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ハチ刺されと症状

ハチ毒の成分とその作用ハチ刺されと症状アナフィラキシーショックハチ刺されと抗体価の変動

刺された後の症状は個人差が大きく,またハチの種類や毒の量,刺された場所やその時の体調等によっても反応が異なります.一般的には激しい痛みと刺された場所が赤くなったり腫れたりします.このような即時型の反応はハチ毒中のヒスタミンやセロトニンなどのアミン類の直接作用によるもので,普通数時間程度で消失します.

その後,遅延型の反応として刺傷後2~3日目をピークに1週間程度腫れが続くことがありますが,これはアレルギー反応によるものだと考えられています.症状は1週間程度で軽快しますが,腫れが引いた後もしばらく痒みが続きます.時にはもっと遅く,1週間位たってから症状が現れる場合もありますので注意してください.その他,軽症の場合でも蕁麻疹や体のだるさ,息苦しさを感じることがあります.

中程度の症状としては,のどがつまったような感じや胸苦しさ,口の渇き,腹痛,下痢,嘔吐,頭痛,めまいなどがみられます.

重症になると意識がハッキリしなくなり,さらに悪化すると,痙攣を起こしたり意識が無くなる他,血圧の低下がみられ,稀には死に至る場合があります.こうしたショック症状が現れるまでの時間が短いほど危険性が高いので注意が必要です.

子供の場合では,症状はひどい場合でも全身性蕁麻疹や血管性の浮腫などで,重症になることは少なく,ショック症状を起こすことは極めて稀とされています.


キイロスズメバチ刺傷による症状の経時変化

標準的な症状の発現経過をたどっている.

20分後 刺傷部の周辺が腫れる 30分後  腫れが拡がった 18時間後  刺傷部の下が腫れる
25時間後 腫れもピーク 50時間後 腫れが治まってきた 副腎皮質ホルモン含有の塗り薬

フタモンアシナガバチ刺傷による症状の経時変化

標準的な症状の発現経過をたどっている.

30分後 刺傷部の周辺が腫れる 28時間後 右手の甲全体が腫れる 3日半後 腫れもかなりひいた
7日後 刺傷部が潰瘍になっている 3ヶ月後 まだ跡が残っている 1年後 まだ少し跡が残っている

ハチ刺傷(ミツバチ)による遅発型反応の例

(ミツバチによる刺傷後8日目の様子)

刺傷後5日目より,刺傷部(黄色の矢印)周辺にしこりが見られ,7日目に発赤,腫脹が発現した.8日目にピークとなった後,徐々に快方に向かった.


刺された場所や被害の程度はについては,詳しい調査を実施していないため十分なデータがありませんが,頭部や手(腕)を刺される事例が目立ちます.これはスズメバチが黒い色や,動くものを攻撃することが多いためです.

名古屋市内で重症になった例は,庭で水撒き中にキイロスズメバチに腕を刺されたケースと,駆除作業中にコガタスズメバチに顔面を数カ所刺されたケースの2件を確認しているだけで,いずれも速やかな治療により事なきをえています.死亡事故は現在まで1件も発生していません.

ハチ刺されとその後の症状については,刺されてみないと分からないというのが実状です.しかしながら現在までの報告から,次のような条件に当てはまる人はハイリスク(危険性が高い)と考えられるので十分な注意が必要です.


 40歳以上の男性
 以前刺された時症状が重かった
 抗体価が高い