郵政公社化関連情報
平成15年4月からの郵政公社化に伴う関連情報をまとめたページです。
なお、条文の下線はすべて当方にて設定したもので、特に記述しない限り、原条文にはありません。
最終更新:2003.3.2
郵便局の設置基準が確定
公社化後の郵便局の設置基準が確定しました。日本郵政公社法施行規則第二条に規定されています。
注目は第二項の「いずれの市町村についても」の条件です。
現状、簡易郵便局を含めれば全自治体に郵便局が設置されていますが、実は郵政省〜郵政事業庁時代はこの規定は存在しませんでした。
故に、今回初めて登場した規定ですが、簡易郵便局が郵便局の一種別と変更される(後述)ため、特定郵便局から委託の郵便局への変更が今より容易になるのではと推察されます。
日本郵政公社法施行規則 第二条(郵便局の設置基準) 公社は、法の施行の際現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨として、次に掲げる基準に適合するよう郵便局を設置しなければならない。 一 法第十九条第一項第一号から第五号までに掲げる業務及びこれらに附帯する業務に係る役務に対する地域住民の需要に適切に対応することができるよう設置されていること。 二 いずれの市町村(特別区を含む。)についても一以上の郵便局が設置されていること。 三 交通、地理その他の事情を勘案して地域住民が容易に利用することができる位置に設置されていること。 (参考)日本郵政公社法 第十九条第一項 一 郵便法(昭和二十二年法律第百六十五号)の規定により郵便の業務を行うこと。 二 郵便貯金法(昭和二十二年法律第百四十四号)の規定により郵便貯金の業務を行うこと。 三 郵便為替法(昭和二十三年法律第五十九号)の規定により郵便為替の業務を行うこと。 四 郵便振替法(昭和二十三年法律第六十号)の規定により郵便振替の業務を行うこと。 五 簡易生命保険法(昭和二十四年法律第六十八号)の規定により簡易生命保険の業務を行うこと。 |
郵便局(簡易郵便局)の設置等告示は、当面現行の水準を維持へ
郵便局・簡易郵便局の改廃は現在、官報に告示として掲載されています。
明治以来続いてきた規定ですので、「あたりまえ」に思いがちですが、国の機関とはいえ独立行政法人扱いの公社化は、この規定がどうなるかは冷や汗物でした。
結論から申しますと、下表にまとめた通り、とりあえず現行水準は維持されると見てよいようです。
しかし、条文に「インターネット」を加えるあたりは、最近の総務省のパターンというか、何か浮いた文章だなと。
○設置関係告示の根拠条文 現行・改正比較
郵便局 | 簡易郵便局(委託の郵便局) | |
現行 |
郵政事業庁組織規則 第七十条 (郵便局の名称、位置、管轄区域、所掌事務及び内部組織)
郵便局の名称、位置、管轄区域、所掌事務及び内部組織は、郵政事業庁長官が定める。 2 郵便局の設置及び廃止、特定郵便局長を長とする郵便局の指定、郵便局の名称及び位置の変更並びに郵便局の窓口取扱時間及び取扱事務の範囲は、告示する。
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簡易郵便局規則 第六条(簡易郵便局設置等の告示) 簡易郵便局を設置し、若しくは廃止し、又は簡易郵便局の名称若しくは位置を変更するときは、その旨を告示する。 2 簡易郵便局における委託事務の範囲は、告示する。 |
改正 | 日本郵政公社法施行規則 第四十条 公社は、郵便局を設置し、若しくは廃止するとき、又は郵便局の名称若しくは位置を変更するときは、法第六十五条第二項の規定に基づき、その旨を公表しなければならない。 2 公社は、郵便局の設置を公表するときは、あわせて、当該郵便局において取り扱う業務の範囲を公表しなければならない。これを変更するときも、同様とする。 3 前条第二項の規定は、前二項に規定する公表について準用する。 (注)第3項は、同規則第三十九条の 2 前項に規定する公表は、官報への掲載、インターネットの利用その他の適切な方法により行うものとする。 と同一となるという意味。 |
郵政窓口事務の委託に関する法律施行規則 第三条(公表) 公社は、法第七条第一項に規定する委託事務を行う施設(以下単に「委託事務を行う施設」という。)を設置し、若しくは廃止し、又は委託事務を行う施設の名称若しくは位置を変更するときは、その旨を公表しなければならない。 2 公社は、委託事務を行う施設の設置を公表するときは、あわせて、当該委託事務を行う施設において取り扱う委託事務の範囲を公表しなければならない。これを変更するときも同様とする。 3 前二項に規定する公表は、官報への掲載、インターネットの利用その他適切な方法により行うものとする。 |
なお、年度単位で毎年6月末までに総務大臣に提出される事業報告書に、郵便局の設置・移転・廃止の内容は記述されることになっています。
日本郵政公社法 第三十条 (財務諸表等) 第三十条 公社は、毎事業年度、貸借対照表、損益計算書、利益の処分又は損失の処理に関する書類その他総務省令で定める書類及びこれらの附属明細書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に総務大臣に提出し、その承認を受けなければならない。 2 財務諸表(貸借対照表、損益計算書その他の総務省令で定める書類に限る。)においては、郵便業務、郵便貯金業務及び簡易生命保険業務の区分ごとの内訳を明らかにしなければならない。 3 公社は、第一項の規定により財務諸表を総務大臣に提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書を添え、並びに財務諸表及び事業報告書(会計に関する部分に限る。)に関する監事及び会計監査人の意見を付けなければならない。 4 前項の事業報告書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 業務の実施状況 二 郵便局の設置、移転及び廃止の状況 |
また、期末(年度末)の郵便局数は、公社から総務大臣に提出される経営報告書に掲載されます。
郵便 | 日本郵政公社法施行規則 第四十一条 (抄) 公社は、法第六十五条第二項の規定に基づき、毎事業年度、郵便業務に関し、次に掲げる事項を公表しなければならない。 一 組織に関する次に掲げる事項 イ 組織の概要 ハ 主たる事務所及び従たる事務所の名称及び所在地 ニ 都道府県別の郵便局(郵政窓口事務の委託に関する法律(昭和二十四年法律第二百十三号)第七条第一項に規定する委託事務を行う施設を含む。次条第一号ニ及び第四十三条第一号ニにおいて同じ。)の数 |
貯金 | 日本郵政公社法施行規則 第四十二条(抄) 公社は、法第六十五条第二項の規定に基づき、毎事業年度、郵便貯金業務に関し、次に掲げる事項を公表しなければならない。 一 組織に関する次に掲げる事項 ハ 主たる事務所及び従たる事務所の名称及び所在地 ニ 都道府県別の郵便局の数 |
保険 | 日本郵政公社法施行規則 第四十三条(抄) 公社は、法第六十五条第二項の規定に基づき、毎事業年度、簡易生命保険業務に関し、次に掲げる事項を公表しなければならない。 一 組織に関する次に掲げる事項 ハ 主たる事務所及び従たる事務所の名称及び所在地 ニ 都道府県別の郵便局の数 |
根拠規定 | 日本郵政公社法 第六十五条第二項 公社は、前項に定めるもののほか、総務省令で定めるところにより、業務及び組織に関する状況その他経営内容に関する情報を公表しなければならない。 |
第四十一条にある「委託事務を行う施設」というのは、要するに現・簡易郵便局の変更されたものです。
今回の郵政公社化に伴い、『簡易郵便局』という名称は法律から姿を消し、「委託事務を行う施設」に変わります。
『簡易郵便局』は法律上消滅、「委託事務を行う郵便局」に変更
公社化に伴い、表面上大きく変わるのが簡易郵便局制度です。
昭和24年の簡易郵便局制度創設以来、取扱業務の拡大、委託者認可対象の拡大等といった制度内の変更はあれ、根幹の部分は変更されず現在に至りますが、公社化に伴い、根拠法律名称も変わり、位置付けも大きく変わっての再スタートとなります。
現行 | 改定 | |
根拠法 | 簡易郵便局法 | 郵政窓口事務の委託に関する法律 |
根拠規則 | 簡易郵便局規則 | 郵政窓口事務の委託に関する法律施行規則 |
委託の規定 | 簡易郵便局法 第二条(郵政窓口事務を委託する場合) 郵政事業庁長官は、郵政窓口事業に際する役務を提供する必要がある場合において、その事務の量、取扱場所又は取扱時間からみて次条第1項各号に掲げる者に委託することが経済的であり、かつ、郵政事業の運営上支障がないと認めるときは、この法律の定めるところに従い、契約によりこれを他の者に委託することができる。 |
郵政窓口事務の委託に関する法律 第二条(郵政窓口事務を委託する場合) 公社は、郵政窓口事業に際する役務を提供する必要がある場合において、次条第1項各号に掲げる者に委託することがその業務の運営上適切であると認めるときは、この法律の定めるところに従い、契約によりこれを他の者に委託することができる。 |
委託事務 | 簡易郵便局規則 第四条(委託すべき事務の範囲) 郵政窓口事務の量からみて委託することが経済的であるときに委託契約により委託すべき事務は、次に掲げるものとする。ただし、地方郵政局長において、郵政事業の運営上支障があると認めるときは、第一号イに掲げる事務の一部、第一号ロ及びニに掲げる事務の全部又は第二号から第五号までに掲げる事務の全部若しくは一部を委託しないことがある。 一 郵便 国内発着郵便物引受。ただし以下を除く ・低料第三種郵便物 ・通信教育のための第四種郵便物で同号の学校又 は法人が差し出すもの ・盲人用の録音物又は点字用紙を内容とする第四 種郵便物で同号の施設が差し出すもの ・郵便法第二十六条第一項第五号に規定する第四 種郵便物 ・市内特別郵便物 ・料金別納とする通常郵便物 郵便物の料金の合計額の減額の取扱いをするものか 特殊取扱の料金の減額の取扱いをするものに限る ・料金別納とする小包郵便物 料金の合計額の減額の取扱いをするもの及び郵便規則附属 料金表第六表二の項に規定する料金が適用される小包郵便物 で特殊取扱とするものを除く ・料金計器別納郵便物 ・料金後納郵便物 ・内容証明郵便物 ・翌朝郵便物 ・新超特急郵便物 ・新特急郵便物 ・保冷郵便物 ・本人限定受取郵便物 ロ 外国郵便物の引受け・ただし以下を除く。 ・特殊取扱のうち保険付とする郵便物・受取通知 ・料金別納とする通常郵便物 郵便物の料金の合計額の減額の取扱いをするものに限る ・料金計器別納郵便物 ・料金後納郵便物 ・国際郵便規則第五十二条第一項第三号及び 第五号から第七号に規定する郵便物 ハ 郵便規則第七十四条に規定する郵便物の交付 国内のみ発着留置表示郵便物の交付 代金引換郵便物の交付 本人限定受取郵便物に係るものを除く ニ 外国来留置表示郵便物の交付 関税若しくは内国消費税及び貨物割を課されたものを除く ホ 郵便切手類の販売及び印紙の売りさばき事務 ヘ お年玉付郵便葉書金品支払・交付 二 郵便貯金 イ 通常郵便貯金 積立郵便貯金 端末機により取り扱うものに限る 通常郵便貯金及び積立郵便貯金の団体取扱いを除く 定額郵便貯金の団体預入・財産形成定額郵便貯金を除く 財産形成年金定額郵便貯金・財産形成住宅定額郵便貯金 を除く ロ 預金者に対する貸付け 財産形成定額郵便貯金・財産形成年金定額郵便貯金・財産 形成住宅定額郵便貯金を担保とする貸付けを除く ハ 郵便貯金本人票の交付及び所持人の住所の訂正 ・郵便貯金本人票の所持の表示・まつ消 ニ 郵便貯金利子の寄附委託 ホ 介護定期郵便貯金利用者証交付、所持人の氏名 ・住所の訂正並びに有効期間の更新 三 郵便為替 普通為替 電信為替 為替金の額に相当する現金を受取人に交付することにより 払い渡す電信為替を除く 定額小為替 四 郵便振替 イ 郵便振替に関する事務。 郵便振替規則 第五十条の二第一項 に規定する 電信振替(自払加入者が請求する場合に限る。)を除く 郵便振替規則第五十条の三第一項 に規定する 電信振替を除く 同令第五十三条の二第一項 に規定する電信振替 (同令第五十三条の三第一項 に規定する請求をする場合に 限る。)・電信現金払(自払加入者が請求する場合に限る。) を除く 同令第五十九条の三 に規定する窓口払による電信現金払の 払出金の払渡しを除く 加入者払出郵便局・小切手払郵便局において行うことと されている事務を除く ロ 民間災害救援事業に関わる預り金 の寄附委託に関する事務 四の二 国民年金及び厚生年金保険の支払 四の三 道路交通法 に定める反則金等 四の四 金融機関から委託された金銭の受入・ 払渡し 四の五 当せん金付証票の売りさばき・ 当せん金品支払・交付 五 簡易生命保険 簡易生命保険契約申込受理・保険料受入 保険金・年金支払 貸付金支払・弁済・剰余金支払 ※原文あまりに長いので規定は要約 |
郵政窓口事務の委託に関する法律施行規則 第二条 (委託事務の範囲) 法第六条の総務省令で定める事務は、次のとおりとする。ただし、公社は、業務の運営上支障があると認めるときは、第一号に掲げる事務の一部又は第二号から第十二号までに掲げる事務の全部若しくは一部を委託しないことができる。 一 郵便物の引受け 内容証明郵便物に係るものを除く 郵便物の及び交付 外国来郵便物で関税又は内国消費税及び貨物割 を課されたものに係るものを除く 郵便切手類の販売に関する事務 二 通常郵便貯金 積立郵便貯金 端末機により取り扱うものに限る 定額郵便貯金 定期郵便貯金 預金者に対する貸付けに関する事務 団体取扱い(これに準ずる取扱いを含む。) 勤労者財形郵便貯金、当該郵便貯金を 担保とする貸付けに関する事務を除く。 三 普通為替・電信為替・定額小為替 四 郵便振替 五 簡易生命保険契約 申込受理・保険料受入 保険金・年金支払 貸付金支払・弁済 契約者配当金支払 六 印紙売りさばき 七 お年玉付郵便葉書金品支払・交付 八 国債等を担保として行う貸付 端末機により取り扱うものに限る 九 郵便貯金利子の寄附委託 十 民間災害救援事業に関わる預り金 の寄附委託に関する事務 十一 当せん金付証票の売りさばき・ 当せん金品支払・交付 十二 金融機関から委託された金銭の 受入・払渡し ※注:あまりに長いため規定は要約 |
(下線は、改正後に制約条件でなくなる部分→取扱が可能になるか、もしくは除外される部分)
目に付くのは、委託範囲を定めた規定の簡素化です。
簡素化というより、規定を見る限り、現・簡易郵便局規則では行なえない扱いが、新しい規定には「行なえない」となっていないこと。つまり、委託業務の拡大と見ることも可能です。
ただ、現実問題として、ここまでの業務を現在の簡易郵便局にいきなり今年の4月1日から実施させることは不可能でしょうから、現在の簡易郵便局は、当面別の規定で取扱業務を限定させ、今後特定郵便局から移行する「委託事務を行う郵便局」が最大限取り扱える範囲としたという見方の方が妥当に思えます。
(今でもそうですが、「全部または一部を委託しない」という規定は今回も残っていますので。)
なお、「委託事務を行う郵便局」(法律では正式名称決めていませんが、何か呼称決めてくれないかなぁ・・・書きにくくてしょうがないんだけど(笑))の設置・改称といった事項は、先ほど記述した通り、郵便局のそれに準じて実施されます。
現在、大都市型簡易郵便局(シティポスト)は、正式には『簡易郵便局規則 第四条の2に規定する簡易郵便局』ですが、今回の省令の衣替えに伴い、規定そのものが削除されています。
このため、4月以降、少なくとも『郵政窓口事務の委託に関する法律施行規則』上では、地方型簡易郵便局(一応、こういう名称は存在するそうです)・大都市型簡易郵便局ともに『委託事務を行う郵便局』として同格の扱いということになりそうです。
関連ページ 昨年6月に作成した内容です。現時点とはかなり変わっていますが・・・
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ここは違うよ、とか。