モル日記11

 

「君は、父親ですよねっ!」

「・・・」

「奥さんがそうだ、と言うんだから、

たぶん・・・」

「でっ、なんですけれど、

干渉しないと言う訳には

行かないんですか!」

「干渉なんかしてないよ!」

「してます!」

「だって!・・・」

「よし!じゃ、お前は・・・」

機嫌よく出て来た。

「良く考えておくように!」

別に干渉なんかしていない。

この件は、

俺自身も一枚かんでいるんだから。

マゴマゴシてたら、

奴等の思い通りなっちまう。

「とうちゃん!」

「決まったぁ〜!」

「此奴のが、カインで、

俺のが、ディック!」

「何だ、それ?」

「モルモットの名前だ!」

「おい!勝手に決めるなよ!」

「勝ってじゃないもん!

兄ちゃんと決めたんだもん!」

ちびの方も言う。

「ねぇ〜!兄ちゃん」

「どっちがどっちと言うんだって

分かんないだろ!?」

「そんなの、分かってらぁ〜!」

「分かっていても良いけど、

あれはとうちゃんのだって言ったろ!」

「夕飯、抜くよ!」

嫁がにらむ!

大体、

誰の所有物かと言う事さえ

決めてないのに勝ってに名前まで

付けちまうんだから!

「良いねっ!」

「何が!?」

「あれは、この子らにやるんですね!」

「えぇ〜!えぇ〜!だってぇ〜!」

「そうだ!俺らんだ!」

「どうせ、直ぐ飽きて世話しないんだろ!」

「世話する!」

「そうだ!俺もする!」

「何言ってんだ!

いつだって飽きちまうだろ!」

「そんな事ない!」

「そうだ、ない!」

「直ぐ飽きる!」

「飽きない!」

「お前さんたちゃ〜!何かい!

そんなに、

夕飯食べたくないって言うんかい!」

ありゃ!まづい!

「おっ!飯だ、飯だ!」

「俺も!」

何を食べているか、良く分からない。

「これ、旨いねっ!」

「・・・」

「うん!いける!」

「にぃ〜!うめえ〜!」

「ごちそうさん!」

「ごちそうさん!」

「はい!」

「お茶下さい」

「そこに有ります!」

「あれぇ〜?」

全く分からなかった。

「とうちゃんのせいで、怒られた!」

居間にお茶を持って行くと

ちびに言われた。

「飯食いながら、考えた。

あれは、みんなの物にしよう!」

「やだ!」

「こりゃ!でかい声出すな!」

「そうだ!いやだ!」

密談が始まった。

「良いかぁ〜!

あれは、俺がもらってきたんだぞ!」

「でも、俺らんだ!」

分からん奴等だ!

しかし、これ以上揉めると

嫁が怒り狂ってしまう。

ここは、大人?

打開策を考えねば!

台所の様子をうかがった。

村の写真館モル日記12