27 らん目(らん科)植物
 
                    参考:北隆館発行「原色園芸植物大圖鑑」
 
〈らん目(らん科)〉
 
ナゴラン(名護蘭,ナゴラン属)
 伊豆諸島,伊豆半島,四国,九州,南西諸島に分布するわが国特産種常緑着生ラン(
 多年草),鉢植え,ヘゴ板着生。葉長6〜15p,葉腋から出た花茎はやや垂れ気味で
 5〜15p,花は径約3pの白っぽく,側萼片に赤紫色の横縞,唇弁に同色の斑点入り
 で,3〜10個咲きます。花期は5〜8月。
 
エリデス・ローレンセエ(ナゴラン属)
 フィリピン原産の多年草(着生ラン,エリデス属の代表種),鉢植え。高さ100p,
 花は径3.5〜4p,弁質は肉厚,蝋質で白色地に紫赤斑入り,唇弁基部が特徴ある距と
 なり,総状花序に多数密に咲かせます。花期は6〜8月。
 
イワチドリ(ヒナラン属)
 本州中南部以西の山地に自生する多年草,山草として鉢植え。高さ8〜15p,花は紅
 紫色,稀に白色。花期は4〜5月。
 
アングラカム・セスキペダレー(アングラカム属)
 マダガスカル原産の多年草(着生ラン)で,明治中頃に渡来。室内観賞用。草丈約100
 p,花は径約15p,蝋質で象牙色を呈し,距は大きく長く20〜30p,葉腋から出た花
 茎に総状花序をなして2〜4花開きます。
 
アンセリア・アフリカーナ(アンセリア属)
 西アフリカ原産の多年草(地生ラン),鉢植え。茎は60p位で円筒形,花は長さ2.7
 p,淡黄緑色にチョコレート色の斑点があり,唇弁中裂弁は鮮黄で芯柱は帯赤色,長
 さ40p位の花茎に総状花序をなし20〜30花開きます。花期は12〜1月。
 
ネービー・ブルー(アスコセンダ)(アスコセンダ属)
 東南アジア原産のバンダとアスコセントラムの属間交配種(多年草),室内観賞用。
 茎は細く,花は大輪で鮮紫紅色,5〜6pの花茎に総状花序をなし10〜15輪開きます。
 不定期咲き。同属には他にブルー・ボーイ,メダ・アーノルドなどがあります。
 
アスコセントラム・ミニアーツム(アスコセントラム属)
 ヒマラヤ,マレー半島,ジャワ,ボルネオなどに産する多年草(着生ラン),小鉢植
 え。丈8〜15p,花は艶のある橙黄色や朱紅色,舌状花は狭長で鋭く尖り,基部には
 距があり,5〜12pの花茎に総状花序をなして密に多数開きます。花期は春〜初夏。
 
シラン(紫蘭,シラン属)
 本州中部地方,中国の湿原又は崖上に自生する多年草,花壇,鉢植え,切花用。葉は
 長さ20〜30p,花は紅紫色,長さ50pの花茎に総状花序をなします。花期は5〜6月。
 白花種にシロバナシラン,白色花で唇弁に紅色斑入りのクチベニシランもあります。
 
ブラサボラ・コルダタ(ブラサボラ属)
 西インド諸島(主にジャマイカ)原産の多年草,鉢植え。草丈30p前後,花は径7〜
 8pで緑黄白色,高さ10〜15pの花茎に総状花序をなし3〜5花開き,芳香性。花期
 は冬。
 
ブラサボラ・ディグビアーナ(ブラサボラ属/リンコレリア属)
 メキシコから中米一帯に分布する多年草。ブラサボラの原種の一つで唇弁の縁部の美
 しい襞ヒダをカトレア系に導入する重要な交配親として知られます。茎高10p,花は径
 12〜15pの乳色大輪で唇弁は大きく広がり,芳香性。花期は夏。
 
ブラッシア・ロンギィシマ(ブラッシア属)
 コスタリカ,パナマ,コロンビア原産の多年草,室内観賞用。葉は基部より細い硬質
 の花茎を伸ばし,クモに似た花を2列に並べて付けるのでクモランの名があります。
 花は径30p前後で黄褐色,上萼片は10〜12p,側萼片は特に長く20p余りで湾曲して
 垂れ,芳香性。花期は初夏。
 
パストラル'イノセンス'(ブラソカトレヤ)(ブラソカトレヤ属)
 中南米原産の多年草で,ブラサボラ属とカトレヤ属の交配種,大輪,純白弁,特に唇
 弁周辺の欠刻が美しい品種。大輪濃紅紫弁のプリンセス・パトリシア(切花向き)があ
 ります。花期は冬〜春。
 
ノーマンズ・ベイ'ロウ'(ブラソレリオカトレヤ)(ブラソレリオカトレヤ属)
 ブラジルなど南米原産の着生ラン園芸品種(多年草)。本種はこの属の特徴を最もよ
 く表し,花は丸弁紫紅色の美しい品種で,唇弁のビロードに僅かに黄斑入りです。フ
 ランシス'マイルス'は黄色系の代表種で唇弁は赤くコントラストが良い。温室内栽培。
 
キリシマエビネ(霧島海老根,エビネ属)
 四国,九州,五島列島などに自生する多年草,鉢植え,花壇,切花用。エビネに比べ
 草姿は細長,花茎はときに30pで僅かに短毛,花は白色小輪で紫のぼかしを帯びるこ
 ともあり,長い距を持ちスズランのように下垂,総状花序をなします。花期は5月上
 〜下旬。
 
エビネ(海老根,エビネ属)
 北海道〜九州の山地に自生する多年草,鉢植え,花壇,切花用。葉は長さ20〜30pで
 葉脈は3本が顕著。花茎25p位,花は中輪で普通褐色,ほかに緑,黄褐,赤褐,黒褐
 色など,唇弁は白色ときに桃色,総状花序に8〜15輪開きます。花期は4〜5月。
 
タカネ(大海老根とも,エビネ属)
 四国,九州に自生する多年草で,エビネとキエビネとの自然交雑種と思われます。鉢
 植え,花壇,切花用。花は主に中輪ときに大輪,花色の変異幅は広く,一般に唇弁と
 他弁との色は異なります。花期は4〜5月。
 
ツルラン(蔓蘭,エビネ属)
 九州南部,沖縄,台湾に分布する多年草,鉢植え,花壇,切花用。花茎は80p以上,
 花は白色ときに紫色や紅色,総状花序に多数付き上部と下部の花では開花に可成りの
 差ができます。花期は盛夏〜初冬。
 
ヒゴエビネ(肥後海老根,キバナキリシマエビネとも,エビネ属)
 四国(高地,愛媛県),九州南部に産する多年草で,キエビネとキリシマエビネの自
 然交雑種とされます。鉢物,庭植え。葉は光沢,萼片と花弁は白〜黄,白〜黄赤色の
 変異があり普通淡黄色,中央裂片の基部に斑点があり,総状花序に10〜25花を開き,
 香りも変異が多い。花期は5月上中旬。
 
ヒゼンエビネ(肥前海老根,エビネ属)
 紀伊半島,八丈島,四国,九州南部の標高800m以下に産する多年草で,エビネとキリ
 シマエビネの自然交雑種とされます。鉢物,庭植え用。葉は長さ15〜30pで光沢,花
 茎は20〜60p,萼片と花弁は緑桃色,唇弁は普通桃色,総状花序に5〜25花を開き,
 レンゲに似た香りのものが多い。花期は5月上中旬。
 
ニオイエビネ(匂海老根,オオキリシマエビネとも,エビネ属)
 伊豆七島に自生する多年草,鉢植え,花壇,切花用。大形で葉は光沢のある濃緑色,
 花茎は25〜50p,花は中輪で淡紅紫色から濃紫色,唇弁は普通白色,基部は黄色,総
 状花序に15〜20輪開き,高芳香性。花期は4〜5月。
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