上の用語解説でも書かせて頂きましたとおり、「切子」とはカットグラスの和名です。 色被せ(色付)でも、スキ(透明なガラス)でもカットグラス(切子)です。
つまり輸入品でも、産業ロボット(カットマシーン)製でも、切子といえば切子です(広い意味では。
同じ表面彫刻でも、カットではない、サンドブラスト加工などは、切子には入りません。
では問題の、「江戸切子」と言った場合ではどうか? ですが、
江戸切子は、国・東京都指定伝統工芸に指定されております。
伝統工芸の指定用件には、
地域として、
一定の地域で産地を形成していること。(国)
都内において一定の数の者が、その製造を行っていること。(都)
という用件があり、この事は「国産」を示しています。
工法として
製造過程の主要部分が手工業的であること。(共通)
伝統的技術または技法によって製造されるものであること。(国)
という部分があります。
「手工業的という部分」は、
職人のハンドメイドで切子を入れ施した、手作りの物ということになり、
「伝統的技術または技法という部分」は、
江戸期から伝わる伝統的な模様(菊繋ぎ・矢来・籠目・魚子(ななこ)等)を施す切子の一連の技術を示すことになります。
さらに、江戸切子職人は系譜が調べられており、
誰の弟子か、誰に師事したか、どの工場の職人さんか、
最近では加えて、どの学校やカルチャースクールで学んだか等繋がりが有りますので、
その系譜につながった方が作ったという事になるかもしれません。
(職人の多くは、組合の東京カットグラス工業協同組合に参加しています。)
最後に、色付き=切子やのイメージが強いのですが、
色が付いているか否かでは、前出の通り区別できません。(上記、用語解説に詳細)
たとえば大手ガラスメーカーHOYAクリスタルカンパニーは、カットマシーンによる
色付きカットグラスの商品は「クリスタル色被せガラス」として、
切子とは呼ばず明確に区別しています。
これらから、伝統工芸江戸切子といえるのは、
ガラス・グラスに、先人から学んだ技法でハンド(手で)のカット(切子)を行い、
伝統的な模様等を施した国産の物。
と言えると思います。
手づくりの国産品ですね。
ガラス工芸として認知されているのも同様の部分と思います。
出所の確かなものは、手作りの為、そしてそれぞれの個性があるカットや磨きを施した分、
どうしても手間が増え、いい物は価格が高くなってしまいます。ご理解ください。
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