飯蛸(いいだこ)にパッチ穿(は)かしたよう。 解釈:要領が掴めず、仕事のはかどらない人のたとえ。 毬栗(いがぐり)も中から破(わ)れる。 解釈:時期がきて年頃を迎えれば、自然に色気は付くものだ。 類義:豌豆(えんどう)は日陰でも弾ける。陰裏(かげうら)の桃の木も、 時が来れば花咲く。 烏賊(いか)の甲より、年の劫(こう)。 解釈:烏賊の甲は堅いばかりで役に立たないが、年上の人の経験には教えら れることの多いものである。 類義:亀の甲より、年の劫。 生き馬の目を抜く。 解釈:ずるく立ち回り、他人を出し抜いて素早く利益を得ること。生きてい る馬の目を抜くほどすばしこいという意。 類義:生き牛の目をくじる。生き牛の目を抜く。 生簀(いけす)の鯉。 解釈:生簀に飼われている鯉のように、死ぬ運命が決められていること。 類義:屠所(としょ)の羊。 砂(いさご)長じて巌(いわお)となる。 解釈:小さな砂が大きな石に成長する。永く栄えることを祝っていう言葉。 大きな物も、元は小さかったのだから、小事をないがしろにしてはいけないと いう意味にも用いる。 類義:塵も積もれば山となる。 参考:巌くずれて砂となる。 石臼を箸に刺す。 解釈:石臼を箸に刺せとだだをこねる。無理難題を言う。 類義:石臼を針にする。石臼を楊枝にする。斧を研いで針にする。豆腐を藁 (わら)で繋ぐ。 石が流れて木の葉が沈む。 解釈:物事が逆になったたたとえ。 類義:石が浮かんで木の葉が沈む。西から日が出る。 石地蔵に蜂。 解釈:何の痛痒(つうよう)も感じないことのたとえ。 類義:牛の角を蜂が刺す。 石に立つ矢。 解釈:昔、中国の楚(そ)の熊渠子(ゆうきょし)が狩りに行って、虎と見 誤って石を射たところ、矢が石を割ったという故事により、一念をもって事を 行えば大概の事はできるというたとえ。 類義:雨垂れ石を穿(うが)つ。一念岩をも透す。一念天に通ず。精神一到 何事か成らざらん。念力岩をも透す。 石に花咲く。 解釈:現実に起こる筈のないことのたとえ。 類義:石の上の花。岩に花。男猫(おとこねこ)が子を生む。川の石、星と なる。 石に蒲団は着せられぬ。 解釈:墓石になってからでは、蒲団を着せて介抱するわけにもいかない。親 が生きているうちに、せいぜいいたわって孝行をすることだという戒め。 類義:孝行のしたい時分に親はなし。 イスカの嘴(はし)。 解釈:イスカという鳥の嘴は、上下がぴったり合わず、交差しているところ から、物事が食い違って思い通りにいかないこと。 類義:イスカの嘴の食い違い。 何れ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)。 解釈:どちらも同じ科の花で、区別しにくいことから、どれも優れていて選 択に迷うときにいう。 葦巣(いそう)の悔(くい)。 類義:鳰(にお)の浮き巣。 磯の鮑(あわび)の片思い。 解釈:鮑は一枚貝であることから、片思いにかけて、言った言葉。片恋とも いう。 類義:鮑の貝の片思い。 鼬(いたち)無き間の貂(てん)誇り(ぼこり)。 解釈:自分より強い者のいない所で大威張りする者を嘲笑する言葉。鼬は貂 を捕らえ、貂は兎を捕らえる。 類義:鼬無き間の鼠。鳥無き里の蝙蝠(こうもり)。 鼬の最後っ屁(ぺ)。 解釈:追い詰められた鼬が尻から悪臭を放って敵をひるませるように、進退 極まって遂に非常手段に訴えること。また、最後になって醜態を演ずるたとえ。 鼬の道切り。 解釈:鼬が人の前をよぎると、交際や音信が途絶えるとして忌む俗信。また、 鼬は同じ道を二度通らないということから、往来とか付き合いが絶えること。 類義:鼬の道切りは物忘れの催促。 一寸の虫にも五分(ごぶ)の魂(たましい)。 解釈:つまらぬと思える者にもそれ相当の意地や思慮があるから、侮っては いけないというたとえ。 類義:粉糠(こぬか)にも根性。蛞蝓(なめくじ)にも角。匹夫(ひっぷ) も志を奪う可からず。痩腕にも骨。 参考:Even a worm will turn.(虫けらさえも向き直って来る) 一石二鳥(いっせきにちょう)。 解釈:一個の石で二羽の鳥を落とすことで、一度の労で多くの利益を得るこ と。 類義:一挙両得。 反義:二兎(にと)を追う者は一兎も得ず。 参考:To kill two birds with one stone.の訳語。 一匹狂えば千匹の馬が狂う。 解釈:暗示にかかりやすい群集心理をいう。 類義:一犬影に吠ゆれば万犬声に吠ゆ。一鶏鳴けば万鶏(ばんけい)歌う。 付和雷同(ふわらいどう)。 鷸蚌(いっぽう)の争い。 解釈:鷸(しぎ)と蚌(はまぐり)が争っているうちに、両方とも漁師に捕 まってしまったということから、無益な争いは、共倒れになり、利益を第三者 にさらわれることになるという戒め。 類義:漁夫の利。犬兎(けんと)の争い。 犬一代に狸一匹。 解釈:何時も獲物をあさっている犬でも、狸ほどの大きな獲物を捕るのは一 生に一回くらいのものだ。よい機会に出会うことは、そう滅多にはないこと。 類義:鍛冶屋一代の剣。 犬が西向きゃ、尾は東。 解釈:分かりきった事を、わざわざ取り立てていう言葉。 類義:雨の降る日は天気が悪い。 犬と猿。 解釈:仲の悪いたとえ。 類義:犬と猫。犬猿の仲。氷炭(ひょうたん)相容れず。水と油。 犬に肴の番。 解釈:番をさせる者の選び方が適当でなかったことのたとえ。 類義:盗人に鍵を預ける。猫に肴の番。 犬の一年は三日。 解釈:犬の成長の早いことをいう。 類義:猫は三月を一年とする。 犬の川端歩き。 解釈:奔走しても何も得られないことのたとえ。金銭を持たずに目的もなく 店先をぶらつくこと。 類義:犬の子のただ歩き。 犬の遠吠え。 解釈:弱い犬が遠くから吠えかかることで、臆病者が陰で虚勢をはり、陰口 をたたくことのたとえ。 犬骨折って、鷹の餌食。 解釈:苦労して得た物を他人に取られてしまうこと。犬が骨折って追い出し た獲物を鷹に捕られることをいう。 類義:犬が追い出した鶉(うずら)を鷹が捕る。 犬も歩けば棒にあたる。 解釈:出しゃばると思わぬ災いに遭うという戒め。出歩いて思いがけない幸 運にあうという意味にも用いられる。 類義:歩く足には棒あたる。 参考:Every dog has his day.(誰にでも得意な時代がある) 犬も朋輩(ほうばい)、鷹も朋輩。 解釈:同じ主人に仕えれば、職分は違っても気が合わない者でも同僚である。 類義:鷹も傍輩(ほうばい)、犬も傍輩。 猪は七代目(しちだいめ)で豕(いのこ)になる。 解釈:変わらないようでも長い年月にはそれなりに変化していくことのたと え。豕は豚のこと。 井の中の蛙(かわず)、大海を知らず。 解釈:世間知らずを嘲笑していう言葉。蛙(かえる)が井戸の底にいて、外 界の事は何も知らないように、外に広い世界があることを知らず、自分の狭い 範囲での見聞や知識が全てであると思い込んでいること。 類義:天水桶(てんすいおけ)のボウフラ。夏の虫、雪を知らず。 茨(いばら)に棘(とげ)あり。 解釈:薔薇(ばら)の花に棘があるように、美しいものには隠れた恐ろしい ものがある。 類義:棘のない薔薇はない。 |