郵政公社化、さてどうなる?

(2002.7.1)


 来年(平成15年)4月から、総務省が監督し、郵政事業庁が実施する郵政三事業は、国営の「日本郵政公社」に引継がれます。
 現在開会中(7月31日まで)の第154回国会(常会)に提出され、審議中の俗称「公社化法案」について、内容をまとめてみました。
 ただし、内容はあくまで郵趣に近い部分を中心にまとめてありますので、通常ニュースに出てくる内容とは、多少趣を異にするかもしれません。

 今回提出されている法案とは、
『日本郵政公社法案』(4/26提出)
『日本郵政公社法施行法案』(5/7提出)
『民間事業者による信書の送達に関する法律案』(4/26提出)
『民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案』(5/7提出)
の4法案です。後者の方が、ヤマト運輸の参入有無で脚光を浴びた、いわゆる「信書法」です。
(それぞれの法案は、
http://www.soumu.go.jp/kyoutsuu/syokan/t_an.html
に掲載されています。)

 さて、それでは整理していきます。

 なお、正確には現時点で成立していない法律のため、「法案」が正当ですが、以下の表現では便宜「法」として記載してあります。


◇「業務手続」は「業務方法書」に衣替え
 「業務開始の際、業務方法書を作成し、総務大臣の認可を受けなければならない。これを
 変更しようとするときも、同様とする」(公社法第22条)とされており、これが現状
 「集配郵便局郵便取扱手続」などとされているものに代替されると思われます。
 なお、この業務方法書に記載される内容は、「総務省令で定める」(公社法第22条2項)
 とされています。
 また、業務方法書が総務大臣に認可された時は、「総務省令で定めるところにより、その
 旨を公表」することとされています(公社法第64条3項)

◇「郵便局」は従来通り設置
 「総務省令で定めるところにより、郵便局を設置しなければならない」(公社法第20条)
 とされています。
 ちなみに、この点に関しては大きな変更があります。
 現在、民間委託となっている局と言えば、簡易郵便局ですが、簡易郵便局の設置を規定した
 『簡易郵便局法』が、『郵政窓口事務の委託に関する法律』に改称されています。
 (公社法施行法)
 従来:「委託することが経済的であり、かつ郵政事業の運営上支障がないと認めるとき」
 改定:「委託することがその業務の運営上適切であると認めるとき」
 と記述が変わっており、むしろ業務委託を経営的に有効に活用するように記述が改められて
 いることが注目されます。(昨年に会計検査院から出された「特定局より簡易局を有効利用
 せよ」という提言の、延長線上にあると言えるでしょう)
 
 そして、「前項の施設(註:受託者が設置する施設)は、日本郵政公社法第20条第1項の規定
 の適用については、同項の郵便局とみなす」(郵政窓口事務の委託に関する法律第7条2項)
 と記述されており、今までのような「簡易郵便局」と「普通郵便局・特定郵便局」といった
 区切りは変わっていくことにならざるを得ないでしょう。


◇事業報告書は、年度区切りの後、6月中に総務大臣に提出
 日本郵政公社は、毎事業年度(4月1日から3月31日・・・公社法第27条)ごとに貸借対照表・
 損益計算書等の財務諸表を「年度終了後3月以内に」提出することとされています
 (公社法第29条1項)
 この提出の際には、「事業報告書を添える」(公社法第29条3項)とされていますが、ここ
 には「郵便局の設置、移転及び廃止の状況」が記載されます(公社法第29条4項2)
 官報告示が今まで通り行われるか微妙な中、郵便局の動向を知る唯一の手段になるかもしれ
 ません。

◇郵政公社は、情報公開の対象
 昨年4月からスタートした情報公開法は、国の機関のみが対象です。
 さて日本郵政公社は情報公開の対象になるでしょうか?
 それを確認するために、規定を挙げて見ます。
 
 情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)における「行政機関」

一  法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置か
     れる機関
  二  内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法 (平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項
     及び第二項 に規定する機関(これらの機関のうち第四号の政令で定める機関が置かれ
     る機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)
  三  国家行政組織法 (昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項 に規定する機関(第五
     号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)
  四  内閣府設置法第三十九条 及び第五十五条 並びに宮内庁法 (昭和二十二年法律第七十号)
     第十六条第二項 の機関並びに内閣府設置法第四十条 及び第五十六条 (宮内庁法第十
     八条第一項 において準用する場合を含む。)の特別の機関で、政令で定めるもの
  五  国家行政組織法第八条の二 の施設等機関及び同法第八条の三 の特別の機関で、政令で
     定めるもの
  六  会計検査院

  ちなみに、総務省・郵政事業庁といった機関は上のうち、第三項にあたります。
 (国家行政組織法 第三条関係・・別表第一)

 で、無論公社化されるわけですから、「行政機関」からは外れます。そうなるともう一つの
 情報公開法の出番になります。
 知名度がさほどではないですが、
 「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」(平成13年法律40号)というものが
 あります。

 この法律の対象となり、情報公開の対象となる法人は、以下の通り記述されています。

第二条  この法律において「独立行政法人等」とは、独立行政法人通則法(平成十一年法律第
  百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人及び別表第一に掲げる法人をいう。

 「独立行政法人」とは、
 「公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体とな
  って直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施さ
  れないおそれがあるもの又は一の主体に独占して行わせることが必要であるもの」
 (独立行政法人通則法第二条)
 のことで、要するに「公」でやる必要があるけれど国直轄である必要がないので本体から
 分離する組織のことです。(ちなみに国家公務員の資格を持つ場合を、特に「特別独立行政
 法人」と呼んでいます・・・独立行政法人通則法第二条2項)

 参考までに、来年(平成15年)4月に独立行政法人国立印刷局に移行する財務省印刷局は、
 この特別独立行政法人に該当し、独立行政法人等情報公開法の対象となります。
 (既に今国会にて移行法が成立済)

 で、問題は「別表第一に掲げる法人」ですが、ここに「日本郵政公社」が加えられているため、
 情報公開の対象となることになります。(郵政公社法施行法;独立行政法人等の保有する情報
 の公開に関する法律の改正)

 ちなみにこの「法人」には日本道路公団、日本銀行、帝都高速度交通営団といった、
 面々が顔を連ねています。
 というか、開示請求できると思われていないんでしょうね。積極的に広報していないし。

◇多くの取扱が法律から削除・・・経営の自由度を上げるための措置?
 今回の郵政公社は原則として現在の取扱をそのまま引継いでいますが、実は法律としては
 規定が撤廃されているものがあります。
 法律に記載されている取扱は、取扱が義務付けられ、かつ国会に諮る必要があるのに対し、
 約款の改正は国会に諮る必要がないため、機動的な運営のためには、「経営に負担になる」
 と思われる事項は、法律に記載しないようになっているようです。
 
 今回の公社法施行法で法律から記載が除外されている主な事項は、以下の通りです。

 <郵便法関係>
 ・切手類の交換(郵便法第19条の四)
 ・無料郵便(郵便法第20条)・・・いわゆる「通信事務」
 ・小包はがき(郵便法第22条)・・・「通常葉書」「往復葉書」の2本立てとなる
 ・異種合装(郵便法第29条)
 ・ふみカードによる料金納付(郵便法第32条の三)
    ・・・ふみカード自体が、廃止が決定していますので規定としても引継がれません。
 ・郵便料金還付(郵便法第39条)
 ・取集料(郵便法第48条)

 <郵便貯金法関係>
 ・原簿所管庁(郵便貯金法第19条)・・・「貯金原簿」の表現自体が削除
 ・証券等による預入(郵便貯金法第34条)
 ・取扱郵便局による特定(郵便貯金法第41条)
 ・貯蓄1型手数料徴収(郵便貯金法第42条)

 <郵便為替法関係>
 ・証券等による預入(郵便為替法第10条の二)
 ・料金に関する規定(郵便為替法第17条)

 <郵便振替法関係>
 ・印章(郵便振替法第9条)
 ・料金に関する規定(郵便振替法第18条)
 ・証券等による預入(郵便振替法第33条)

 ただし、利用者に一番関係がある、「利率」(貯金、貸付金)の決定については、
 「方針は総務大臣の認可が必要、率は総務大臣への事前届出が必要」とされています。
 (貯金利率は郵便貯金法第70条、貸付金利率は郵便貯金法第72条)




・・・長い。書いていて疲れました。とりあえずここまででアップします。




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