龍洞山久雲寺(瀬戸市落合町) ▲瀬戸MENU
舟形高49p 一 面ニ臂 立像
【左】釣り目の馬頭観音 【右】左は庚申塔です。右が馬頭観音 .
庚申塔と並んで
交番がある品野の交差点から北の国道248号はカーブした上り坂。700mほども進むと左手に龍洞山久雲寺の参道入り口が見えてきます。東海四十九薬師霊場第三十七番札所ということで,薬師如来を本尊とする禅宗のお寺です。さて参道は国道に対して斜め前方へ進む道で,途中から石段になっています。登ってゆくと鬱蒼とした緑に覆われた石段の曲がり目に,「庚申塚」と刻まれた庚申塔があるのが目に付きますが,その隣りに馬頭観音がひっそりと立っていました。素朴な創り
この辺りの馬頭観音石像としては標準的な,舟形高49pという大きさ。尊像は舟形に対して大きめに彫られています。例のよって舟形の先端は欠損してしまっているのは,倒れたことがあるからでしょう。尊像は比較的単純な造形で,浅めに彫り出されています。お顔は顕著な釣り目で,鼻は低いものの小鼻が左右に広がっています。宝冠上部の馬頭は浅い浮き彫りで,鼻先が尖り,まるで狐のようです。身体はなで肩で,首からじかに腕に繋がっているようにもみえます。合掌している手は非常に大きく,体の中心でとても目立っています。明治二十四年
尊像の向かって右には「明治廿二年」,左には「十一月吉日」と銘があります。荷駄に代わって馬車による輸送が活発になりつつあった頃でしょうか。礎石にはセメントで固定されていますが,それもかなり古く見えます。右上の部分は菌類に覆われており,この場に置かれるようになってから,もう永くなるようです。青面金剛 etc.
参道をさらに上った山門の少し手前に,高めの台石に乗せられた青面金剛がありました。礎石に「見ざる,言わざる,聞かざる」の三猿が彫られている,典型的な青面金剛の立像です。堅い材質なのか単に新しいだけなのか,風化や欠損が殆んど見られません。一 面六臂の姿,水瓶・輪宝・弓・宝剣・三鈷杵(三叉のヤスのように見えます)などの持物まで,非常にはっきりと見て取れます。馬頭観音の横の庚申塔とともに,品野でも庚申信仰が盛んだったことを思わせます。青面金剛の向かい側には地蔵菩薩の立像がありました。山門をくぐると左手に本堂があります。山の中のお寺ですから,変則的な伽藍配置も不思議ではありませんが,もしかしたら国道ができる時に,伽藍の配置を変えたのかも知れませんね。本堂の横にはピラミッド状のものが…古い墓石や水子地蔵を集めたものでした。一通り見ましたが,馬頭観音が混ざっているなどということはないようです。また,墓地に登る細い道の両側には,墓地に付き物(失礼!)の六地蔵と,禅宗の僧侶の墓碑である卵塔が並んでいました。山門の入り口には「南無阿弥陀仏」と彫られた石柱があったりと,石造物が豊富なお寺でした。(2004/08/21取材)
【左】東から本堂を望む(左手が墓標の山) 【右】六地蔵と卵塔 .