ヒョルトランドの歴史と神話
History of Heortland


最終更新
2004/06/13
Dragon Pass: Land of ThunderとHeortland Map by Wesley Quadros、Hero Quest Voicesに合わせて


参考文献
公式
Glorantha: Introduction to Hero Wars
Thunder Rebels
King of Sartar
Sartar Rising ! Series
*Barbarian Adventures
*Orlanth is Dead!
Troll Gods: Dargobard Paper
Dragon Pass: Land of Thunder

非公式
Broken Council Guidebook
Rune Quest Con2 Compendium
Tradetalk #4,5,6 Kingdom of Night
Gwandorling Saga in Wesley's Site


英語版はこちら




地誌

 まず、ケタエラと呼ばれる地域を見て下さい。「鏡の海」湾に面した交易の盛んな地方で、ドラゴンパスの南です。その内、湾の東岸一帯の高海抜(300メートル以上)の地域を見てください。この地域は「嵐歩みの山脈」でプラックス地方から隔てられています。この地域をヒョルトランドと言います。(かつてはもっと広い区域をこう呼んでいたそうです。)ここに住んでいる民がほとんど嵐を信仰する民で重要な英雄であるヒョルト王にちなんで名づけられています。また、これらの高地に深い溝を作る五つの川がヒョルトランドをいくつかの半島部と言っていい区域に分割しています。この地域に50万もの人口が生活しています。(ちなみにサーターには18万人、ターシュには36万人です。)

 五つの大河は北から順にマルジールMarzeel川、ソルシSolthi川、「邪悪な」サイフォンSyphon川、ブルフラッドBullflood(牛水)川、そしてミンソフMinthof川が合流するミントスMinthos川です。西方のマルキオン教の影響は、土着のオーランス人の文化に長らく影響を及ぼしてきました。南方の忘神群島のブリソス人に支配されている民、そして帝国の時代の神知者の影響、近年のマニリアの交易王たちやセシュネラ・クインポリック同盟の運動などもあいまって、複雑な状況を作ってきました。農耕のやり方(西方式の犂など)や階級(カースト)制度なども他のオーランス人には見られない形になっています。そして宗教も、魔道文化とオーランスの神教文化の混ざったアエオル派という教会が南部では盛んです。

 ややこしいことには、ファラオが「一なる老翁」を倒して「夜の王国」を「聖王国」にした時に、大きな政治的な変化を遂げたことで、この変化についてはエキスパート達も意見が一致していません。それでもいくつか合意事項があるので言えることは、古来からこの地方は一人の王が「ラーンステイ兄弟団」という放浪の祭司たちに選出され、(宗教上の名目上であったのか、実際に権力を握っていたのかは知りませんが)下の部族ないし氏族を支配していたこと。そしてファラオがこの体制を四つの伯爵領Earldomとその下の多くの男爵領Baronyに改変したことです。これらの伯爵領は北から順に、ヴォルサクシVolsaxi、ジョンダラールJondalar、ハーラントHurlant、エスヴラールEsvularと呼びます。(面倒なことには、これらの「伯爵領」がThunder Rebelsでは「部族」と呼ばれていることで、字句通りにとらえるとBarbarian Adventureのヴォルサクシ「部族」の中にヴォルサクシ「部族」や「氏族」があるという構図になってしまいます。ここは「伯爵領」をサーター人が誤って部族と呼んでいるという見方が正しいようです。)




Tradetalk #4 p. 17, Thunder Rebels p.52-53, Orlanth is Dead! p.18 Question21,
(Volsaxi Land) Barbarian Adventures p.8-9

Karse: Tradecenter Capratis of Pasos & Du Tumerine of Nolos

*Marzeel River
 Volsaxar Earldom (TR) : (Whitewall: Anti-Pharaoh Marzeel R.) (Smithstone: Pro-, Marzeel R.)
*Solthi River
Jondalar Earldom, Karhend Area (TR): Jansholm (Solthi R.)
*Syphon River
Hurlant Earldom, Gardufar Area (TR): Durengard (Bullflood R.)
*Bullflood River
*Minthof River & Minthos River
Esvular Earldom (TR): Mt Passant (New), Bensval (Old, Minthos R.)
Mt Passant & Border March (Unofficial Gwandorling Saga: Land of Argrath Dragonfriend)
*Bandori River
God Forgot Refuge, Casino Town & Machine Ruin




 さて、一番焦点がOrlanth is Dead!などで当てられている北部のヴォルサクシ「伯爵領」ですが、この地域(の一部もしくは大部分?)が昔からヴォルサクシ「部族」としてファラオの支配にサーター王国と組んで反抗していたことは言っておかなければなりません。彼らの領土の東部の、「嵐歩みの山脈」の元には「トロウルの森」が広がっていて、ここでは大昔から人間とトロウル族が仲良く暮らしているキトリ族という共同体があって、オーランス人と敵対してきました。そして、近年、サーター王ターカロールが、エルマル信仰から転向したイェルマリオの信者モンローフに自治権と「陽の天蓋寺院」をヴァーンタールの地域に認めたことが、一層問題を複雑にしています。ブライアン王はヒョルトランド全土の宗主王としての権利を主張しているようですが、これはヴォルサクシ以外では受け入れられていません。

 ヴォルサクシ人はどうやら他の地域のオーランス人を異端と考え、自分たちがもっとも古い形のオーランス信仰を持っていると信じているようです。さらに近年、ルナーがヒョルトランドをナイサロールの軍と同じように征服したことで、オーランス信仰がこの地域でどうなったのかは分かりませんが、少なくともルナー人は、古来からのオーランス信仰の拠点、ホワイトウォールと隠れた「古の風の寺院」を征服することで、オーランス信仰に大きな打撃を与えることができると考えているようです。現在ブライアン王が少数の彼を支持する「ラーンステイ兄弟団」とともにホワイトウォールで包囲されており、マニリアの冒険者サニュエルSanuel卿がルナーの認定のもとで大きな権力を振るっているようです。



 Volsaxi Tribe (Confederation of Whitewall?):
Volsaxi Clan (Anti Lunar), Sylangi Clan (Pro-), Curtali Clan (Anti-), Bacofi Clan (Pro-)



 また、中部地域であるサイフォン川流域では、神代に混沌のクラーシト女神がラーンステイ神の足に噛み付いたことで、ここに「過ちの血の森」ができ、虚無の穴が生まれました。サイフォン川は、神代のように遡って流れる川で、他の水の神々が「マガスタの渦」にしているのと同じように、虚無の穴が宇宙を呑みこむのを防いでいるのです。この地域では、高地の「過ちの血の森」から湧き出す混沌との戦いが常にあり、現在ではヤブJabの蠍の女王、ガギャックスGagaxが多くのスコーピオンマンの巣を従えて団結し、周囲の民、ジョンダラール伯爵領やハーラント伯爵領に大きな被害を与えているようです。低地の「石の森」では上代の混沌との戦いによって石化された生き物や植物が不気味な佇まいを見せています。近年、この地方は「虎心王」リチャードというセシュネラ人の冒険者によって征服され、彼は短期間、ヒョルトランド全土の宗主権を主張していました。

 南部の「忘神群島」の勢力との緩衝地帯では、古来からアエオル派の勢力が強く、境界を越えて攻めてくるプラックス人や群島の「邪悪な」魔道士たちからの防衛のために騎士の城塞や、境界の男爵領が設立されています。ここでリチャード王はセシュネラの傭兵たちの協力で短期間、新マルコンウォル王国を主張していました。エスヴラール伯爵領にはアエオル派が多く、その中心である「紋章獣の山」はファラオに従った上級王アンドリンが遷都したところです。


If you want to know more about Joerg Baumgartner's Heortland Old Setting, visit here.
Unofficial Essays about Orlanthi
http://www.toppoint.de/%7Ejoe/toc.html
Heortland Old Setting
http://www.toppoint.de/%7Ejoe/heortmain.html


日本語版Hero Warsの地図と照合したい場合は、ぴろき殿のサイトをお願いします。
ケタエラ及びマニリア東部
http://www01.u-page.so-net.ne.jp/db4/piroki/MNpoints.html
http://www12.ocn.ne.jp/~piroki/Glorantha/MNpoints.html
古サーター地方
http://www01.u-page.so-net.ne.jp/db4/piroki/DPpoints.html
http://www12.ocn.ne.jp/~piroki/Glorantha/DPpoints.html



重要な地点
*「過ちの血の森」Foulblood Forest
ラーンステイの足跡にある、混沌の森。スコーピオンマンの巨大な巣がいくつもある。

*カーシー、「悪徳の都」Karse, City of Vice
マルジール川河口にある鏡の海の都市。第二期の時代にすでに悪徳の都と呼ばれていた。ヒョルトランド最大の都市。ファラオが老翁の怪物を殺し、クリークストリームの流れを大きく変えたことが、ノチェットとの競合と関係しているかもしれない。(かつてはクリークストリームはこちら側から「鏡の海」に流れ込んでいた。)

*「ラーンステイの足跡」Larnste Footprint
古代の神ラーンステイの文字通りの「足跡」(大きい)、クラーシトの攻撃により「虚無の穴」と「過ちの血の森」が生まれた。

*「紋章の獣の山」Mt. Passant
ヒョルトランド南部のアエオル派の総本山。大司教がここにいる。(昔の非公式の設定だと、大司教座があるのはDurengardだが、これも変更されたかもしれない。)

*「新しき風の寺院」New Wind Temple
オーランスの大聖地。魔術によって目に見えない建物があり、谷の内部には風の神霊が荒れ狂って神界への障壁は薄く、使徒の「嵐の王」たち(Orlanth Thunderousの使徒たち)はここに集まっている。ルナーはここに昇月の寺院の建設を計画している。

*「古の風の寺院」Old Wind Temple
嵐歩みの山脈の山中。ヒョルトランドとサーターの国境にある。古の謎の巨大な風車で、敢えてルナーすらこのオーランスの「移動」の力の象徴を妨げようとはしない。「風が止まるまでは。」ダンディーロス部族がその裾野(新しき風の寺院の項を見ること)を領有していたが、現在では親ルナーの部族エンスタロスがこの地を所有している。

*「塩の地」Salt Point
Hero Quest Voicesで語られているデフォルトのエスヴラール人の地、いわばもっとも標準的な民の住んでいるところ。


*嵐歩みの山脈Stormwalk Mountain
ウロックス神の古来からの聖地。彼が巨人を殺したところ。この山の上ではウロックス神の息子バスケロスBaskelosがスカイブルの群れを飼っていて、それを分けてもらうと強大な力が手にはいるという伝説がある。

*トロウルの森Troll Wood
キトリ族(人間とトロウルの交じり合った部族)が住む、ヴォルサクサールの東部の森。陽の天蓋寺院と対立。

*ヴァーンタール、「陽の天蓋寺院」Vaantar, Sun Dome Temple
ターカロール王の認可のもとでモンローフが建てたイェルマリオ教団の自治領、住民は傭兵として暮らしを立てている。かつてはグバージ戦争の戦場だった。

*大蜂の巣Wasp's Nest
「嵐歩みの山脈」北西部にある、大きな蜂に乗る小人族の群落。

*ホワイトウォールWhitewall
城塞都市。もう一つのオーランスの聖地、古代からオーランス信仰に反対する権力に対する抵抗の地として信仰されている。かつては「鉄のヴロクの」ファランギオに対するヘンドレイクの抵抗の地だったと言われているが、交通の不便から王の都は別に移された。ファラオに対するハルドラード王の抵抗の地であり、その後、ヴォルサクシの首府とされた。今ではブライアン王がこの都市をルナーに対する最後の防衛の地として守っている。



重要な歴史上の人物および現代の英雄戦争の人物
歴史上の英雄たち

ヘンドレイクHendreik、「自由人Freeman」
 グバージ戦争中、「光の帝国」の迫害を逃れて避難していた者たちの首領であった英雄。古代の変成と移動の神ラーンステイの力を手に入れ、それをゲリラ活動に用いていた。彼の力はラーンステイ兄弟団に受け継がれ、代々ヒョルトランドの「(宗主?)王」を選出していた。(Storm Tribe)

ヴァーガストVargast、「赤い手のRedhand」
 グバージ戦争の英雄。「境界の戦い」で冒涜者ロカマヤドンを討ったが、自らも「鉄のヴロクの」ファランギオの手で生命を失った。ハルマストをオーランス信仰に入信させた。詳しくは「ハルマストのサガ」を参照。(Harmast's Saga, Storm Tribe)

ハルマストHarmast、「裸足のBarefoot」
 呪われしベレネスの「ヴァナクの槍」の一族にして、「鉄のヴロクの」ファランギオの「他なる者」にして「敵」。オーランス人諸国をさまよって喪われた神話を集め、定名の者」にして初めて「光持ち帰りし者の探索行」を成功させ、アーカットを地獄から解き放った。ファランギオを討ち、テイロールをドラストールに導き、農夫に戻って一族の呪いを破った。「曙の時代」最大のヒョルト人の英雄。(Storm Tribe, Wyrm's Footprint, etc...)

ゴランキ・ヴァクGoranki Vak、「牛慣らしBulltamer」
「第一期」もしくは「第二期」のヒョルトランドの英雄王。無法なウロックス信徒たちを従えるために、定命の者ではじめて「嵐歩みの山」に登って、棒と綱のみでスカイブルの守護者を馴らした。ウロックス信者を倒す術を提供する。(Tales #18, Storm Tribe)

レンヴァルドRenvald、「メルデックの禍Meldeksbane」
 呪われた「忘神群島」、神知者の都、ロクシルを攻めたヒョルト人の中で最も高名な英雄。神界の「青の楯」と「緑の槍」で武装して初めて都に侵入し、生きた機械を殺した者となったが、ドワーフ族に裏切られて亡くなった。彼のオーランス下位カルトは魔道呪式を妨害する技を提供する。(Storm Tribe)

ヴァランオランスVaranorlath、「最後の大王Last Highking of Kerofinela」
 ドラゴンキル前夜の全?ヒョルト族の宗主王、真正黄金部隊や大虐殺を避けて、ドラゴンパスからヘンドレイキの地へと流れていく避難民達を指導した。(Thunder Rebels)

アンドリンAndrin、「立法者Lawmaker」
 ファラオ・ベリンタールと「一なる老翁」の争いの間に、ファラオに殺されたヒョルトランドの「宗主王」、彼の死後内乱が起こり、前非を悔いたファラオによって蘇生された。その後、アンドリンはファラオの支持者となった。多くの西方起源の習慣を受け入れて、国内を改革した。ヒョルト王のLawspeakerと同名の別人。(Glorantha: Introduction to Hero Wars, Storm Tribe)

グスティンGustin、「槌のHammer」
 アンドリン王の忠実な近侍だったが、彼が殺されてファラオの走狗として蘇ったことでアンドリン王を「ゾンビの王」と呼んで反乱を起こした。彼のカルトはファラオに歯向かう術を提供する。(Storm Tribe)

ハルドラードHardrard、「緑のGreen」
 ヴォルサクシ部族の創始者。「光の帝国」など、古代の権力への抵抗の地、ホワイトウォールを都として選び、ファラオに従うことを決めたアンドリン王に対して逆らった。(Barbarian Adventures)


アエオルAeol、「聖者Saint」
 暗黒の時代にこの地に渡ってきた一神教徒の聖人。マルキオンの教えと嵐の信仰を統合したアエオル派教会を設立した。(彼がアーカットの将軍の一人であったとか、オーランス神の顕現の一つだったと考える者もいるらしい。(Hero Wars Rulebook, Nick Brooke's Site and Issaries Homepage))

ヴァルゾール・キトールVarzor Kitor、「暗黒の将軍Darklord of Zolan Zubar」
 第二評議会で、ペローリアを支配する騎馬遊牧民を粉砕するために将軍が選ばれたが、彼は「一なる老翁」支持で初めての評議会の将軍に選ばれた。キトリ族の一員で、謎の闇の風神Zolan Zubarの信者。(Broken Council Guidebook)

セスタルトSastarto、「芸術家Artist」
「銀の時代」の文化英雄。エスロリアの英雄、「建築家」ペナクレスPenaxlesと競争して「針」を作り出した。ペナクレスは彼を嫉妬のあまり殺し、自殺した。(Tradertalk #4)

現代の英雄たち

サニュエル男爵Baron Sanuel
 マニリアの交易王諸市の一つの出身で傭兵隊長。ブライアン王がホワイトウォールで篭城している間、彼がヴォルサクサールをルナー帝国の代官として統治している。(Tradetalk #4, Barbarian Adventures)

ブライアン王King Bryan「最後のヒョルトランド王Last Highking of Heortland」
 ヴォルサクサール最後の宗主王にして英雄戦争の英雄。Joerg氏の説だと、彼は暫く傭兵隊長をヒョルトランド南部で行っていた。オーランスの超伝統主義者。彼の履歴、能力その他についてはThunder RebelsとOrlanth is Dead!を参照のこと。

ガギャックスGagax、「二本の逆棘のTwobarbs」
「ラーンステイの足跡」で最強のスコーピオンマンの女王。今まで四つの他の巣の女王を殺して食ってしまい、近隣の人々に大きな脅威を与えている。(Tradetalk #4 & 5)

ムラリクMularik、「鉄の目のIroneye」
 セシュネラ・タニソール生まれの傭兵、海の狼の一人。彼のターシュ支配の顛末とアーグラスとの関係については「グローランサ年代記」を参照のこと。

リチャードRichard、「虎心王Tigerhearted」
 短期間、ヒョルトランド全土の王として君臨していたセシュネラ生まれの冒険者。ヒョルトランド南部に「マルコンウォル王国」を建てたが、ルナー軍の侵攻に敗れて王冠を自ら打ち砕き、身を隠した。現在の消息は不明。

ヴァンダルBandal、「虎殺しTigerbane」
彼はリチャードをエスヴラールの地から追った時に権力を得た。彼は(少なくとも)南ヒョルトランドの領有権を主張している。


ルクス伯爵、「陽の天蓋領の領主」
今では彼がヴァーンターの陽の天蓋をモンローフの後継者として統治している。彼はファーポイントの「鉄拳」ハーヴァーと(少なくとも今のところは)友好関係を維持している。

ハレックHarrek、「狂戦士Berserk」
 神を殺した反逆のラソレラ人。白熊の神の皮をかぶる者。超英雄の一人。「海の狼」の首領にして、帰郷洋を荒らし回り、後にパマールテラ、ラスカルの大王となる。(Dragon Pass Boardgameほかいろいろ。)


以下はHW-mailing Listに流した文書の翻訳です。完全に非公式ですが、可能な限り最新の情報を元にしました。
英語版はこちら
http://www2u.biglobe.ne.jp/~BLUEMAGI/HighKingship.htm
http://www2u.biglobe.ne.jp/~BLUEMAGI/HighKingship.htm#Heortland


神話と歴史

Joerg Baumgartner氏とPeter Metcalph氏が問題を複雑にした。長いこと議論したが結論に達しなかったからである。私は二頭の龍(マーリンが見つけた赤の龍と白の龍?)が妥協点を把握しようとした私の努力から私を非難しないことを祈る。

 私がいくつかのOrlanth is DeadやGregの企画しているKerofinela Gazeteerからの新事実を見逃しているかもしれないことは言っておかなければならない。(この記事の翻訳は2002年の年末になされた。)私が知るかぎりSartar Rising Seriesは少しずつヒョルトランドの情報を中心となる舞台であるサーターの脇で少しずつ公式設定として明らかにしていく方針らしい。

 ヒョルトランドの歴史
 Joerg氏は多くを書かれた、しかしGregはさらに多くを知る。

 神代
 私が知るかぎり、神代におけるヒョルトランドについての描写および記録はあまりないようである。(ヒョルトランドという名称自体、ドラゴンキルの前後に生まれたものだとにらんでいる。)この地方は古の神の一柱であるラーンステイが混沌の生き物を踏み潰そうとしたのだが失敗し、これが古の神の足に噛み付いたことから始まる。(詳しくはLords of Terror: Krashitの記述を参照のこと。)「過ちの血の森」のそばに虚無の穴が生まれ、そこに向かってサイフォン川が、歴史時代に他の川がちょうどマガスタの渦に向かって下流に流れるように、上流に向かって他の神代の川のように流れている構図がここでできあがっていた。


Greg's Q&A about Larnste's Footprint
http://www2u.biglobe.ne.jp/~BLUEMAGI/IntwithGSQ&A.htm
2001/09/10 質問6

「嵐歩みの山脈」は、ウロックス神(プラックス流に呼ぶと大精霊ストーム・ブル)が巨人を倒してその首を捻り取ったところで、風の子ら(Nar Silla)がそれ以来ここに住むようになった。そしてここの隠された谷間に「古の風の寺院」があった。(一説にはヴィングコット王のLawspeakerであったHantrafalがこの寺院の建立に関係しているらしい)そして忘神群島のインガリーン人達もまた大暗黒の前後からこの地に住みついていた。彼らは自らの植民市を築いて、後の「機械の神」計画に参加した「帝国の時代」を除いて孤立主義を保っていた。聖人アエオルもこのころ現れて、いくたりかのインガリーン人をアエオル派に転向させたようである。(これはHero Warsからの設定)

 アエオル派教会
http://www.glorantha.com/hw/cultlong_aeolus.html

 曙

 最初に、人間でありながら暗黒を崇めるキトリ部族が第1期(曙の時代)に、「統一評議会」(詳しくはBroken Council Guidebookを参照のこと)の同盟グループのひとつとして姿を現している。いくつかの文書は彼らが将軍、ヴァルゾール・キトールを「第二評議会」に出したそうであり、またトロウル族が評議会が脱退した後に暗黒の元素の席にたいして「神の創造計画」の代表者を出していたそうである。なんにせよ、オーランス・ヒョルト人のオルゴヴァルト部族が占めていた土地の南は、この当時はヒョルトランドとは特に呼ばれていなかったようである。もしかするとこの高地帯はWyrm's Footprint誌の30ページで、古の高地Old Highlandと呼ばれていた土地かもしれない。しかしGregが現代の「陽の天蓋寺院」がグバージ戦争の古戦場であるヴァーンタールにあることを明らかにしてからは、私は自分のこの意見に疑いをはさんでいる。

ヴァロナール・ゾールVARONAL ZOR(キトリ族の英雄)
http://www.glorantha.com/library/elder/trolls-gbaji.html
ディセネラス(イェルマリオの古名)
http://www.glorantha.com/new/daysenerus.html


 グバージ戦争 365年(評議会の分裂)より440年(アーカットの解放)まで
なんにせよ、ヘンドレイキの地(ヒョルトランドの古名)の歴史は英雄「自由人」ヘンドレイクと彼のカルト、ラーンステイ兄弟団から始まる。タラスタールのロカマヤドンと「鉄のヴロク」のファランギオはヒョルト族の全ての地域に侵略して高地や荒野に逃れた難民を除いて、征服した。英雄ヘンドレイクは「光の帝国」に抵抗するこのような避難民の団体の一つを率いていたように思われる。トロウルたちは地下の彼らの領域のうち最も深いところに封鎖されていたし、ドラゴニュート族は「壊れた評議会」であった彼らの以前の敵に傭兵として仕えていた。David Cake氏が言うには、キトリ族はファランギオ将軍によってほとんど絶滅させられたけれど、最後に彼がグレッグ・スタフォードとキトリ族について話した時に、彼がキトリ族について書いているから、グレッグだけしか彼らの歴史については詳しく知らないと言っていた。

ロカマヤドン
http://www.glorantha.com/new/lokamayadon.html

 アーカットが到来した時に、彼はアエオル派教徒を弾圧したが、それは彼らのうちにアーカットを援助することを拒否した者たちがいたからだ。そして彼の統治以来、「黒きアーカット」のカルトが生まれて、(私見だが)彼らがキトリ部族の半トロウル達の再興を助けたのだと思う。そして「一なる老翁」が「影の高原」の最深部のトンネルから姿を現したのだろう。
 
 オーランス王国の勃興および変化
 ヘンドレイク部族のうちいくつかは、グバージ戦争の勝利の後にすら、北方の母国に戻ることを拒否したらしい。(なぜなら光が闇に置き換わっただけだから?)そして北方のダラ・ハッパの征服者たちが暗黒に対して反乱を起こし、ドラゴンの教えを受け入れている間に、彼らは「嵐の山脈」の裾野に留まり、「ラーンステイの同朋団」が彼らの指導者を選出していたのだろう。Joerg氏はこの頃のヘンドレイク人のグバージ戦争の残党は、特に「舞踏と狩猟団」と戦うことも、従うこともなかったのだろうと推測している。(彼はアエオル派がヘンドレイク「部族」の中で徐々に勢力を回復したのだろうとも考えている。しかしPeter氏はヘンドレイク人は氏族連合として以上の中央集権的体制を持ったことがなく、伝統的なオーランス人としての「自由な野蛮人」のやり方を保っていたのだと考えている。(詳しくは別紙のJoerg氏とPeter氏の相違を見ること)


 私見だが、エズカンケッコはラリオスの「暗黒帝国」と友好的で、その結びつきから多大な利益を得ていたと考えている。619年から623年はGeorgin氏がトロウル族の文化とカルトについて「一なる老翁」に報告している。(Troll Godsの付録: Dagobard Paperを参照のこと)


http://glorantha.kondalski.org/g9index/0021.html
Joerg:
<<That has been renamed in Thunder Rebels. I've been convinced since that riverine names aren't quite the hallmark of Heortling tribes or confederations. Mountains are more like it... >>

<<David Cake氏の但し書き:君が言うように、キトリ族の「帝国の時代」の歴史はかなり不明瞭である。ある時期、おそらく「第二期」に、そして「一なる老翁」の死後に、トロウル族と人間双方の勢力が移動して、その体制をなんらかのかたちで変えたのだろう。

私は一度Book of Drastic Resolution: Darknessのためにキトリ族の歴史を書こうとしたが、Gregが自分がそれについて書いていると言って釘をさした―だから、キトリ族の全ての歴史は謎であるだけでなく(グローランサでは当たり前のことだが)謎のままにしておくことが公式のやり方であるようだ。

私の「帝国の時代」についてのもっとも良い推測としては、キトリ族が「一なる老翁」の統治の工作員たちであり、彼の死とともに彼らは避難し、トロウルのある部族に避難所の提供を求めたのだと思う。そして人間とトロウル族が混ざり合うことになったのだろう。>>


 諸帝国の侵略と機械戦争 907年より917年
 Shannon Appelcline氏が彼のTradetalk誌に掲載された Kingdom of Nightの非公式記事で多くを書いているが、ヘンドレイキの地は紛争が絶えなかった。それはこの地が諸帝国の代理戦争の地のひとつとして用いられたからであり、「機械戦争」はそれにまつわる10年間続いた包囲戦の名前だった。勝利とロクシル市(リルケットとも呼ぶ)の劫掠はヘンドレイキの地の構造に影響を与えたかもしれない。「夜の王国」は「ユーフの地」の不承不承の同盟者であったから。

 機械戦争のオーランス人英雄たち
「老人」ハランボス
「男前の」ヘルドレッド
「めちゃめちゃな」ヴァラントル
「メルデック族の禍」レンヴァルド
ヴァンダーナ



 大閉鎖のケタエラへの到達とEWFの指導者の死 930年から935年?
 エズカンケッコは真正黄金部隊を迎撃するために軍を派遣したが、ドラゴニュート族が(EWFの指導者の暗殺のときのように)援軍を必要としなかったことは明らかのように思われる。そして宗主王Darnvolath(Thunder Rebels p.152を参照のこと)と避難民はドラゴンパスからヒョルトランドに流入した。(私はEWFのアランゴルフの司祭達が政治を左右していた頃の宗主王と彼らの関係についてなにか言えるほど知っているわけではないし、ヒョルトランドへの避難民と指導者達がどのように元々いた原住民と新しく流入した民の問題を解決したか知らない。)Joerg氏はこの北の民が南に流入した時に、大きな変化が起こったと考えているが、Peter氏は彼に同意しないで、Orlanth is DeadのQuestionaireにほのめかされているように、Dragonkillで充分に死んだので、大した変化は起きなかったと考えているのかもしれない。この頃、ヘンドレイキランドはヒョルトランドと名前を変えられたのかもしれない。アラコリングが北方の地の民をEWFから解放したからだ。(Peter氏はターシュ人は系統から言ってむしろヒョルト人に近いが、後にアラコリング人のやり方に転向したと考えているようだ。(「黒い牙のイラロ」がアラコリングの子孫と名乗ったことなど))



 ファラオの支配 (1313年)と伝説の戦い(1318年)、ドラゴンパスへの入植(1325年、首長コリマー)
 首長コリマーと巡礼者サーターの双方が同名のヒョルトランドの氏族、「年代記」で言うオルシャンティから出ていることは興味深い。Peter Metcalph氏の考えからすると、この氏族にはラーンステイ兄弟団と関わりがあるのかもしれない。(Glorantha: Introduction to Hero Warsを参照のこと)そしてヒョルトランド人はこの時期に非常に大きな社会構造の変化をしたのかもしれない。四つの伯爵Earl領としてヒョルトランドを四つに分割する川で、そこに隆起する山地で分け、その下に多くの男爵領を設定したらしい。(一説にはEarl制はVingkot王朝以来のもともとオーランス人の制度らしい。(Wesley's Gwandorling Sagaなど)しかし西方起源だという説をJoerg氏は支持しているようだ。)少なくとも言えることは、それぞれの伯爵領は、いわゆるオーランス人の部族や氏族の体制より、より固定された体制のように思えることである。(政治的ないかなる体制も、オーランス人にかかっては束の間のものらしいが…)

 そしてこの時代に、ヴォルサクシ族(ヴォルサクサール伯爵領?の一部)がホワイトウォール市に拠ってファラオのヒョルトランドの統治に対して抵抗を始めた。(Barbarian Adventuresの9ページを参照のこと)Peter氏はVolsaxarはもともとファラオの統治にたいして反対していたのでヘンドレイキ全土の体制から離れたと考えているらしい。(しかしJoerg氏はヴォルサクシ族が完全にヒョルトランド本土から分離したのはキトリ族とサーターのターカロール王がドラゴンパスへの交易流通路を巡って争い始めた時に始まったと思っているらしい。)私はファラオがこの時期、ヒョルトランドの「黒いアーカット」のカルトを弾圧していたと思う。

 Joerg氏はマルキオン教の影響(アエオル派教会?)の影響力がこの時期のヒョルトランドでは大きく、ファラオは彼らの勢力を自分の六つに分割される「聖王国」の一つの代表者として用いていたらしい。(しかしPeter氏はこの見方に必ずしも賛成していない。)ベリンタールは六人の政治指導者と六人の宗教指導者に彼の「驚異の都」に入る権限を与え、彼の統治のやり方は比較的六つの独立領の統一と安定に寄与していたようだ。と言ってもそれ以前の「一なる老翁」の統治について我々はよく知らないが。(「過ちの血の森」の混沌の勢力との争いが、ヴォルサクサール族とファラオ支持の氏族連との争いを緩和していたとJoerg氏は考えている。)


 ファラオに対する闘争
族長コリマー
「槌の」グスティン(Storm Tribe p.236)
「緑の」ハルドラード、ヴォルサクシの創始者?(Barbarian Adventures p.9)


アンドリン王((Glorantha ITHW p.142参照)ファラオ支持のヒョルトランド宗主王?)


 ルナー帝国に対する代理戦争(1545年、ファージェンテスが属領地総督に就任、から1616年、最後の「運命と死の競技会」:ルナーのジャ・イールの襲撃
 



 「海の狼」のスリーステップ諸島からの襲撃:1606年

 ルナー帝国は徐々にドラゴンパス地方と海に向かう地域、ケタエラへと影響力を拡大した。ルナーと同盟した西方のグレイメインの侵略はエスロリアを弱体化させた。Joerg氏はブライアン王のゲリラ戦がこの時代に始まったと考えている。そしてセシュネラから来た冒険者達が機会をつかみ、彼らがヒョルトランドの玉座を得ることにつながった。

 Joerg氏とPeter氏は最も激しくこの時代と、リチャード王の征服の手法、彼がヒョルトランド南部で行ったことについて論争した。

「虎心王」リチャード 1617年から1620年
 Reaching Moon Megacorp(多くのグローランサ関連のLarpやコンヴェンションの開催、Tales誌の発刊を行っている会社=団体)の非公式設定では、リチャード王がロカール派で、決して異教やアエオル派に転向したりはしていないと言っている。私はJoerg氏がこのことについてどう考えているのか知らない。私はリチャード王がアエオル派に転向したのではないかと推測している。Peter氏はリカード(リチャードのヒョルト人読み)は彼の短い治世の間、特に宗教的な改革は必要とされず、したがってなされなかったと考えているようだ。


 ルナー帝国の侵略
 私は現代の英雄戦争の時代におけるヒョルトランドの設定についてよく知らない。リカード王が1620年にルナーに負けた後、ウェネリアから来た傭兵サニュエルSanuel男爵(私はなぜ彼がルナーが彼を支持しているにも関わらず未だに「男爵」なのか知らないが)がヴォルサクシ地方で指導力を発揮しているようだ。

 ホワイトウォールの包囲の終わり 1621年
 ホワイトウォール市は魔術的、宗教的に重要で、他にも世界各地に多くのオーランス信仰の地域があるにも関わらず、最後のオーランス人の拠点であるようだ。(この理由について知りたいのなら"Orlanth is Dead"を読むこと)「昇月の寺院」の旧ダンディーロス部族の地での建設。

「オーランスの死」
http://groups.yahoo.com/group/HeroWars/message/6870
http://groups.yahoo.com/group/HeroWars/message/6892


 ジャルンの褐色の龍の出現

参照文献として、Lokarnos.comのサイトを推奨します。また非公式の「ラーンステイの兄弟団」の記事を見てください。またYahooグループのWhitewallのリストでも非常に興味深い議論が行われていました。


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