鹿友会誌(抄)
「第十五冊」
 
△記念会
○所感と希望   青山芳得
 私は鹿友会の創立以来の会員と致しまして、今日の鹿友会に就て所感を述べやうと思 ひます。
 私は明治十七年に上京しましたが、その当時は少数の学生のみにして、別に纏りたる 会もなく、規則もなく、日曜毎に誰れか或人の思付で回章を廻して一緒に集る、即ち向 島の言問の如き所に集まり、ボート漕ぎや又は郊外の遠足等をする位のもので、極単純 なものでした。
 その後会員及賛成員もその数を増し、今日にては紳士婦人小児も集まり、創立当時よ り見れば誠に隔世の感に堪へません。
 
 一体会なるものは、ドーモ長く続かない、甚だしきは今開会して、次会には立消えに なるものさへある、然るに我鹿友会は、順境の発達を為し来れるは、一に内容の整へる にて、会員諸君の精神上の統一あるために、今日まで続いたのであります。
 今後どれ位迄発達するやは分かりませんが、或は鹿友会の精神を以て鹿角郡全体の風 教を維持し、以て一県に及ぶやも知れませぬ、吾人鹿友会員の責任も又大なるものがあ ります。
 今日にては鹿友会は、家庭の方にまでも勢力を及ぼし、婦人も子供も出席し、会員の 一挙一動は家庭にまで影響を及ぼす様になりました。
 
 今迄の会は、単に個人的のものなりしが、会の本来の性質としては、家族一同を以て 楽しむべきものであります、余は敢へて西洋風をいふではありませんが、東北人は引込 主義です、これは処世上非常に不利ですから、今後は老人も婦人も子供もこの会に出席 せらるゝ様にならんことを望むのであります。
 さうなるに就ても、吾人会員の及ぼす影響は益々大なる次第なれば、各々責任を思ふ て切磋琢磨、以て益々本会の発達を計られんことを希望します、これを以て本日の祝賀 の辞と致します。

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