0201a植物の科名いろいろ [ア]〜[オ]
 
イネ科(もと禾本カホン科) 単子葉植物
 単子葉植物の中の特殊化した群で、世界中に広く分布する。700属約1万種が知られ、
 種子植物の生える場所には殆ど見られ、南極大陸でも半島部には自生している。わが
 国には100属280種がある。
 草本、稀に木本で、茎は円筒形となり、節があって、節間は中空のことが多い。葉は
 茎に2列に互生して付き、線形稀に披針形ヒシンケイとなり、平行脈を持ち、縁や脈はざら
 つくことが多い。基部は葉鞘ヨウショウとなって茎を包み、その縁は重なり合っていて、特
 別の場合の外は筒形に合生することはない。葉鞘の上部内側には膜質の小さい葉舌
 ヨウゼツがある。花序は円錐状、穂状、手形状など、小穂は1個又はそれ以上の小花を左
 右2列に互生し、基部には2個の包穎ホウエイがあって、これを保護している。小花は外
 側に護穎、内部に内穎が各1個あって、その間に退化した真正の花が1個ずつ着く。
 花被片は退化して2個、稀に3個の鱗被リンピと云われる微小な器官になり、開花時に
 は水分を含んで膨れ、穎を開いて雄蘂や柱頭が外に出やすくする役目がある。雄蘂は
 3個のことが多く、雌蘂は1個1室で、中に1胚珠のある子房がある。柱頭は一般に
 2個。果実は穎果で種子には澱粉質デンプンシツの内乳がある。タケやササなどは習性が
 一般のイネ科と非常に違うので、タケ科として独立の科にする場合もある。
 [詳細探訪(稲作行事)]
 
イラクサ科 双子葉植物離弁花類
 草本又は木本。ときに刺毛がある。茎は長い靭皮ジンピ繊維を持つ。葉は対生又は互
 生、普通葉肉中に結晶体がある。托葉は離生又は合生、花は風媒花で、退化によって
 単性である。花序は集散状、花被は2〜5個で離生し、雌花では多少合生することが
 ある。雄蘂は花被片と同数、これと対生し、花糸は蕾ツボミのとき内曲する。子房上位、
 柱頭は毛状、卵子は1個で、普通直生する。果実は小さな痩果ソウカで、胚乳は油質。花
 被はときに痩果を包む。約40属500種が世界に広く分布し、わが国に11属がある。
 
[ウ]
ウコギ科 双子葉植物離弁花類
 全世界の温帯から熱帯に亘って広く分布し、約65属800種以上の木本、又は草本からな
 る。わが国にはタラノキ属、キズタ属、フカノキ属、ヤツデ属、カクレミノ属、ウコ
 ギ属、タカノツメ属、ハリギリ属、ハリブキ属、トチバニンジン属などのものが自生
 する。この科には薬用植物のチョウセンニンジンがあり、わが国でも福島・長野・島根
 の各県で栽培されている。ハリギリは用材となり、ヤツデは庭木とし、ウド・タラノキ
 ・ウコギの若芽は食用にする。
 
ウマノスズクサ科 双子葉植物離弁花類
 草本、低木又は蔓性で、葉は互生し、托葉はない。花は両性で、単出又は穂状か総状
 花序になり、左右相称、又は放射相称である。花被は筒状か鐘状で、3裂するか一側
 だけ大きくなる。雄蘂は普通は6〜12個、葯は花柱に着生するか離れている。子房は
 下位で4〜6室、花柱は4〜6個、ときには合生して柱になる。果実は朔(草冠+朔
 )果か液果状になる。世界に約5属500種があり、主に熱帯に分布する。わが国にはウ
 マノスズクサ属4種、カンアオイ属30種内外が自生する。カンアオイ属を独立させて、
 カンアオイ科として扱うこともある。
 
ウリ科 双子葉植物合弁花類
 卷き髭ヒゲのある蔓性草本又はやや木質の植物。花は単性で雌雄同株又は異株で放射相
 称をなす。雄蘂は離生又は癒合し、普通3個ある。雌花の萼筒は子房の合着する。子
 房は3個の側膜胎座を有し、胎座は中心において互いに接触する。種子は普通扁平で、
 胚乳はない。約100属860種が主として熱帯及び亜熱帯に分布する。わが国には5属8
 種が自生する。
 
ウルシ科 双子葉植物離弁花類
 高木又は低木で樹脂道があり、果実は石果状で中果皮に樹脂がある。ウルシは樹脂か
 ら漆を採り、ハゼノキの果皮から木蝋モクロウが採れ、ヌルデの葉の虫瘤ムシコブである五倍
 子はタンニン原料となり、マンゴー・ピスタシオの果実、またカシューの種子は食用に
 なるなど、ウルシ科の植物は用途が多い。暖帯及び温帯に分布し、世界に73属600種あ
 り、わが国にはウルシ属5種、チャンチンモドキ属1種が自生する。
 
[エ]
エゴノキ科 双子葉植物合弁花類
 低木又は高木。葉は互生し、単葉で托葉はない。花は放射整正で両性、頂生或いは腋
 生エキセイの総状又は複総状をなす。花冠は4〜7裂、稀に全裂する。雄蘂は花冠の裂片
 と同数又は倍数である。子房は上位又は下位で3〜5室あり、花柱は細くて3〜5裂
 し、胚珠は各室に1又は数個あり、倒生する。果実は核果又は朔(草冠+朔)果で宿
 存萼を付ける。北半球の暖帯から熱帯に分布し、8属100種を産する。
 
[オ]
オオバコ科 双子葉植物合弁花類
 多くは草本、葉は互生で根出し、太い脈は並行する。托葉はない。花は穂状又は頭状
 花序、両性花で放射相称をなす。萼は筒形で先が4歯になり、花冠は乾膜質で4裂す
 る。雄蘂は4個で花冠から突出する。雌蘂は1個、子房上位で2心皮2室である。果
 実は蓋果ガイカで、横に割れ目が出来、蓋になって外れる。世界に3属約200種、わが国
 には1属4種が自生し、2種が帰化している。
 
オシロイバナ科 双子葉植物離弁花類
 草本又は木本。植物体中に蓚酸シュウサン石灰の結晶からなる針晶体を持っている。葉は対
 生、稀に互生し、托葉を欠く。花序は普通偽散花序で包ホウがある。花は両性又は退化
 による単性で、放射相称をなし、花冠を持たず、花被は5個の合一する花葉からなり、
 その形態色彩は多種多様、屡々花冠様をなし、花後常にその全体が、又はその下部が
 宿存する。これらはときに膨大して木質化し、全く果実を包むことがある。雄蘂は1
 〜多数、下部は互いに合一して子房を包囲する。雌蘂は1心皮からなり上位。果実は
 胞果、普通花被によって密に包まれる。種子は多くは粉状の胚乳を持つ。熱帯に分布
 し、28属250種あり、殊にアメリカに多い、わが国には自生はない。
 
オトギリソウ科 双子葉植物離弁花類
 草本又は木本で葉に透明な油点がある。葉は対生し、稀に輪生、又は互生し、托葉を
 欠く。花は虫媒花、両性で、放射相称をなし、2枝集散花序か又は単生する。萼片は
 覆瓦フクガ状で5、4個、花弁は覆瓦状又は回旋状で、萼片と同数ある。雄蘂は多数、
 多くは3〜5体雄蘂ユウズイをなしている。子房1個で上位、3〜5個の心皮からなる。
 花柱は心皮と同数、稀に癒合する。果実は朔(草冠+朔)果、核果、稀に液果様で、
 種子には胚乳がない。世界に17属、多くは熱帯に産し、わが国には5属がある。
 
オミナエシ科 双子葉植物合弁花類
 一、二年草又は多年草で、乾くと一種の香りがある。葉は単葉又は複葉で、托葉はな
 い。花は両性、ときには単性で小形、やや左右相称、集散花序になる。花冠は合弁で、
 車状又は漏斗状、花筒の基部に膨れの部分又は距キョがある。雄蘂は普通4個で花筒に
 付き、花冠裂片と互生する。子房下位で3室からなるが、1室だけが結実する。果実
 は痩果で、種子には胚乳がない。世界に約10属400種、わが国に2属7種がある。
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