モル日記18

1号、2号は、最近、牽制症候群なんだろうか、

「ピィ〜、ピィ〜」と主張する。

何を主張しているのかは不明だが、何かを主張している。

こびて「ピィ〜、ピィ〜」やっているのではないことは確かだ。

チョッとやさしく、「ほれ、こっちへおいで」など手招きしても、

この恩人のおらのそばには寄ってこない。

大体、貰ってきてやった恩を忘れているなんて、ろくなもんじゃない。

しかも、犬のエサを狙って、徘徊している。

モルモットは、チクワが好物だ。

知らなかった。

食うものは、野菜だけかと思っていたが、どうも違う。

魚の骨、ハム、チクワ

夏休みの自由研究に困り、モルの好物というものをやった。

何が、弱い小動物だ。

奴等は、獣だ。

何でも食べる。隙あらばと、チビのエサをアジサイの葉の下から狙っている。

チビに、文句を言う。

「ピィ〜、ピィ〜」

チビもこれには弱りきっている。

「ピィ〜、ピィ〜」とやられると、

吼えることもできず、追い掛け回すこともできないで、困惑している。

しかし、エサに近づくと流石に追い払う。

追い払うと言っても、エサ箱の前にいって座っているだけだ。

そのうち、この小動物という獣に

こいつは何もできない、と見透かされ、

エサを横取りされるような気がする。

「ピィ〜、ピィ〜」

今日も元気に、庭を走り回っている。

名前は、まだ、はっきりしない。

好き勝手に呼んでいる。

モル!と嫁は、二匹とも一色単だ。

おらは、ちゃんと1号、2号と呼んでいる。どっちが、どっちだか分からないけれど。

そう言えば、兄が図書館で調べてきたときに、良質の毛皮が取れると有ったような気がする。

嫁に、これを君の手袋にすれば人気者だよね、人形劇のように、「コンニチワ」なんて、

口パクすればおもしろいよねと言った。

「おまえやれ!」とあっさり却下された。

そうかなぁ〜?

両手にはめて、「俺、1号」「僕、2号」 みんなぁ〜!元気ぃ〜!とかやったらきっとうける。

餓鬼達が帰ってきたら話してやろうきっと喜ぶ

そう期待して帰りを待っていた。

「たっだいまぁ〜!」とチビが帰ってきた。

「腹減ったぁ〜!」と兄も帰ってきた。

おやつをもって、庭に出てきた。

おこぼれ、おこぼれとチビも寄ってきた。

「おまえんじゃない!」と言われても動じない。

「ねぇ〜、カイン、これ食べるかなぁ〜?」

ロールケーキを口に運びながらチビがいう。

「食べるわけないじゃん!」と兄

確かに、このときはそう思った。

「そうだね、ウサギだもんね」

「カイン、こっちへおいで!」と呼んでいる。

モル日記19