鹿友会誌(抄)
「第四十一冊」
 
△爽涼のこころ   奈良正路
 雲と居て鹿角の秋を山路行く
 夜をしめす両脚にそぞろ秋めきぬ
 麓路に草刈る乙女穂にかくる
 蚊帳干すに地虫はひるをなきつゞく
 爽涼の岨路に萩は葉を展べぬ
 萩になく虫いまだ若し落暉満つ
 山郷に虫たかぶりぬ月匂ふ
 木の実匂ふ水のほとりや秋沈む
 峡浅き林檎は艶に暉をとどむ
 青空に絢の実垂るゝ林檎園

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