこちら。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~BLUEMAGI/WorshipofArkat.htm


「アーカット派Arkati」の記事をConvulsion2002ソースブックのFour Scrolls of Revelation「四巻の啓示の巻物」に載せたPeter Metcalph氏の言葉
http://www.btinternet.com/~Nick_Brooke/products/fourscrolls.htm

「そう、私は「アーカット派」の記事を書いた時に「スターウォーズ・エピソード」シリーズのシス卿たちのイメージに影響を受けた。同じくゲームのネピリムNephirimやTarot、官能的な映画、Eyes Wide Shut(トム・クルーズ主演 http://www.deep-focus.com/flicker/eyeswide.html)やVehgerichmt(神聖ローマ帝国の秘密結社=審問団 http://www.bartleby.com/65/ve/Vehmgeri.html)にも影響を受けていたけれど。」

 問題は神知者たちや「正道の復活十字軍」の知識撲滅のために「アーカットの暗黒帝国」が正確にどのようなものであったのか、誰も知らないということであり、ラリオスの分裂を憂える派の団員達の多くは「暗黒帝国」の復興を目指すが、そのことについての意見は決して合意に達することなく、却って争いを助長しているのである。(また、センタノス公国やコルのガルヴォスト派魔道学院など、アーカットを預言者として支持していない勢力ですらなんらかの魔神として彼を召喚しようとしているということがさらに問題を面倒にしている。)


 ガルヴォスト派とボリスト派Galvosti:
グローランサの魔道で、もっとも問題とされている、《切開》呪文は生命体から能力を吸い取って自らのものにするもので、フレストル派やロカール派など、正統派の教義では混沌、あるいは無神論者の行いとして厳重に制限され、あるいは禁止されているもの。(第三戒、汝の愛するものを傷つけることなかれ。 The Third Law: Do not ruin that which you love.

マルキオン諸流派の解説
http://www3.plala.or.jp/altinae/index.htm

 しかしラリオスの二つの異端派は帝国の時代から生き延びている、《切開》を容認している流派で、分裂しているラリオスでのみ存在を許されているらしい。Galvost派は非マルキオン教徒の切開を容認し、彼らはボリスト派に比べて比較的マルキオン教に厳格な地域では容認されているらしい。ボリスト派は切開で混沌の汚点を生命体から浄化することは善であると考える異端で、Peter Metcalph氏の意見では「混沌僧ギルド」はボリスト派の過激な非主流派を意味しているらしい。

 Greg Staffordの手記によると、現在のティナロス市の支配者、恐るべき魔道師「恐怖のアーギン」は「カージョールクのアーカット」を信奉しているということになっているが、彼とボリスト派の関係は明白にされていない。ベルストスの男爵、ダーマンゴンは愚かにもボリスト派の支持を公然と表明している。(ボリスト派は気味の悪い触手を生やしていることがあるので、「烏賊(イカSquid)」としばしば呼ばれるらしい?(個人的なイメージですが、Vampire thd Masqueradeのツィミィーシ氏族に似ているかな?)


 センタノスArchduchy of Sentanos:
かつてのフェルスター湖東岸で有数の勢力だったが、近年のオトコリオンとの戦いの敗北で多く領土を失った。Peter Metcalph氏の説によると、エレンゲイザー女公爵の先代はロカール派だったので、彼女が政権を握ったあとも、国内の大多数はロカール派のままで、彼女の「アーカットの明らかな再来」運動の失敗と敗戦で将来は暗いようだ。(センタノスに煽動されたガルヴォスト派のオトコリオン領内の蜂起は、シグロルフカルトを導入した単身教教会Henotheist Churchの力で鎮圧された。)国内のサイラン、トートゥン市はガラス器の輸出で有名。

Peter Metcalph氏の言葉:

「ふつう言われている事は、エレンゲイザー大公が(太陽暦1604年頃)ロカール派の父親)を退位させて「アーカットの明らかなる顕現」の運動を始めたということ。私はセンタノスがエレンゲイザーの父の時代に強固なロカール派であったとは思わないし、ロカール派は宮廷の奉じる宗派で、民衆の大部分は暗黒異端派なのではないかと思う。」


 オトコリオンとランクストOtkorion and Lankst:
単神論教会Henotheist Churchは近年、勢力を増していて、北のランクストから導入された「雲砕王」シグロルフのカルトが力を与えている。Peter Metcalph氏によると、コチョラン王はサーコリオン地方のジョフレイン同盟への加盟と引き換えに、シグロルフ・カルトがオトコリオンに入るのを許したらしい。(ナスコリオンと共に、センタノスの勢力圏を圧迫中。)ランクストは北方のハイラーマ峠を通ってくる交易商とバッド・ディールのドワーフとの交易で巨利を得ている、オーランス人のジョフレイン連合が有力である。(アラコリングの故郷)

オトコリオンについてはNikk Effingham氏が多く書いている。
http://www.crashbox.com/nikk/rqpage.htm
以下は拙作、「アラコリングのサガ」
http://www2u.biglobe.ne.jp/~BLUEMAGI/HeortAlakoringetc.htm
Nick Brooke氏はランクストの英雄、ガランディアーをコンヴェンションで演じたらしい。
http://www.btinternet.com/~Nick_Brooke/cons/ger-rq96.htm

Peter Metcalph氏の発言:

「これは実のところFreeformの「Rise of Ralios」の設定からとったもので、私のアイデアではない。要約すれば、英雄ガランディアーは「雲砕王」シグロルフのカルトを発見し、[神知者の]呪縛から解放し、この霊をランクストの王コチョランに献上した。しかしコチョラン王はガランディアーの力と威信に恐れを覚えて、[オトコリオンの大司教]「非異端主義者」スランティールとサーコリオン地方の所属との引き換えに、シグロルフに関する知識を共有することにしたのだ。(スランティールはガランディアーがどれほど偉大なのかなどは関知していない。)スランティールはシグロルフのカルトについての知識のおかげで(単神教教会を壊滅させてガルヴォスト派を権力の座につけようとした)センタノス公国の軍を壊滅させることができた。

だからガランディアーはいまは自分の贈り物が王に悪用されたことで腐っている。ガランディアーがどれほど偉大であるかに気づいていない多くの民の支持をコチョラン王が受けている限り、彼にはたいしたことができない。それでもガランディアーはひとりの英雄なのだ。

コチョラン王は今では自分を支持しているランクストの諸部族にサーコリオン地方の支持を加えて、今ではすこし安堵している。王はガランディアーが自分を部族の民会から締め出していることに関していまでは大して恐れを抱いていないが、それはコチョラン支持の側の方が数で優っているからだ。王はクーデターを恐れていて、さらに自分に対する支援を強めるためにサーコリオンの魔道[witchery]を受け入れるかもしれない。でもそうするにしても、そのことは秘密にしておくだろう。

スランティール大司教はシグロルフのカルトを今では入手していて、センタノス公国の軍勢を打ち負かしたことから、いまではもう少し安堵している。彼はサーコリオンがランクストの民を内側から文明化し、単神論教会の神政に組み入れることを計算しているのかもしれない。」





 フェルスター湖南岸South Shore of Felster Naral Lake:
Glorantha: Introduction to HW によると、ダーランを中心としてセシュネラ・ロカール派の攻勢に対抗しようとする連合が作られているが、連合の中に野心の強いアジロスの公爵フォイヤルファインFoyalfineが入っている事は大きな不安定要因になっているらしい。彼は「裏切り者アーカット」を信仰している。(どうやらGreg氏のお気に入りのキャラらしい?(彼はコンヴェンションで彼を演じたことがある。))
詳しくはHow the West was OneなどのBookletを参照のこと。

 ナスコリオンと東部原野Naskorion and East Wild:
ライナールReinard de Faucille公爵は、一部のハリキーヴ出のアーカット派トロウルたちと共にゾラークアーカットの寺院を復興させて、「トロウル王アーカット」として全国制覇に野心をたくましくしている。東部原野では、ヴォシュフライVoshfrei王朝のアラズバンが、デレーラ地方のオーランス人をまとめている。彼らの詳細については、David Dunham氏のEast Wild記事や、Tradetalk#3を参照のこと。(サーターがアイスランドなら、東部原野はアイルランド的?)彼らは暗黒帝国復活を憂えて、激しくナスコリオンと対立しているらしい。
David Dunham's Site
http://www.pensee.com/dunham/ralios/orlanthi1.html
Jonas Schiott's Site
http://hem.fyristorg.com/bolongo/eastwilds.html

 古代野獣結社Ancient Beast Society:アビ鳥、フレーラ・アマーリ、ガラニン族
 ラリオスは一神教と魔道がタニア川を遡ってくるまで、かつて獣神信仰の中心地だった。(フレーラ・アマーリについては後述の歴史を参照のこと。)そして「暗黒帝国」よりもさらに昔の状態を理想とする懐古主義者は、古のスンチェンの儀式、古代の馬の民であった祖先の血の回帰を目指して、古代野獣結社という秘密結社が存在し、マルキオン教的外面に反抗する勢力として水面下で活動を続けている。(結社の構成員はアビ鳥Loonと呼ばれることがあるが、詳しいことは不明。)

http://www.pensee.com/dunham/ralios/galanini.html
 
(これは個人的意見だが、昔のグレッグの書いた設定で「四方を治める者たち」というものがいた。http://www.glorantha.com/library/prosopaedia/f.html#first-four-companions 彼らはもしかすると神代に存在した四方の大陸の種々雑多なスンチェン人の社会の指導階級であったのかもしれない。たとえば古代のヴィセラには海鷲の王朝というものがあったし、ソファール族(海亀)は今日でもパマールテラ南東で勢力を保っている。それと同じで、アビ鳥たちがジェナーテラでは支配していたのかもしれない。)ラリオスにはかつて獣に変ずる精霊崇拝の民でありながら、後に神教や魔道に転んだ民が先祖返りを時たま行うことがある。たとえば、北西のテルモリアの狼の民(ジェナーテラでは他にもドラストールやドラゴンパスなどに存在し、混沌に汚染された種族として批判と同情を浴びている。)、そして南西プラロレラのヘラジカの民(ラリオス・マニリア交易で富を貯えている)など有力な勢力のほかにも、ビーバーの民、山羊の民、クズリの民などなど少数派が多くいる。
http://www.glorantha.com/library/hsunchen.html


 ロカール派Rokari:アンシャン・レジームAncien Regime、ダンギム・マーチDangim March、クストリアKustria、センタノスSentanos
 このタニソールで主流のマルキオン教の教派は他宗派に対する非寛容的な態度と、厳格な身分制度で知られているが、ベイリフェス王朝のユリアヌス四世Ulianus 4thは騎士道をロカール派に復活させて、勢力を非常に拡大し、ジョーストランド王国亡き後の分裂に乗じて、フェルスター湖低地(フェルスター)の多くを征服した。(今日でも、上述の通り、センタノスやクストリアなど、多くのラリオスの地域でロカール派は主流。)

しかし「トーナメント王」ヴィカードVikard the Tourneysの騎士道の堕落(多くはクストリアのトーナメントのせいか?)と放漫政策のせいで、ユリアヌスの死後、ラリオスの多くが蜂起し、タニソールの王はその東部領土の多くを独立諸侯に奪われている。このロカール派独立諸侯の多くはアーカット派を支持する草の根の結社の多くに「旧体制Ancien Regime」と呼ばれているが、その分裂に乗じて存続を続けている。(おそらくエレンゲイザーは旧体制から乗り換えようとしたが、失敗し、センタノスの弱体化を招いたのだろう)英雄戦争が近づくにしたがい、タニソールの異端審問、そして王と教会の連合が強まって新たな侵攻が起こることが予想される。

 多神教徒Paganistic Humanity:
ラリオスの一神教は比較的多神教のセクトに寛容であることが多く、オトコリオン単神教教会など、嵐信仰と魔道をつき混ぜているものや、暗黒異端派のように暗黒信仰と魔道をつき混ぜているものもある。(アーカットがトロウルになっていたことが非常に影響している)西北部のランクスト及び東部の原野、デレーラやサウグ、キーノスは「光持ち帰りし者」アリンゴールや「ドラゴン殺しの」アラコリングを生み出したことで、ジェナーテラ・オーランス信仰のもう一つの中心地としても知られているが、結束を重要視しない国柄からか、長いこと低地の民の軽視を受けてきた。

 トロウルと結ぶ暗黒の民は秘密結社「アーガン・アーガーの鎖」を結成し、グーハンとハリキーヴの通商、交易に協力している。(ナスコリオンの公爵は有力メンバーの一人)


 敗者の世界運動World Losers Movement:
英雄戦争が近づくに連れて世界各地に起こっている不戦主義運動のひとつ。セシュネラ地方が発祥の地だが、ロカール派はこれを異端と見なし、見つけ次第異端審問が狩り立てている。

 混沌Chaos:テルモリアTelmoria、カリアKaria
狼のスンチェン人はグバージ戦争までは、他のスンチェン人と同じく、混沌に汚染されてはいなかった。ナイサロールに与した一派はラリオスにおける「光の帝国」の軍隊として戦い、その褒賞として「祝福」を授かった。(推測だが、狼への変身をより容易にするたぐいの祝福だったと思われる。)しかし、彼らはテイロール卿によって呪われ(テイロールは彼らの混沌の祝福を呪いに変えただけだと主張しているらしいが)、それ以後、彼らは「純粋なる者たち」と「呪われた者達」に別れることになった。それは呪われた民が週の一日は好もうと好むまいと、狼への変身を強要されるようになったからである。おそらくテルモリアは彼らの光の帝国における母地でであり、そこからドラストール、あるいはドラゴンパスへと広がったのであろう。

 カリアはアーカットの呪いによって顕在化した混沌がのたうつドラストールとカートリン峠でつながる地域で、近年侵入してくる混沌の諸相や怪物達で問題が頻発している。

 非人間種族Elder Races:ハリキーヴHalikiv、グーハンGuhan(トロウル)、バリッドBallid、タリンの森Tarinwood(エルフ)、ニーダン・ドワーフNidan Dwarf、オルムズランドOrmslandとEWFの関係(ドラゴニュート)。
 古代から、この地域には多くの古の種族が暮らしていた。北西部のニーダンは「ニーダン十鉱Decamony」と呼ばれ、グローランサ南方のスロンとならんでグローランサのモスタリを統括している機構である。また北西部のバリッドの森、南部のタリンの森は緑エルフおよび茶エルフの古来からの牙城である。(バリッドはかつてアーカットに与して進軍したことで知られ、タリンは秘密主義で有名である。また最東部のハリキーヴはトロウル族が地上に来てからの最古の居住地のひとつであり、また暗黒帝国以来、ウズ族に領土として保有されているグーハンは、アーカット信仰と暗黒異端派の中心地として知られている。

 オルムズランドのドラゴニュートはかつて「光の帝国」とともに移ってきた「評議会」の民で、かつてはパスのドラゴンズ・アイやマニリアのリゼルと同じく、「超王」を抱えていた。しかしオーランス人の英雄アラコリングの功業により滅ぼされ、今では蛮族のドラゴニュートの共同体になっている。(つまり、より奇妙な行動をとる可能性が少ない。)



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