老牛(ろうぎゅう)犢(とく)を舐(ねぶ)るの愛。 解釈:親が子を甚だしく愛する様。また盲愛して子の前途を誤られること。 「犢」は子牛の意、「舐」は舐める。 反義:獅子の子落とし。獅子の子育て。 労して功無し。 解釈:苦労ばかりで、その効果が見えないこと。 類義:骨折り損の草臥れ儲け。 老少不定(ろうしょうふじょう)。 解釈:老人も若者もどちらが何時先に死ぬか分からないこと。人間の命数は 様々で年齢には係わらないということ。 狼藉(ろうぜき)。 解釈:散乱した様。無法な行い。狼が草を藉(し)いて寝た跡の乱雑さから。 蝋燭(ろうそく)は身を減らして人を照らす。 解釈:自分を犠牲にして、他人のために力を尽くすこと。 壟断(ろうだん)。 解釈:丘の高く切り立った所。高い所に登って市場の様子を窺い、金儲けし た男の話から、利益を独り占めすること。 老婆心(ろうばしん)。 解釈:行き過ぎた親切。年取った女が、親切のあまり余計なことまで世話を 焼くこと。 類義:婆心。老婆心切。 老馬の智(ち)。 解釈:経験を積んだ者は、物事の方針を誤らないということ。また、愛を受 けた者が主人の恩義を忘れない意。 類義:馬に道を任す。老馬道を知る。 隴(ろう)を得て蜀(しょく)を望む。 解釈:人間の欲望には限りがなく、一つの望みが叶うと更にその上を望むた とえ。「隴」は中国甘粛(かんしゅく)省南東部の地、蜀は中国の地名・国名。 類義:千石取れば万石羨む。欲に底なし。 参考:Give him an inch, and he'll take an ell.(人に一インチを与えよ、 さすれば一エルを欲するであろう) ローマは一日にして成らず。 解釈:如何なる大事業も一朝にして成るものではなく、長い年月と苦労を要 する。 参考:Rome was not built in a day.の訳語。 櫓櫂(ろかい)の立たぬ海もなし。 解釈:どんな難事にも、何かしら方策は見つかるものだというたとえ。 反義:櫓も櫂も立たぬ。 魯魚(ろぎょ)の誤り。 解釈:魯と魚とは字形が似ていて誤りやすいことから、文字の見誤り、書き 誤りをいう。 類義:魯魚烏焉(うえん)の誤り。魯魚亥豕(がいし)の誤り。 六月無礼。 解釈:旧暦六月は暑さも厳しく、多少服装が乱れる無礼も許されるというこ と。 陸地(ろくじ)に舟漕ぐ。 解釈:陸で舟を漕ぐというように、不可能なことのたとえ。 類義:木に縁(よ)りて魚(うお)を求む。舟を陸に推す。 六十年は暮らせど、六十日は暮らし兼ねる。 解釈:ただ生きているだけなら六十年という長い年月も暮らせるが、世間体 を保つとなると、僅か六十日でも中々難しいものである。 六十の手習い。 解釈:六十歳になって字を習い始める。晩学のたとえ。 類義:老いの学問。七十の手習い。八十の手習い。 六十の三つ子。 類義:七十(しちじゅう)の三つ子。 六菖十菊(ろくしょうじっきく)。 類義:十日(とおか)の菊、六日(むいか)の菖蒲(しょうぶ)。 碌(ろく)でなしが人の陰口(かげぐち)。 解釈:役に立たない人間は、兎角人の陰口を利くものである。 櫓(ろ)三年に棹(さお)八年。 解釈:櫓で舟を自由に操るには三年、棹を使いこなすには八年の修業が必要 だ。棹の方が櫓よりも難しいこと。 類義:櫓三年に櫂の一時(いっとき)。 盧生(ろせい)の夢。 類義:邯鄲(かんたん)の夢。 六根清浄(ろっこんしょうじょう)。 解釈:「六根」は仏教用語で、感覚や迷いを生じさせる六欲(目・耳・鼻・ 舌・身・意)。六根から生ずる迷いを断って清らかさを保つ意。 驢(ろ)に騎(の)りて、驢を覓む(もとむ)。 解釈:求めている物が直ぐ側にあるのに、遠くに求める愚かさのたとえ。 類義:牛に騎って牛を覓む。負うた子を三方に探す。背中の子を三年探す。 驢馬(ろば)が旅に出掛けたとて、馬になって帰って来る訳ではない。 解釈:賢い人なら、旅に出て見聞を広めるということもあるが、愚かな人が 旅をしたところで、出発前と何ら変わるところもなく帰って来るものだという意。 驢鳴犬吠(ろめいけんべい・ろめいけんばい)。 解釈:驢馬(ろば)の鳴き声と犬の吠える声。聞くほどの価値の無い物のた とえ。 露命(ろめい)を繋ぐ。 解釈:露のように儚(はかな)い命を辛くも保つ。細々と暮らしていること。 櫓(ろ)も櫂(かい)も立たぬ。 解釈:どうにも手段がないこと。 類義:櫓でも櫂でも行きにくい。 櫓(ろ)を推して、櫂(かい)は持たれぬ。 解釈:同時に二つの事はできないというたとえ。 類義:太鼓を打てば、鉦(かね)が外れる。 驢(ろ)を呼んで、馬(ば)となす。 解釈:正しいことを間違いだと言ったり、間違っていることを正しいと言っ て押し通したりすること。 類義:馬を牛という。馬を鹿。鴨を鶩(あひる)と支える。鷺(さぎ)を烏。 鹿を指して馬と為す(なす)。 論語読みの論語知らず。 解釈:書物に書いてある事を字面(じづら)の上で理解するだけで、実行で きない者のこと。 類義:論語読みの論語読まず。 論に負けても実(じつ)に勝つ。 解釈:議論では負けても、実質面で勝てばよい。実利がある物を取った方が ようということ。 類義:名よりも得取れ。名を棄てて実を取る。理に負けて非に勝て。 論に負けても理に勝つ。 解釈:議論では負けても、道理は自分の方が正しいという意。 類義:論に負けても実(じつ)に勝つ。 論より証拠。 解釈:物事を明らかにするには、口先だけの議論よりも、証拠を示すことが 大切であるということ。 類義:証拠が先。論は後(あと)、証拠は先。 参考:Example is better than precept.(範例は教説に勝る) |