こ5 金刀比羅宮
 
 金刀比羅宮コトヒラグウ 香川県讃岐国多度津郡琴平町鎮座、旧国幣中社
 もとは象頭山金比羅大権現と称し、本社の社地にあった松尾寺の伽藍守護神として祀
られていたものである。金比羅コンピラとはサンスクリットのクンピーラKumbhiraの漢訳で
ある。インドのガンジス川に棲息する鰐の神格化した名で、仏法の守護神として薬師十
二神将の一であり、奈良の新薬師寺に有名な像がある。鰐神は竜王或いは海神として雨
乞いや海難祈願に応える善神とされ、それがわが国に垂迹して金比羅大権現となった。
 本社は長保三年(1001)に勅命による修築があったのを始め、永万元年(1165)には
崇徳天皇を配祀した。祠職には神職と社僧とが並んで奉仕し、戦国時代には別当に宥嚴・
宥遍・宥盛と傑僧が続いて、天正元年(1573)には社運大いに揚り、更に領主長曽我部氏
と藩主生駒氏の庇護もあって発展を続け、徳川氏からは社領三百三十石の朱印状を受け
ていた。
 
 寛文十年(1670)に神職社僧の争訟の末、神職は追放となってからは、別当寺金光院
の支配に帰したまま明治維新となり、神仏分離に際会して金比羅大権現を改称して、大
物主神を祭神とする神社となって、別当を廃して再び神職が置かれた。かように制度上
では著しい変迂を辿ったけれども、信仰の実態に変化はなく、海上安全の霊験をもって
一貫し、依然として全国的な信仰を今日に持続している。境内は象頭山の山腹一帯にわ
たっており、本殿以下の殿舎は華麗で整備せられ、宝物には大納言為家書・藤原隆能画に
成る『なよ竹物語絵巻』など十一点の重文などがある。
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関連リンク [年中行事「12 十二月の行事(年越し)」]

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