モル日記2

 

「とうちゃん!モルモット、散歩しなくて良いんか!?」

と息子

「そうかぁ〜?!散歩か」

と言っても、どうやる?

首輪を付ける訳にもいかないし、外に連れ出したら逃げちゃうかもしれないし、悩んだ。

(本来、放し飼いなんだから「散歩」なんて必要ないんだが)

「そうだな、まだ小さいから、もう少し大きくなったら、散歩に連れて行こう」

とその場を濁そうとした。

「これに入れて行けば!」

息子達が砂場で遊ぶために作った、液体洗剤の取っ手を残し、キャップの部分から下を大きく切り取った、特製砂すくいを差し出して嫁が言った。

「かぁ〜ちゃん、あったま良い〜!」

(おい、おい、なんで散歩するのに・・・

だれの散歩なんだよ!)

「おれ、こっちの!」

「兄ちゃん、ずるぅ〜い!」

と始まる。

砂すくいの取りあいだ。

喧嘩しないようにと2つ作ってあるが、何せ同じ物を2つと言う訳にはいかず、片方は「ボーナス」もう一方は「柔軟剤」の空容器だから色が違う。容量は同じだ。

どちらも大した問題ではないような気がするが、彼等には大問題のようだ。

暫くもめたが、決着がつかない。

「じゃんけん!じゃんけん!」

神(かみさん)の声がした。

気に入った方を手にした息子は、はしゃぎ、片方はすねる。

「あんたは、行くの!行かないの!?」

「行く!」

すねている方の息子に、容赦のない声が飛び、無事その場が収まる。

段ボール箱で固まっている「モルモット」をすくい上げた。

「それ、俺んだ!」

「ちがわぁ〜い!俺んだ!」

再び戦闘開始だ。

「さっき、お前が選んだから、今度は俺だ!」

(一理有るが、何となく説得力に欠ける)

「分かったよぅ〜!?」

二匹の「モルモット」をぶら下げて、散歩に行った。

村の写真館) モル日記