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モンスズメバチの巣を襲うオオスズメバチ |
モンスズメバチはオオスズメバチの集団攻撃に対して反撃力があるとされていますが,廃巣になる事例も少なくありません.2002年に鳥の巣箱に作られた巣を,2004年に樹洞に作られた巣を観察していたところ,いずれの巣も9月下旬から10月上旬にオオスズメバチに襲われ廃巣になってしまいました. |
鳥の巣箱に営巣したモンスズメバチの事例 |
巣箱の前面にあった入り口は外皮で覆われてしまい,底に開けた穴から出入りしていた.底部に開けられた穴も少し大きくなっており,外皮状の目張りが増加しているのが分かる.巣箱の表面に止まっている働きバチは50頭弱であった.本種の巣は元々底部に穴が開いており,ハチはそこから出入りしています. |
外皮で塞がれた巣箱の入り口 | 底部の穴の様子 |
10月2日 |
午後3時頃巣の様子を見に訪れると,まさにオオスズメバチの襲撃を受けている所でした.3時6分に撮影した写真では,巣箱の底部にはまだ10頭程のモンスズメバチが止まっており,周囲を多数のオオスズメバチが飛び回っていました(右端にオオスズメバチの頭部が写っている).オオスズメバチとモンスズメバチが組み合った状態で多数地上に落下しました.この状況は10分程続きましたが,3時18分にはモンスズメバチの姿は見られなくなり,オオスズメバチのみとなりました.幼虫や蛹がつまっていた育房も大部分が空になっています. |
オオスズメバチとモンスズメバチの死闘 | 3時18分の状況 |
10月3日 |
モンスズメバチの成虫の姿は全く見られません.巣の正面の入り口を塞いでいた外皮状の目張りもすっかり壊されてしまい,オオスズメバチが頭を出しています.巣の底部も同様で育房の幼虫の数も随分少なくなりました.10月4日にここから直線で北北東に1,1Km離れた大学の構内でオオスズメバチの巣を駆除しました.飛行コースから考えて,この巣を襲ったオオスズメバチである可能性が高いと思われます. |
側面の外皮はほとんど壊されてしまった | 育房の幼虫も抜き取られて少なくなった |
樹洞に営巣したモンスズメバチの事例 |
樹洞の内部が狭くなって表面に巣盤を増設したためか,外皮が大きく盛り上がっています.順調にいけばさらに大きくなる可能性が高く,今後が楽しみです. |
巣が外部に拡張されたためか,外皮が盛り上げっている. |
10月4日 |
2週間ぶりに出かけてみると,恐れていたことが起こっていました.何とオオスズメバチに襲われて巣は廃巣になっており,成虫・幼虫とも姿は全く見られませんでした.一昨年のモンスズメバチ,昨年のキイロスズメバチに次いで,3年連続で観察中の巣が襲われてしまいました.東部丘陵地ではオオスズメバチの捕食圧は相当高いことが想像されます. |
外皮は大きく破損して穴が開いている.中の幼虫。蛹は全て持ち去られて空になっていた. |