試合レポート


 
2001年 1月14日 清水スーパーサッカー21 日本平競技場


 数日前から雪の予報が日本列島に出ているこの日、完全防備で早朝の新幹線に乗る。清水駅からシャトルバスで競技場へ。もともと満員にはならないであろう雰囲気ではあったが、ようやく人が集まり始めたという感じで、陽の当たるバックスタンド以外はがらんとしている。それでもエスパルスのサポーターらしき人たちがゴール裏に陣取って声援を送る。

 このイベントは清水商業高校のサッカー部創設50周年記念、第一試合は現役部員対エスパルスOB戦である。実はこちらはあまり期待していなかった。どちらのチームも名前を知っている選手がほとんど居ないからだ。ところが結構おもしろかった。まだまだ子供には負けないぞというOBチームと、選手権では2試合で敗退したとはいえ静岡最強の高校生チーム。体力の心配されたOBチームだが“出入り自由”という特別ルールのおかげで、前半20分で引っ込んでしまった長谷川健太が後半また出てきたりして互角。となれば経験のある分有利、前半で3点を入れリード。後半も追加点を上げ、現役組が意地を見せて4点を返すも、6−4でエスパルスOBが勝ちを納めた。

 お目当ての第二試合は、清商OB青白戦(チームの名前が“ホワイトキッカーズ”と“ブルースターズ”で、ユニホームの色もそのまま白と青なので)だ。白の先発は、能活・谷池・大岩・朝比奈・鈴木・後藤・名波・小林・古賀・新田の4・4・2、交代出場が犬飼・松永・大石・太田・小林(GK)。青は真田・田中・薩川・池田・小川・川島・早川・興津・小野・佐藤・望月(弟?)の3・5・2、交代出場が池端・前川・青島。実は第一試合との間が2時間もあり時間を持て余すのではと思ったが、選手たちが早々と練習に現れ、アップから見せてくれたので飽きることはなかった。

 さて、試合である。先制点は24分、青組。ゴール前でクリアボールが相手に当たりごちゃごちゃっとしたところから、フリーでいた早川へ、あっさり決められる。が、26分すかさず白組が追いつく。気がつくと興津がキーパーと1対1に、真田をかわしてゴール。アナウンスでわざわざ「アシストは早川選手」といっていたところをみると、相手のミスパスからだったのだろうか。後半は両キーパーを始め何人かの選手が交代、青組が追加点を上げる。結局2−1で青組の勝ち、点数こそ少なかったが、随所にさすがというプレーが見られた。名波のダイレクトパス、小野のトリッキーなボール裁き、そして能活の観客を意識したプレイ。

 たまたま行きがけに買った雑誌に、能活の「これからはエンターテイメント性も追求していきたい」という趣旨の記事が載っていたが、この日のプレイはまさにそれ。まず、シュートが外に出て手元に2つボールが帰ってきたとき、1つをわざと客席に蹴り入れる。エリア外でのヘディングによるクリアは、いつもやっていること。1対1になりかけるといつも以上に飛び出して、FW足下のボールにアタック。また、ゴールキックを手で近くに繋ぐと思いきや、ピッチの3分の1くらいまでドリブルで出てキック。ハイボールには果敢にチャレンジして、失敗なし。どれも真剣勝負ではないからできたのだろうが、見ている方はワクワクする。

 そしてとどめは両監督による粋な計らいだった。能活は後半38分、真田は後半42分にそれぞれFWとして再登場、客席をわかせた。特に能活は昨年同じような試合でFWを90分やっているだけあって、クロスは上げる、ライン上を転がるボールは追う、相手にプレッシャーはかける。オフサイドに気をつけながら一生懸命トップを張っていた。ロスタイムにはそれまでも何度かボールを出してくれていた名波から「どうぞ」というパス、しかしこれは相手キーパーの好セーブに阻まれる。そのままタイムアップを迎えると、上を向いて顔を覆い悔しそうなそぶり。たとえ華試合でも勝たなければ気が済まないのだ。

 ゲームが終わってしまえば、お互い和やかに挨拶をし、旧交をあたためていたようだ。オフの期間のイベントとしての試合、それでもだらだらしている選手は居なかった。W杯を来年に控え今年が正念場、そろそろみな本格的な自主トレに入る頃。その前に高校時代を思い出し、原点である楽しいサッカーが出来て、選手たちもリフレッシュできたのではないだろうか。もちろんそれを間近に見られた観客も幸せである。これからは勝ちを追求した上での“魅せる”プレイで、私たちを楽しませて欲しい。

コンフェデレーション杯 01年JOMO杯 JOMO杯公開練習 02年ホンデュラス戦

 


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