オイナ(聖伝)について・・・


アイヌ叙事詩 ユーカラ集 第1〜9巻に限定・・・

  オイナは、久保寺逸彦博士の平賀エテノア媼などありますが、
ここでは省きます。オイナは、アエオイナカムイ=オキクルミ
アイヌの始祖神の物語
アイヌにものを教えた文化神として崇められている。
アエオイナカムイ=忘れず何処までも覚えている神
ワカルパ翁の兄ウトムリウク翁のTusunabanuにOina と
云う言葉が出て来ます。

似た存在にアイヌラックル(人間臭い神)が存在しますが
Pon rehe アイヌも渾名を持つと同様に渾名でしょう。
鍋沢ユキのPonokikurumi yayeitak を読むと分かる。
ワカルパ翁は、アイヌラックル=オキクルミと云っている。
オイナは日高沙流地区が舞台・・・ユーカラは、石狩湾地区が舞台

※ 狩りの女神 Hashinau kamui も Oina kamui です。

ユーカラ集第1巻「ポンオイナ=小伝」と第2巻
「ポロオイナ・カムイオイナ」を読んで
気が付いたことを書いてみます。

オキクルミ     赤崎いくや 画    



第1巻のポンオイナは、幌別 金成マツ所伝筆録のもので日高沙流にはないものです

第2巻には、カタイソウク(幌別)金成マツ筆録・・・ポロオイナ(大伝)ポイヤウンペが出てくる
@サンキロッテ=和名留吉(日高新冠)・・・・・・・・・・・ポロオイナ
Aサンキロッテ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・カムイオイナ
Bタウクノ(日高沙流紫雲古津 ワカルパ夫人)・・・・・カムイオイナ
Cタウクノ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・カムイオイナ
Dヤイプニレ(日高沙流新平賀 サンゲレキ家の嫁)カムイオイナ

Aのカムイオイナに出てくる・・・六度飯を炊くは、余市姫にも出てくる
Bには、ニシマク村が出てきて魔神の妹が輪の形の刃物の武器を使う・・・朱の輪姫・ニシマク姫
ニシマク村をイメージ出来る描写があって・・・私はようやく解った

最初ユーカラを知りたくて、第3巻から読み始めて・・・図解しながら読んで・・・
第4巻の朱の輪姫=神の世界が出てくるし・・・
第5巻のニシマク姫=神の世界が出てくる
第6巻の余市姫で六度飯を炊くは、沙流ではカムイオイナに出てくること

どうしても解らないこと・・・何故?神の世界が出てくるのだろう
これでは、全くイメージ出来ないし、ポイヤウンペは架空の人物になる

沙流のワカルパ翁のユーカラは、構成と言い・・・整合性・詳細描写が精確
余計な飾りがないこと・・・質が違っている。

幌別のユーカラは、沙流のカムイオイナから材料を借りてきて創作したものが
多いことに気が付き・・・完全に創作の楽しむユーカラだと思います。
金成マツさんは、十一年間沙流の平取に居た時に周りから聞いたのでしょう。
しかし、それは伝承では無くて当時、流行っていた創作ユカラ・・・

古代・中世の蝦夷を想像し得る真のユーカラは、ワカルパ翁のものしかないと言うこと
シッカリ確認出来ました。
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オイナ(タウクノ所伝)に出てくる・・・
「ユーカラ オイナを人間の慰み楽しみにすべく・・・」われ言った
としているユーカラは、カムイユーカラを指しているのであって・・・
人間のユーカラは、出来ていないので・・・
人間のユーカラは、決して楽しむものではなくて・・・アイヌの運命に関わる
機密情報を伝えたもので、極一部の首領達にしか渡らなかったものでしょう。

いい加減な者とか和人には、真義を明かさず・・・
最後のワカルパ翁が金田一博士に初めて教えたことなのでしょう。

金田一博士は、全てを知っていたけど・・・アイヌ文化の研究の道が跡絶えること
危惧して・・・胸に秘めて逝ったのでしょう・・・