鹿友会誌(抄)
「第四十一冊」
 
△神のみぞ知る   松谷新一
 フト眼さむれば
 寂然たる真夜中
 万籟の如き虫の音「たゞ聞ゆるは」
 あゝこれ有史の創めに遡るも変りなき自然
 悠久変りなき自然の静寂
 
 おもひは直ちに
 北満の野
 北支の野
 上海の巷戦場の東西にはしる
 
 あゝこゝは又人類同胞の闘争殺戮修羅の巷と化す。
 勝も敗くるも皆是万物霊長の仕草なり。さても、近代科学は何んのために生れしぞ 永く吾等を教へ導きし文明も文化も、今将何くへぞ、あゝいまにいたるも人類真の 使命は神のみぞ知るか、神のみぞ。
(九月二十三日夜中作)

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