「堤中納言物語」 
収録作品ピックアップ



桜花折る少将

この時代の風俗(生活)描写の逸品という感じの作品で、
主人公が、理想化された 「平均的貴族」 を演じています。
「目をつけたかわいい女の子をこっそり家から盗み出し・・・」 という、
花盗人を気取っての「ナンパ」(?)をする話ですが、
桜の咲き乱れる春の宵の椿事で、シャレっ気のある軽快な話にまとまっています。
桜花の季節らしい、華やかで浮き立つようなものがたりです。





貝合

夏らしく、清々しい印象の貝合のものがたり。
堤中納言の中でも物語短編としての完成度が特に高く、
覗き見に入ったはずなのに、ちょっと他の方向にズレて、
子供たちの争いに巻き込まれてしまった主人公、という展開で、
無邪気な子供たちの貝合わせの競争を軸に、
のちのちのハッピーエンドもうっすら予感させるという、うまい作りになっています。





99年単行本案内へ戻る
お仕事箱の選択メニューに戻る
トップメニュー