27a らん目(らん科)植物
 
コオズエビネ(神津海老根,エビネ属)
 伊豆諸島の標高500m以下に産する多年草,鉢植え,暖地では地植え。葉は光沢,花茎
 は20〜60p,花弁は緑〜茶,緑〜赤紫,緑〜黄色など様々な変化があり稀に白色,唇
 弁の基部に黄色点があり,上品で渋味のある色彩のものが多く,総状花序をなして10
 〜30花を開き,芳香性。花期は4〜5月。
 
オナガエビネ(尾長海老根,エビネ属)
 南西諸島原産の多年草(地生ラン),鉢植え,切花用。葉は5〜6枚で僅かに外側に
 反曲,花弁は紅紫色〜青紫色,距は長く太く水平に伸びます。花期は6〜10月。
 
リュウキュウエビネ(琉球海老根,エビネ属)
 沖縄,南西諸島,台湾に自生する多年草,庭植え,鉢物用。花茎は長さ40〜80p,花
 は白〜紅,白〜紫,中央裂片基部の突起は黄〜紅紫の変異があり,総状花序に15〜40
 花を開きます。花期は8〜9月。
 
ヒマラヤニオイエビネ(エビネ属)
 ネパール,シッキム,ブータンの高地に自生する多年草で,昭和40年代以降に渡来。
 鉢植え。花茎は30〜60p,花は径2〜3.5p,萼片と花弁は普通淡紫色,唇弁は更に濃
 色,花色の変異は大きく,総状花序に20〜30輪を開き,芳香性。花期は3〜5月。
 
イシヅチエビネ(石槌海老根,イシヅチラン,エビネ属)
 わが国に広く見られる多年草,鉢物,庭植え。葉は長さ20〜30p,萼片と花弁は緑〜
 赤茶色,唇弁はピンクで襞ヒダがあり,総状花序に5〜15花を開きます。花期は4〜5
 月。
 
ナツエビネ(夏海老根,エビネ属)
 わが国,済州島,台湾,中国南部,ヒマラヤ産の多年草,鉢物,庭植え。葉は3〜7
 枚で表面に襞,花茎は20〜50p,花は普通淡桃紫色,白〜紫,白〜桃色の変異があり,
 中央裂片基部に茶色の斑点を付け,総状花序に10〜35花を付けます。花期は7〜8月。
 
キソエビネ(木曽海老根,コランとも,エビネ属)
 わが国の標高1500m付近,台湾の2000〜5000m,中国南西部原産の多年草,山草として
 鉢植え。花茎は1本稀に2本,花弁は淡紅紫色,唇弁の基部は黄色,中央から先端に
 かけて黄色地に橙赤色の条点があり,総状花序に3〜10花を開きます。花期は7〜9
 月。
 
キエビネ(黄海老根,エビネ属)
 紀州南部,四国,九州に自生する多年草,鉢植え,花壇,切花用。エビネより大形で
 葉幅は広く,5本の葉脈が顕著,花は径10pで黄色,30p以上の花茎に総状花序をな
 して,やや鐘状に開きます。花期は4〜5月。
 
トクノシマエビネ(徳之島海老根,オキナワエビネとも,エビネ属)
 徳之島,沖縄の標高500m以下に自生する多年草,鉢植え。花茎は30〜60p,花弁と萼
 片は普通赤茶色で変異が多く,外弁の濃色のものがあり,蕊柱が太く葯帽大きく幅広
 に盛り上がり,花被片や花茎も太く,唇弁は白〜紅,中央裂片基部に斑点,総状花序
 をなし10〜25花を開きます。花期は3月上〜下旬。
 
サルメンエビネ(猿面海老根,エゾエビネとも,エビネ属)
 わが国の標高300〜1300m,台湾の800〜2000m,中国南西部,カシミール,ブータンの
 1500〜2500mの高地に産する多年草,地植え。冬至芽を形成,花茎は30〜50p,花は淡
 緑色,距がなく唇弁の中裂片が特に発達し橙赤色,フリルがあり側裂片が小さく,総
 状花序に7〜15花を開きます。花期は4〜5月。
 
ベスティタ・ルブロオクラータ(エビネ属)
 ビルマ原産の多年草(洋種エビネ),鉢物。葉は長さ45p位,花茎は70p位で軟毛,
 花は白色で唇弁は喉に暗紫色の斑点があり,軽く屈曲した総状花序に6〜15花開きま
 す。花期は落葉後の11〜12月。
 
ゥイリアム・マレイ(カランテ)(エビネ属)
 タイ,ビルマ原産の多年草ベスティタの交配種で,昭和15年以前に渡来。温室内鉢植
 え,切花用。花茎は60〜75p,花は径5p,萼片と花弁は白色,唇弁は白色に深紅紫
 色を鮮やかに彩り,弓形の総状花序に15〜30花開きます。花期は冬。ほかの品種にバ
 タフライなどがあります。
 
ホテイラン(布袋蘭,ツリフネランとも,ホテイラン属)
 本州中北部の亜高山の針葉樹林内に自生する多年草,鉢植え。葉面は光沢で裏面は紫
 色,花は紅紫色,唇弁は白色で淡紅色の斑入り,6〜15pの花茎に1茎1花を垂れて
 咲き,芳香性。花期は5〜6月。基本種はヒメホテイランで東北地方に産します。
 
カスタム・ピレアタム(カタセタム属)
 ベネズエラ,エクアドル原産の多年草で,明治末年に渡来。室内観賞。花は雌雄で異
 なり,雌花は滅多に咲かず,雄花は径10p位,唇弁は大きく開き緑黄色で中央が窪み,
 他の花被片は狭く白い,やや細い花茎に唇弁が上になった花を数輪付けます。花期は
 夏,秋。
 
カトレヤ・ボウリンギアナ(カトレヤ属)
 グアテマラ,ホンジュラス原産の多年草でカトレヤ属の原種の一つ。多花性で他属と
 の交配が成功しやすいことから重要な交配親として知られています。草丈50〜70p,
 花は径6〜8pの紫紅色,茎頂に花茎を直立し5〜15輪を開きます。花期は秋。
 
ゴライアス(カトレヤ)(カトレヤ属)
 ブラジル原産の多年草でカトレヤの代表種,交配の基本種とされるラビアータの一品
 種。草丈30〜45p,茎は紡錘形で長く,花は径12〜15pの桃紫色大輪で中心は深紫紅
 色,縁は波状となり,2〜5輪咲かせます。花期は秋。
 
トリアネイ(カトレヤ)(カトレヤ属)
 コロンビア原産の多年草でカトレヤの原種の一つ,重要交配親として知られます。分
 類学上はラビアータの変種とされます。花は径16〜18pの大輪で萼片と花弁は淡桃色,
 唇弁は筒部は淡紅色でやや長く,喉部は黄橙色,開口部は濃紫紅色,弁縁は波状とな
 り優雅な花立ちとなります。花期は冬。
 
フィーティ(カトレヤ)(カトレヤ属)
 ブラジル原産の短い根茎を持つ多年草で自然交配種と云われ,室内観賞用。花は紫色,
 特に唇弁のアメジスト色が美しく,喉部は明黄色。花期は夏。
 
ロージー・ジュエル(カトレトニヤ)(カトレトニヤ属)
 カトレヤ属とブロートニア属との属間交配種の代表種,室内鉢物。花は小輪,花形は
 丸く,花色は桃紅色で個体により濃淡あり,長く伸びた花茎に数輪開きます。花期は
 初夏より冬まで様々。近似種にケイ・ロスがあります。
 
ギンラン(銀蘭,ハクランとも,キンラン属)
 本州中南部,四国,九州の山野の樹陰に自生する多年草,山草として庭植え。高さ15
 〜20p,キンランに比べ小形,花は白色で,総状花序をなして3〜4輪開きます。花
 期は4〜5月。近似種に本種よりも大きいササバギンランがあります。
 
キンラン(金蘭,キサンラン,オウラン,アリマソウ,アサマソウとも,キンラン属)
 本州中南部,四国,九州の山地に自生する多年草,山草として庭植え。高さ30〜50p,
 花は鮮やかな黄金色,萼も花弁も共に卵状披針形,総状花序をなして10輪程開きます。
 花期は4〜5月。
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