地方自治体議員の政務調査費は、本年4月から自治体で定める条例に基づいて支出されることになりました。文京市民フォーラムは本年4月1日より施行の政務調査費に関する区条例について
1)個々の支出目的、使途内容が明確に判断できる書類を作成し公開すること
2)個々の支出の際は領収書の添付を義務づけること
について区議会議員個人の賛否の意見を聴取するため10月16日付で公開質問状を提出しました。(回答期限10月30日)
都議会に対しても同趣旨の陳情を行い、都議会議員に公開質問状を提出しましたが、都議会議員個人の良識ある回答が多数を占める都議会会派の壁にさえぎられて生かされない実状が判明したため、区議会のありかたについても意見を聴取することにしました。
区議会議員の良識ある回答を期待していましたが、共産党を除いて中央の大政党の会派に所属する議員からの回答は無く、都議会と全く同様のパターンが見られ、期待が裏切られる結果となりました。
一部の議員からではありますが、誠意ある回答を頂いたことに敬意を表します。
設問1の「政務調査費の支出明細作成と公開、領収書添付」に対する賛否の回答結果は以下の通りでした。
自民党議員 回答せず
民主党議員 回答せず
公明党議員 回答せず
共産党議員 賛成の回答をされた議員名
板倉美千代氏、大村淳氏、金森久城氏、国府田久美子氏、小林進氏、
佐藤憲和氏、島元雅夫氏、関川今朝子氏、高畑久子氏
市民フォーラム議員 賛成の回答をされた議員名
木村民子氏、鹿倉泰祐氏、村越まり子氏
無所属議員 賛成の回答をされた議員名
前田くにひろ氏
設問2の「区議会の夜間開催」に関する賛否に対しては、ご回答をいただいた全員が「賛成」でした。
設問3の「地方議員の会派は政策集団とはいえない」「地方議会に会派は不要」という意見に対しては、ご回答を頂いた全員が「そうは思わない」とされ、以下のコメントを頂きました。
板倉美千代議員:
乳幼児医療費無料化、住宅基本条例、介護保険の利用料、保険料の減免の条例提案、予算修正など党独自でも提案しているので、政策集団ではないというのは当たらないと思っています。
国府田久美子議員:
条例提案、予算組替え動議など独自に議案提案をしているので政策集団である。
小林進議員:
地方議員にとっても議案提案(12分の1)の権利があり政策立案上でも会派は必要である。
佐藤憲和議員:
党議員団としての議案提案や予算修正などを積極的に実施しておりますので会派は重要な役割をはたしていると思います。
島元雅夫議員:
日本共産党区議団は機会あるごとに条例提案をしてきたところです。H13年第1回定例会では区予算の修正をふくめ6つの提案をしました。例示をすると、@育成室運営条例にたいし、保険料を4000を1000円に引き下げる修正案、A道路占有料条例を修正し、電柱などで1億1千万円からの増収をはかる提案、B介護保険料助成条例、C介護保険料利用料助成条例、D区議会議員の報酬、費用弁償など5千万円の削減を求める条例提案など
関川今朝子議員:
私ども日本共産党区議団は、例えば区として乳幼児医療無料化の実現をするため議会で何度も議案提案権を使って条例提案をしてきました。その結果何年もかかりましたが、区が医科、歯科あわせて小学校入学前までの医療費無料化を実現しました。このことが都を動かし国を動かしていくことにつながったのだと思っています。(23区でも軒並み実現。地方から国や都を動かしていくためにも地方議会から声をあげいくことが大切だと思います。そのためにも会派を結成して集団の力で物事を進めていくことは大切なことだと思います。)
木村民子、鹿倉泰祐、村越まり子議員(文京区議会市民フォーラムとしての意見):
現行地方自治制度において議会は意志決定機関、長は執行機関としてそれぞれ権限と責任を分担し、住民に対して直接責任を負う二元代表制がとられ、両者は対等の関係にあります。しかし、議会は住民を代表する機関であるにもかかわらず、従来から単に長の諮問機関になってしまい、すべて「異議無し」では、議会の役割を放棄しているのではという批判が専門家からも指摘されています。
議会が果たすべき役割と責任は、住民の意思を根底にして各種施策を企画・立案し、住民の多様な意見を議会での審議などを通じて施策に反映することです。そのためには入念な調査と徹底した論議を尽くすことが必要ですし、議員一人の活動では区政全般をカバーすることは不可能であり、会派は議会活動において不可欠です。
私達文京区議会市民フォーラムは、会派としての活動によって、文京区議会が1999年5月に改選されてから議員提案第1号として「文京区総合介護条例案」を提案し、今年度予算についても「文京区一般会計予算修正案」「文京区介護保険特別会計修正案」を提案しました。11月に開催される第4回定例会でも、議員提案条例を予定しています。
今後とも区民の皆さんと協力しながらよりよき区政を実現していく決意です。
前田くにひろ議員:
(設問3は)地方自治体は、予算編成権は首長にあるなど、首長が企画立案し、議会はチェック機能を果たすといった首長と議会との二元制となっていることを言っているのだと思います。
議会側にも議案の提案権がありますし、審議の中において政策や提言や要望をだすこともあります。ですので、企画立案を議会で行っておらずとは、言えないと思います。
「会派」は議会運営の「円滑化・効率化」のためにあるとされています。一人一人の議員がバラバラに議員活動をすると収拾がつかなくなるといわれています。特に議会内の役職を決めるにあたっては、会派の大きさに合わせて会派に配分していくとの決めにより、「円滑化」が図られるとされています。
一方、地方自治体によっては、会派というものが無く、全て議員が一人一人で独自に議会活動をしていても「円滑に」議会運営しているところもあります。
いずれにせよ区民の意見を反映させるためによりよい議会運営をどのようにしていったらいいか考えていくことが重要なことですので、そうした視点から議会運営を常に見なおしていかなければならないと思います。私は、議員一人一人がそれぞれの責任において議会活動をしていくことが、区民の意見をより反映させることになると思います。