◆2.方便品 それまで深く静かに瞑想に入っておられたお釈迦さまが、いままでの瞑想をとかれ、しかも、お立ちになって、自ら語りはじめられました。これは大変めずらしいことです。たいていの場合は、誰かの問いに対して、教えを説かれはじめますが、今回はお釈迦さまの方から語りはじめられたのです。さらに、お立ちになって教えを説かれるというのは、今までとは違う特別な教えを説こうという、お釈迦さまの思いがあらわれています。いよいよ舎利弗にむかって、説かれはじめました。お釈迦さまが悟られたことがらは、仏と仏のみがよく理解できるのであり、人々に直接説いても難信難解であって、疑問を持つだろうから、これまでは直接に真実は説かずに、わかりやすい方便のかたちで説いてきた。さらにこれ以上は教えを説くことはしないというのです。舎利弗をはじめ多くの人々は大変驚きました。というのは、これまでお釈迦さまが教えを説いてこられたのは方便であって、真実そのものではなかったからです。しかも、その真実を明かさないというのです。だまってそうですかというわけにはいきません。みんなの気持ちを代表して舎利弗がお釈迦さまに真実の教えを是非説いてくださいと三度お願いします。そしていよいよ、その真実が説かれることになりました。ここでは、なぜお釈迦さまが悟りを開かれてすぐに法華経を説かれずに、いろいろな教えを説いてこられたのか、さらに、お釈迦さまは一大事の因縁があるから、この娑婆世界において法華経を説かれるのだと、その深い知恵と慈悲を示されています。 〔方便 ・教育の項参照〕 |
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